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オレゴン号危機一髪!『悪の分身船(ドッペルゲンガー)を撃て!』

この記事は2020年9月9日に扶桑社ミステリ通信に掲載されたものを転載したものです。転載にあたり一部再編集をしています。

巨星、墜つ

今年2月にお伝えした、冒険小説の帝王クライブ・カッスラー逝去のニュース。すでにご高齢だったとはいえ、なんだかいつまでもお元気なまま、現役で書き続けてくれそうな気がしていたので、訃報に接して本当に驚きました。改めて、心からのお悔やみを申し上げたいと思います。

われわれ版元も、何らかの形で追悼の意を表したい。

そこで扶桑社ミステリーでは、もともと予定していたラインナップの順番を急遽一部変更し、3ヶ月連続でカッスラー作品をお届けすることにいたしました。

第一弾となるのが、本書『悪の分身船(ドッペルゲンガー)を撃て!』(上・下)。

オレゴン号シリーズ(共著者はボイド・モリソン)の最新刊が、ついに登場です!

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あらすじ

あらすじはこんな感じです。

大西洋を航行中だった貨物船〈マンティコラ〉が、何者かからの攻撃を受けて消息を断った。時を同じくして、ブラジル沿岸沖で艦内に異変を生じた米原潜〈カンザス・シティ〉が沈没する。さらには、中南米で潜入工作中のCIA局員の電子ファイルが盗まれる事件が発生。CIA幹部のオーヴァーホルトは、局内での情報漏洩を疑い、カブリーヨとオレゴン号のメンバーに工作員の保護を依頼する。しかし一連の事件は、カブリーヨを標的とした復讐計画の始まりに過ぎなかった。巨大な罠が今動き出す!

とにかく抜群に面白い。今回は、それに尽きます。

翻訳者の伏見威蕃さんも、

「善と悪が対決するストレートな展開で、手に汗握る場面がこれでもかというくらい連続し、先へ先へと読んでいきたくなること請け合いである」

と述べておられます。

シリーズ最高傑作かもしれない

オレゴン号シリーズは、ひとつ前の『秘密結社の野望を阻止せよ!』も出色の出来でしたが、複雑な三つ巴の組織戦を描いた前作と比べると、今回はひたすらにシンプル。そこが実にいい。

久々に登場する「同スペックのハイテク船」との大海上戦!

敵は世界征服の野望以上に、カスティーヨ船長とオレゴン号への「私怨」で動いている強烈な「悪」。カブリーヨを葬りさるために、あの手この手で、敵の魔手が迫ります。

本作では、カブリーヨ船長のみならず、上役のオーヴァーホルトも、船の仲間たちも、そして船自身も、今までにないくらいの大ピンチに陥ります。

まさに、シリーズの集大成的な「王道&特盛」の内容。そして、あっと驚く衝撃のラスト。これは予期してなかった!!

今後のカッスラーの予定

カッスラーは本作執筆時にはすでに、自らに残された時間があまり長くないことをはっきり意識していた気配があります。「ここでいったんシリーズに一区切りをつける」、それくらいの気合で、カッスラーは今回の作品に臨んでいます。だからこその、この緊迫感。ぜひご堪能ください。

なお、そうはいいつつも、愛読者の皆様ご安心ください!オレゴン号シリーズはまだ終わりません!!

本国では、シリーズの次回作『Marauder』が、すでにクライブ・カッスラーとボイド・モリソンの共著の形で、アナウンスされています。発売日は本年11月の刊行とのこと。オレゴン号メンバーの新たなる戦いが見られると思うと、今から期待も大いに膨らむところです。

(編集Y)

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