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相続の専門家

ご家族の方が亡くなったときには誰に相談したらいいのかしら?税理士?司法書士?弁護士?

それぞれ専門性が違って、担当する仕事が違っています。

税理士は、もちろん、税金の専門家です。相続税を納める必要がある場合に相談しましょう。
税理士に相談する必要があるかどうかの一つの基準は、財産の評価額です。一定の評価額を越えない限りは、相続税を納める必要はなく、相続税の申告も必要ありません。
相続税には、控除枠があります。3000万円+(相続人の人数)×600万円です。

たとえば、お父さんが亡くなり、相続人が、お母さんと子ども3人の場合、相続人の人数は、4人です。
3000万円+4人×600万円=5400万円

つまり、財産の評価額が、5400万円までは、相続税は発生しません。

評価額が超えるかどうかわからない場合には税理士に相談してみてください。
相続税の申告書は、亡くなってから10カ月以内に提出する必要があります。余裕をもって相談するようにしましょう。

蛇足ですが、相続税の申告のために、急いで、誰がどの遺産を取得するのかを決める必要はありません。10カ月以内に、誰が取得するのかをまだ決めていない状態、法定相続分で共有している状態で、相続税の申告をして、その後、誰がどの遺産を取得するのかを決めてから改めて修正申告をするという方法が認められています。
急いで分ける必要がないことは、よくよく理解しておいてください。

弁護士は、争いのある事件の解決を担当します。争いというと大げさかもしれません。遺産の分け方については、どれが遺産なのか、いくらと評価するのか、どのような方法で評価するのか、誰が取得するのか、等を決めなければいけません。この意見に相続人の間に、食い違いがあって話合いが必要な場合は、弁護士が担当します。

当事者同士での話し合いで解決しない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて、第三者である調停員や裁判官の関与のもと、相続法のルールに基づいて公平に分けることができます。そのような手続きも弁護士が担当します。

司法書士は、争いのない遺産分割や、不動産の登記の移転を担当します。中には争いのある遺産分割についても担当する司法書士もいますが、問題があります。話し合いができていないのに、司法書士が依頼者の一方的な希望のみを記載した遺産分割協議書を他の相続人に送り付けて、署名・押印を求めるということがありますが、話し合いで合意ができていないのであれば、弁護士に依頼をするべきだと思います。
また、一般的に、弁護士は費用が高い、司法書士は安いというイメージがあるようですが、弁護士も司法書士も料金の設定は自由ですので、金額は高い人もいますし、安い人もいます。そのため、複数に見積もりを出すのがよいと思います。また、弁護士は、過去、弁護士会が弁護士報酬の基準を定めていました。多くの弁護士がこの基準を使い続けていますので、弁護士の報酬が高いのか安いのかについては、この基準と比較してみると良いかもしれません。

業務ごとに依頼するべき士業が異なっています。相続税の申告がしたいのか、遺産の分割方法を決めたいのか、不動産の移転登記がしたいのか、それぞれの作業ごとに相談をするようにしてください。また、同じ士業でも、複数の方に見積もりをとるようにしてください。

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