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桑原甲子雄の大塚

文京区内をよく散歩します。古い町並みが残っていて面白いです。

本郷の菊坂周辺は成瀬巳喜男監督『晩菊』(1954年公開)のロケ地がかなり残っていますし、小石川はちょっと前まで戦前からある共同印刷の建物が見られました。私は新卒社員の頃、その共同印刷内を見学させてもらいました。今思うと貴重な体験です。

文京区大塚は桑原甲子雄の写真に登場する場所を見ることができます。

『私的昭和史 桑原甲子雄写真集 下巻 満州紀行 東京戦後篇』(毎日新聞社)に載っている日出優良商店会の商店街、栄屋蒲鉾店、魚屋、食料品店も残っています(栄屋は今年3月に閉店。残念。2回ほど蒲鉾を買いました)。

『私的昭和史』には1975年の丸の内線新大塚駅前も載っています。立喰ラーメン屋などがあり今とは全然違います。子供が元気に坂を駆け上がる瞬間を撮ったとてもいい写真です。

大塚について桑原甲子雄は下記のように書いています。

起伏の激しい地形に人家が密集しているが、戦災に見舞われずにすんだ。

大塚は今もそんな戦火をくぐり抜けた雰囲気が残っています。日出優良商店会の中央にあるフードショップいいづかの店内には桑原甲子雄が撮った大塚の写真が貼ってありました。

桑原甲子雄については濱谷浩と幼馴染だったというエピソードも好きです。お互いに影響を与えあって二人とも写真の世界に入ってしまったのが熱い…! 二人の物語を小説や漫画にすると面白いんじゃないかなあ。

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