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営業調査レポート「Japan Sales Report」を執筆者が解説! #1

こんにちは!株式会社マツリカの佐藤風太(@futasato97)と申します。

先般、日本企業の購買実態調査「Japan Sales Report 2022 Buying Study」を執筆・公開しました。

公開直後から多くの反響をいただいた本レポートですが、さらに多くの営業パーソン・営業組織の発展に貢献したく、本noteではレポートの内容を一部抜粋し解説します!


「Japan Sales Report」とは

Japan Sales Report とは、株式会社マツリカが刊行する日本の営業組織に関する実態調査レポートです。

日本企業における営業組織の発展を目的とし、国内営業組織の最新動向/トレンド、取り組み内容、課題、未来への示唆をまとめています。

資料や記事/メディア等への引用はもちろん、営業組織の課題解決に向けた施策立案・実行のための客観的根拠としてご活用いただけますと幸いです。

株式会社マツリカ:Japan Sales Report 2022 〜Buying Study:購買活動の実態調査〜
https://product-senses.mazrica.com/dldocument/japan-sales-report-2022-summer

株式会社マツリカは「創造性高く遊ぶように働ける環境を創る」というキーメッセージを掲げ、その第一弾としてクラウド営業支援ツール「Senses」を提供し、営業パーソンの生産性向上と創造性の解放を支援しています。

営業パーソンが創造性高く働くためには、「テクノロジー」と「データ」の活用によって「再現性のある成長」を実現することが重要です。

営業活動を支援するテクノロジー(セールステック)は国内でも近年進化を遂げてきている一方、海外と比べて日本では営業に関する調査・研究はまだまだ発展途上であり、良質な「データ」が不十分な状態です。

そこで、日本の営業組織の発展に資するべく、国内営業組織に関する調査レポート「Japan Sales Report」を定期発刊することとなりました。

第一弾「Japan Sales Report 2021」「コロナ禍における国内営業組織の動向調査」をテーマに、2021年12月21日に公開。

そして2022年6月29日、「日本企業の購買実態調査」をテーマとして、第二弾となる「Japan Sales Report 2022 〜Buying Study:購買活動の実態調査〜」を発刊致しました。

第二弾で「購買活動」に着目した理由

Gartner社によると、今日のB2B購買活動にはかつてないほど多くの関係者が関わっており、「B2Bソリューションの最も難しい部分は、それを売ることではなく、買うことである」とのことです。

Gartner:Win More B2B Sales Deals
https://www.gartner.com/en/sales/insights/win-more-b2b-sales-deals

営業がより良い成果を出し続けるためには、「買い手へ理解を深めること」が重要でないかと考え、購買活動の実態調査を行うことになりました。

【本編】レポート解説!

「Japan Sales Report 2022 Buying Study」全41ページの中から、計10個のトピックを取り上げます!

調査企画:株式会社マツリカ
調査機関:クロス・マーケティング
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
対 象:従業員100名以上の企業において、直近2年以内にソフトウェア製品(総額または年間価格が100万円以上)の購買/導入経験がある会社員
調査期間:2022年5月27日〜2022年5月30日

⑴「企業における購買活動の経験」を有する人材は希少

  • 購買検討の経験

  • 購買実行の経験

  • 決済者としての購買経験

  • 「自身のみ」で決済可能か

上記4つの設問に対する回答結果から、購買活動を主導したことのある人材はマイノリティであり、それゆえに価値が高いことが明らかとなりました。

「企業の購買活動は難しい」と言われる理由の一つとして、「そもそも多くのビジネスパーソンは企業における購買活動を経験したことがない(少ない)」ということがありそうです。

⑵購買者は、平均して購買プロセスの約1/3が経過してから営業と接点を持つ

これは有名なデータですが、米国のコーポレート・エグゼクティブ・ボードが発表したThe Digital Evolution In B2B Marketingでは、「BtoBでは顧客の購買プロセスの57%が、営業担当者に会う前にすでに終わっている」と発表されています。

しかし今回の調査結果では、購買者は平均して購買プロセスの約1/3が経過してから営業と接点を持っており、上記発表内容よりも早い結果となりました。
(データソースが異なるため単純な比較はできませんが、日本と米国における地理的・商習慣的な差異が現れた結果だとしたら面白いですよね)

⑶購買活動において、選定メンバーは64%が4~10人、承認者は79%が2~10人

購買活動における社内関与者数について質問しました。
(選定プロジェクトのメンバーは何名か、選定プロジェクトのメンバー意外に何名の合意・承認が必要か)

選定メンバーの人数については全体の64%が「4~10人」と回答、承認者の人数については全体の79%が「2~10人」と回答し、企業の購買活動には多くの社内関与者の存在があることがうかがえました。

⑷関与者数の増加により購買活動の負荷が増大する可能性が示唆される

「購買活動において苦労したことは何でしたか?」という質問(複数回答)をしたところ、「社内承認」「検討プロジェクトのメンバー間合意」などの社内折衝に関する回答が上位を占めました。

