見出し画像

【全文無料】東京都知事選を終えて~町議から見る、地方都市まで広がる「石丸現象」~

扶桑町議会議員 山田あつきです。

今私は、通常の3~4倍の量の「活動報告」の印刷・製作に勤しんでいます。その原因は、遠く離れた東京都知事選にあると考えています。
以下、考察記事をである調で書いていきます。


7月7日、小池都知事の3選、ゼロ打ち圧勝という結果で東京都知事選が終わった。私もある候補者と直接連絡を取り(AI相手ではない)、為書きを贈らせてもらった。
現職が過去12回出馬して全部当選している都知事選。その記録がまた更新されただけのことだ。

私は当初より、本命小池氏、対抗石丸氏(ただし突風レベルの神風襲来時)、大穴蓮舫氏と予想していた。しかしメディアの予想は違ったようだ。選挙戦前は小池vs蓮舫の構図、選挙戦が始まってからは田母神氏を含む「主要4候補」として報道していた。結果的に蓮舫氏は3位、鉄板ネタのように揶揄されているが2位にもなれなかった。田母神氏は供託金没収と、果たして主要候補と呼べたか疑問だ。

開票が進むにつれ、メディアのテロップには「石丸伸二氏 2位大健闘」「石丸伸二氏躍進 蓮舫氏を抜いて2位」といったものが増えた。私に言わせれば、勝手なものである。最初から平等に報じていれば、躍進や大健闘という表現にはならないはずだ。

さて開票結果であるが、10~30代の出口調査では石丸氏が優位に立っていたとのことである。

NHKの開票速報番組より

少子高齢化を考えると、このグラフ通りの票数割合となることはないが、若い世代の支持は石丸氏に集まったことがわかる。
支持が集まるということは、「知っている」ということ。「知っている」とは、「政策を知っている」ということだ。

知名度でいえば当然に蓮舫氏が上だが、YouTube等を通じて石丸氏の政治手法や政策を知っている若い世代のほうが多かった、ということなのだろう。SNS社会、「若いから」「女性だから」で当選するほど甘くはないご時世になったのかもしれない。

そして、この結果が一地方議員である私に対して如実に影響を及ぼしている。全く異なる地域にもかかわらず、である。

私は毎月「活動報告」を印刷して、駅で配布している。5月に任期が始まったので、これで3枚目となる。
駅の構造上、柏森駅では夕方、その他の駅では朝に配ることが多い。だが、基本的には朝に配ることは嫌いである。今から仕事に行く人たちに対し、荷物を増やすという行為は憚られる。実際、露骨に嫌な顔をされることもある。それでも税金で食べている以上、議員の活動を有権者に報告するのは義務であると思っているので、できる限り笑顔でご挨拶をしている。

しかし、朝に配っている駅において、今週はどうも様子がおかしいのだ。
具体的にいうと、いつもの3~4倍を受け取ってくれる。事前に用意していた枚数を配り終え、焦って車に取りに戻ったほどである。
そして、受け取ってくれる方々は、これまでにないほど若い世代が多い。恐らくこれが「石丸現象」というもので、今回の都知事選を通じて政治に興味をもってくれた、政治家はどんな仕事をしているのかということに関心をもってくれたということだろう。

4年前、安芸高田市長に就任した時のインタビューにおいて、石丸氏は「選挙に負けたらと考えなかったのか」との問いに対して「負けて失うものが僕の職だけなら安いもんですよ」と返している。
今回の選挙後のインタビューでは、「都民が誰を推すかを1票で表した結果」であると述べている。かなり叩かれていたが。
共通する点としては、「選挙運動までは自分の範疇、できることを全部やる」「投票行動は自分の範疇ではない」と、明確に線引きをしていることである。これはある意味、有権者の選択を最大限尊重しているものだったのだと思う。

小池氏に当選確実が出た後、今後の進路を聞かれた際「広島1区」と口にした点について、ABEMA Primeで「総理の選挙区である広島1区を挙げたのは、メディアの皆さんが反応するからだ。布石を置いておけば、解散総選挙の有無から話題になる。そこでメディアの皆さんが騒ぐと、国民の政治に対する興味・関心がまた一段と上がるのではないかと期待している」と説明した。この点において、私の活動報告が今までの何倍も受け取ってもらえているのは、まさにこの石丸氏が国民に期待している「政治に対する興味・関心の上昇」が起きているのだろう。

無所属無会派、しがらみ無し。
議員報酬の透明化。
町政(地方議会)に関心を。
民意で動かそう。

そういったことを、徹底的に突き詰めて誠実に議員活動をしていくことが、政治に対する興味・関心の上昇が起きている今、求められていることなのだろうと思う。

私は約8年前、小池百合子政経塾「希望の塾」で初めて政治を学んだ。
しかし当時、私は22歳。新卒での就職先が決まっていて、被選挙権もない単なる大学4年生であった。政治を学ぶことと政治家になることは、完全に別物として考えていた。

一方、28歳でいざ政治家を志したきっかけ、一般質問の参考にしているのは安芸高田市長の石丸伸二氏であった。話すときにあー、えーと言わない、嚙まない、口調の切れ味のよさを「政治家として話す力」としてリスペクトしている。「覚悟の論理」を拝読したが、著者の声で脳内再生される本と初めて出会った。

人口2.7万未満の首長が、その自治体の60倍以上の票を獲得すること、2.8億の政治献金を集めること、その自治体の500倍の人口を誇る選挙区で2位につけることなど考えられないことだ。安芸高田市の1.3倍の人口を誇る扶桑町長が都知事選に出て210万票を獲得し、3.6億円の政治献金を集めているのと倍数の論理で言えば同じだ。
ふるさと納税ですら何百万単位の収入の自治体の首長だ、申し訳ないができるはずがない。これまでの歴史上11名の扶桑町長がいるが、都知事選に扶桑町長が出馬したとしても泡沫候補に終わるだろう。その意味で、石丸氏の戦いぶりがいかに大躍進であったかがわかる。

この2名がワンツーフィニッシュしたことは、まるで自分の人生を具現化したかのようで嬉しく思う。

最後に、私が経験した5日間を大幅に超える17日間にわたる選挙戦を戦い抜いた候補者の皆様に、労いの敬意を表したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?