おちつく世界
保育園のときから乗っていた黄色い自転車をパパが粗大ゴミに出して、その次の土曜日に新しい青い自転車が届いた。
パパが外で自転車を組み立てているとき、僕は自転車が入っていた大きなダンボールで遊んでた。
廊下にダンボールを横倒しにして開き口から入れるようにして、ソファのクッションを3つ放り込んだ。
ダンボールの中は僕ひとりがちょうど寝転べるくらいの広さで、内側から蓋を閉めると少し明かりが入ってきてなんだかすごく落ち着いた。
隙間から覗いて玄関のほうを見ていたら、パパが「完成したぞー」と言いながら入ってきたから、僕はダンボールから飛び出してパパを驚かせた。
僕は「パパも中に入ってよ」といってパパをダンボールに閉じ込めた。
小さく屈んで中に入っていったパパに、いいって言うまで出てこないでねと蓋の隙間から声をかけた。
ママを箱の前に連れてきて、バーンって言いながら蓋を開けると、段ボールの中には3つのクッションしかなかった。
パパはそのままどこにもいなくなった。
資源ゴミの日、そのダンボールを捨てようとするママを泣いて止めたけど、結局僕が学校に行ってる間に捨てちゃってた。
次に自転車を買い換えるとき、もっと大きなダンボールで届くかな。
パパが窮屈じゃない広さで、バーンって飛び出しやすい大きさで。
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