さらに、企業規模別に傾向を調べた結果、「企業規模が大きくなるほど、購買者は社内折衝に苦労を感じやすい」という結果が明らかになりました。

企業規模が大きくなるほど、選定メンバーの人数は増加傾向にある(後述)ため、関与者数の増加により購買活動の負荷が増大する可能性が示唆されました。

⑸企業規模が大きくなるほど、選定メンバーの人数は増加傾向

「企業規模」と「選定メンバーの人数」の関係性について調査したところ、企業規模が大きくなるほど、選定メンバーの人数は増加傾向にあることが判明しました。

特に、従業員数3,000名以上の企業においては、過半数が11名以上の選定メンバーを組成していることが明らかになりました。

⑹関与者数が増加すると、検討期間が長期化する傾向

「選定メンバーの人数」と「検討期間」の関係について調査したところ、選定メンバーの人数が増加すると検討期間が長期化する傾向が見られました。

前述の「関与者数の増加により購買活動の負荷が増大する可能性」と合わせ、

検討プロジェクトの関与者が増加
→(関与者数の多さにより)社内折衝に苦労
→(社内承認や合意形成に時間がかかり)検討期間が長期化
→(検討期間の長期化により)社内折衝に苦労

というような負の連鎖が生じている可能性がうかがえます。

⑺承認プロセスに対する営業のサポートが不十分な場合、購買中止の確率が2.7倍に増大

  • 購買実行群(「最終的に購買が実行された」と回答したグループ)

  • 購買中止群(「最終的に購買が実行されなかった」と回答したグループ)

上記二つのグループで回答内容を比較したところ、承認プロセスに対する営業のサポートが不十分な場合、購買中止の確率が2.7倍に増大するという結果になり、「営業による購買者支援が購買活動の成否に強く影響を及ぼす」ということが示唆されました。

  • 営業担当者は、自社/商材の説明やアピールだけでなく、購買者の承認プロセスにも目を向ける必要がある

  • 購買者にとっては、「営業からサポートしてもらう」というスキルが重要である

ということが言えるでしょう。
すなわち、購買活動を成功させるためには、営業・購買担当双方の尽力が必要なのです
(「押し売り」な営業スタイルや「お客様は神様」という価値観は、今後ますます通用しなくなるのではないでしょうか)

⑻購買実行群は、購買中止群と比較し情報収集に積極的

  • 購買活動において活用した情報収集チャネルの種類(複数回答)

  • 意思決定に必要十分な量の情報が集まったか

について、購買実行群/購買中止群を比較しました。

結果として、「購買実行群は、購買中止群と比較し多くの情報収集チャネルを活用している」こと、そして「購買実行群は、購買中止群と比較し必要な情報量を確保できている確率が高い」ことが判明しました。

企業の購買活動においても「情報取得を上手く行えるか否か」により情報格差が生まれ、成果に差が出ることが示唆されました。

営業担当者は購買者の情報取得を適切にサポートできるよう、常にさまざまなメディアやトピックにアンテナをはっておく必要がありそうです。

⑼購買中止群は、購買実行群に比べ「選定メンバーの人数が適切でない」と回答

ここはスライドのテキストが素晴らしいのでそのまま載せます(笑)

ソフトウェア導入を検討する際、プロジェクトメンバーの人選を入念に行っても、「プロジェクトメンバーの人数について最適か」まで考えることができているケースはまだ少ないのではないだろうか。

また、関与者数が増加するほど検討期間が長期化し、承認や合意形成に関する苦労が増加するため、購買者自身が”選定メンバーの人数”まで考えて購買検討を進めることができるようになれば、購買効率も上がる可能性がある。

⑽購買(営業)活動の難易度を上げる直接的な要因は、金額の大きさではない可能性が高い

「購買検討時の金額規模」と「最終的に購買が実行されたか」の関係を調査したところ、「購買金額の規模は、ほとんど購買成否に影響しない」という結果になりました。

購買活動(営業活動)の難易度を上げている直接的な要因は、「金額の大きさ」ではない可能性が高いと言えるでしょう。

では一体何が購買活動(営業活動)の難易度を上げているのでしょうか?
本調査結果から、以下のような要素が挙げられると考察します。

・多くのビジネスパーソンは、企業における購買活動の経験が不十分
・購買活動における関与者数の多さ(不適切さ)
・営業担当からの購買プロセス支援を十分に受けられていない

まとめ

  • 「企業における購買活動の経験」を有する人材は希少である。

  • 企業における購買活動には、多くの社内関与者の存在がある。

  • 営業による購買プロセス支援が、購買の成否に大きな影響を及ぼす。

現代の企業における購買の意思決定プロセスは複雑化の一途を辿っており、購買者が特定の時間軸で商品やサービスの購買を実現する難易度が上がっていると言われています。

このような背景から「より良い購買の実現に向け、購買プロセスを支援する」バイヤーイネーブルメントという概念が誕生しました。

営業活動においてはインターネットやテクノロジーの発展にともない進歩が見られるようになってきた一方、購買活動は依然として容易になっていません。

より良い購買活動を実現するために、営業はバイヤーイネーブルメントを理解・実践する必要があるのではないでしょうか。

本noteが面白いと思っていただけたら、ぜひフルバージョンでご覧ください!

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<お知らせ>

①レポートを解説するウェビナーを開催します!(2022/08/18 17:00~18:00)

「商談の裏側」と題し、営業パーソンが見落としがちな「顧客の購買活動のリアル」について、調査レポートの解説や書ききれなかったポイントなどをもとにお話します。

▼お申し込みはこちら

②「Japan Sales Report 2022 Buying Study」の【追加分析結果】を公開しました!

本レポートでは「なぜその購買は実行されなかったのか?」にフォーカスしています。

▼追加分析結果のダウンロードはこちら


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