日記3

2024年7月16日前半
1.雨はその強さによって好きにも嫌いにもなれる天気だ。天気の記憶は私の中で匂いと並ぶくらいに重要なもので、世界が天気のような不安定さを抱えていることに私はいつも安心する。雨が世界の涙とまでは言わないけれど、静かに小雨が降るならば、その瞬間濡れているこの世の物体や生物すべてに共感することができる。
今日は近所のお家の庭に、多種多様な花が濡れているのを見て安心した。身を振って雫を落とすことができなくてもじっと呼吸し続ける花の美しさに、欲求の元食べて寝て時にゾッとする罪を犯す人間の美しさなど、絶対に敵うはずないだろう。

2.服が濡れた。睫毛に水滴がついて、アクセサリーみたいだ。あまりにも綺麗で、傘を差さなかった。

3.私より才能がある人を羨む機会は多いけれど、大抵才能がある人は私にとって苦痛なことをケロッとした顔で続けられる人たちだ。遺伝子によって粗方決まる容姿の美しさでさえ、持っていれば確実に良い方向に傾くとは言えない。表に出て活躍する美しい人は皆その才能を発揮できる努力を惜しまないのだろうなと思う。
しかし、努力するほどに執着するということ自体も一種の才能のような気もする。そしてその才能が幸せに必ず直結するわけではないということも、随分と残酷な話だ。他者の才能を羨むのは何処かズレている気がして、同時に様々な動機にもなり得る自然な感情であることが、とても気持ち悪かった。

4.窓の外でピーと鳥が鳴くたびに、側に生き物がいても触れられないことが寂しくて寂しくて動悸がするのだよ!!


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