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#0 仕事は地図のない旅  

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。」とは松尾芭蕉『奥の細道』冒頭ですが、キャリア人生(人生を通しての仕事、仕事のしかた)は、長い長い地図を持たない旅のようなものだと言えそうです。


キャリア人生を考えてみる

社会人にとって働いている時間は、一日の3分の1で寝る時間以外で最も長い時間を占めています。しかも寿命が長くなった結果、昔の人に比べてずっと長い期間働かなければならなくなって来ています。
その間、自分の仕事に没頭している時もあれば、自分の能力や適正、仕事の将来性に自身が持てなくなることもあります。

  • 最近自分の仕事にワクワク感をかんじられない。

  • 今の仕事が自分に向いているのか不安。

  • 自分の能力をどのように伸ばしていくべきかわからない。

  • 今の仕事のしかたは、自分や家族にとって良い結果をもたらしているだろうか。

  • 今の仕事が自分の幸せに繋がっているだろうか。

こんなことは、誰でも一度は考えることです。ただし、今日のように会社の組織や人間関係が細分化され、仕事に関わる技術や管理方法がどんどん変わる中では、参考にすべき人や考え方も見つからず、結局一人で考え込むしかないという状況になっていませんか。

仕事や働き方について悩みやすい状況になっている

この記事を読んでくれているあなたは、自分のキャリア人生にどのようなイメージをお持ちでしょうか。

昭和の時代なら、入った会社で定年まで同じ会社で、直実に能力を向上し責任ある役職を任され、少しずつ階段を上っていくようなイメージでしょうか。傾斜が変わる長い階段を上って行くようで、見上げれば誰か先輩の背中が見え、見下ろせば後輩の誰かが続いているのが薄ぼんやりと見れます。
時々分岐点もありますが、とりあえずどっしりとした構造物の外に出て行くこともなく、着実に登っていけることが正解といえる状況でした。
残業も、自分の体力に合わせて比較的自由にでき、じっくり考えながら仕事をこなすこともできていました。長い一日のペース配分を自分で調節して、仕事に没頭することもできました。
また、職場では、先輩同僚の背中を見てキャリアの中で何が起こるのか、どう対処すべきか、すべきでないかもおおよそ学習することができました。

令和の時代では、その景色はずいぶん変わってきているようです。

技術革新やマネジメント革新、激しい国際競争の中での仕事のしかたが変わることが日常茶飯事になっています。常に専門知識を最新にすることをせまられますが、一方で、業務や組織の変更が頻繁に起こり、自分が取り残されないようにするのに精一杯といった状況も珍しくないことでしょう。

さらに、職場での人の出入りはどんどん激しくなっています。プロジェクト制の業務ではプロジェクト終了と同時にメンバー総入替えが起こり、その度に新しい人間関係を構築する必要がでてきます。また、従来に比べて同じ会社で働き続ける人もいる一方で、転職したり会社を辞めて独立することも珍し事ではありません。身体やメンタルの疾患のために休職したり退職する人も身の回りで目にする、体験することも多くなっています。
その結果職場の人間関係が薄くなり、煩わしさがなくなったと感じる人もいる反面、以前のように先輩同僚に仕事を教わり、仕事ぶりを参考にするような手本となる人物を見つけることは難しくなっています。これは、転職を経験した人であれば、なおさらのことです。

自分で描こう、(より長い)自分のキャリア

このような自分を取り巻く状況が劇的に変化し、対処するにもお手本が探しにくい(正解のない)状況で、周囲に反応するだけやり方では次第に自分を窮地に追い込んでいく結果になりがちです。
さらに、少子高齢化の先進国と言われる日本では、定年が現在の65歳から75歳まで引き伸ばす必要があると、真面目に議論されています。昔は55歳でそろそろ引退といわれていた頃に比べると、現在は更に20年長いキャリア人生を送ることになります。

自分の能力をどう向上させていくか、どこに向かっていくべきか、清水の舞台から飛び降りるか舞台にとどまるか。日々過ごす中で、いろいろな選択に迫られることがありますが、後から後悔しないよう自分の意志をきっちり決断したいですよね。

というわけで、人生を通した仕事ということを考えたとき、今まで先人たちが経験したことがない長い期間、まわりの状況がどんどん変化するという0旅路に、携えていく道具は必要じゃないかというおはなしでした。


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