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台湾の呂さんの話

はじめに

 台湾への8日間の家族旅行を終え、日常が戻りつつあります。家族や友人と幸せな時間や空間を共有できた達成感と疲労感に浸っています。今回は台湾の大親友である熱帯魚の呂さんについて書いてみます。

出会い

 台湾の熱帯魚界、特に淡水エイにおける大御所である呂帝王(呂承宇)と出会ったのは、ボクにとって初めての台湾旅行となる2018年12月24日でした。
 「せっかくの台湾だから、現地の熱帯魚事情を知りたい!」とFacebookで台湾の熱帯魚関係の人たちを片っ端から検索します。その数百人の候補から選んだたった1人が、呂さんです。
 早速、メッセージを送ると始めは台湾語でレスポンスがあります。英語での会話をリクエストするとその後は英語でやり取りすること数回、結果、台湾滞在2日目にボクのホテルまで迎えに来てくれることになりました。いわゆるネトナン大成功です!!

初めての台湾旅行

ファーム(養魚場)へ

 12月24日の21時過ぎ、呂さんが大きなベンツでボクの宿泊しているホテル(国王大飯店)まで迎えに来てくれました。ちょうどクリスマスイブだったのですが、台湾はクリスマス色が薄く、いたって通常営業です。そんな台北の街で、呂さんのクルマに乗り込みます。助手席には髪が長く素敵な女性が座っています。とても優しく呂さんに理解のある彼女さんでした。

 話はそれますが、当時のボクは海外旅行にまだまだ不慣れで、使い捨てSIMカードを買うことを知らず、公衆WiFiにぶら下がって歩いていた記憶があります。呂さんやお友達の家では、都度、WiFiに繋いで貰って迷惑をかけていました。

 クルマは徐々に台北の中心地から離れていきます。華やかだった街灯も次第に少なくなっていきました。言葉の通じないボクに敢えて気を使ってか、単に楽しいのか、2人は台湾語で談笑しています。
 さて、ボクはどこへ連れて行かれるのでしょうか。少し心配になってきたので、電波の繋がっていないiPhoneでGoogleマップを開いてみますが、当然、機能するはずもなく、自分が今どこにいるか皆目見当もつきません。そんなiPhoneを片手にさらに不安が募(つの)ります。
 ホテルから40分ほど経ったでしょうか、漸(ようやく)くクルマが止まります。呂さんはこっちへおいでと手で招きます。台北とは違う雰囲気の街にちょっぴりビビっているボクが恐る恐る付いて行くとただのコンビニ(たぶんセブン)でした。呂さんは満面の笑みでコンビニの冷蔵庫のドアを開いて「TEA!TEA!」とお茶を選ぶように言ってくれています。

呂さんの自宅兼ファームにて

 ※※ 余談 ※※
 台湾のお茶は基本的に砂糖が入っていてかなり甘いです。お店で「ノーシュガーティー」とオーダーしてもまあまあ甘いお茶が出できます。呂さんにはシツコク“砂糖なし”を確認しました。彼はは「どんだけ甘いの嫌いなん!?」と言っているかのように眉間にしわを寄せていたことをよく覚えています。

 彼の自宅兼第1ファーム(養魚場)に案内されました。そこには親魚用の3mを超える水槽が数本バーンと置かれ、幼魚用の1mほどの水槽が何段も綺麗に整列しています。日本とは全く違う水槽設備と、これまで見たことのない魚種にボクは興味津々です。
 台湾語と日本語をベースとした発音の異なる片言の英語、やっとWi-Fiにぶら下がったアプリによる翻訳、最後はノートに手書きで筆談!で、次第にコミュニケーションも取れるようになり、いよいよ盛り上がってきました。

 「もっと見る?」と500mほど離れた第2ファームへ案内してくれます。そこでは、さらに彼の繁殖する淡水エイやその人生をかけた淡水エイへの思いを伝えてくれました。気が付くと時計の針はあっという間に25時を差していました。
 初めての台湾旅行と現地の呂さん宅の訪問に疲れ切ったボクは眠くて眠くて仕方なかったのですが、昼夜逆の生活をしているらしい呂さんはめちゃくちゃ元気!
 「今から、ご飯を食べに行こうぜ!」と誘ってくれたのですが、「疲れてるから、寝させて…」とお願いすると、「OK!OK!」と同じ道を通り、優しくホテルまで送ってくれました。

広がる

 そして、ボク自身2回目の台湾旅行となる2019年3月には、沢山の熱帯魚仲間を紹介して頂きました。お友達は「彼は凄いよ。彼こそが呂帝王だ。」と呂さんを本当にリスペクトしています。そして、彼らはただの熱帯魚好きの日本人であるボクをとても温かく迎えてくれました。

台湾の熱帯魚仲間と

 これが本当に楽しくて、この後、ボクの中で海外旅行と現地の人との交流がセットになっていくのです。それは2022年のJasperさんに繋がります。

家族ぐるみ

 呂さんのFacebookでは、度々、彼の娘さんが登場します。台湾で彼が運転中に雑談していると「離婚してて、娘と時々しか会えないんだ。」と寂しそうに語ってくれたのをよく覚えています。娘さんの話をすると、目を細める呂さん。本当に可愛くて仕方ないんだろうなと感じさせます。
 今回(2023年3月)の台湾旅行が決まってから呂さんに「3月には家族5人で台湾へ行くよ」と伝えると「それじゃ、家族みんなでご飯を食べよう!」と誘ってくれます。お互いの家族を交えての食事会は3月23日に台北の吉星港式飲茶で実現しました。恐らく英語での会話が出来るであろう子どもたちは人見知りな上に初見で最後まで硬かったです。
 そして、大人たちは片言の英語とアプリによる会話で、食事に気を使いすぎた感があり、盛り上がりにかけました。お互いの家族がニコニコ笑顔で、熱帯魚を通じた国際交流を楽しむことができたと思います。

美味しい小籠包を家族で

おわりに

 コロナ前の2018年冬に「この人でしょう!」と勢いのままに、呂さんへメッセージを送って5年目となりました。普段はお互いのFacebookの投稿にコメントをしたり、気になることはLINEしてコミュニケーションを取っています。
 彼には品種改良した淡水エイを世界に広めたいという夢があります。ボクは日本にいながら、こうしてnoteに書いたり、SNSに投稿したりすることで、微力ながら彼の夢を応援しています。
 彼はコロナ禍にも熱心に品種改良を続け、苦労の末に誕生した新しい品種に大きな希望を持っています。その品種がどのような可能性を持っていて、どう変化していくのか、日本からそして台湾へ出向いて、見届けて行きたいですね。

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