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思い込みって防衛だよね

【注意】このノートは、映画『思い、思われ、ふり、ふられ』を踏まえて書いており、ネタバレを含みます。

まずキャストについて触れさせて下さい。執筆者は流行に疎いもので、本作で由奈役(福本莉子さん)と乾役(赤楚衛二さん)のお二人を初めて拝見しました。尊いまであるお顔だけでなく、どこか哀愁を帯びた演技に、失礼を承知で言葉を選ばず言うなら、俳優ってすげえな。

メインキャストは、さらに朱里役(浜辺美波さん)と理央役(北村匠海さん)を加えた4名。親の再婚により姉弟になった朱里と理央、理央を想う由奈とその幼なじみの乾という人物構成です。結論からいうと、恋愛もので片付けるには勿体ない作品でした。

朱里は母親の再婚によって二度、家族の再編成を経験しています。家族が壊れる瞬間にトラウマとも呼べる感情が根底にあり、理央に想いを告げられません。一方で理央は、告白を決心したその日に父親の再婚相手が朱里の母親だと知らされ、完全に告白のタイミングを失ってしまいます。

朱里の友人の由奈は、自分に自信がなく、恋愛にも消極的な女の子です。乾は、俳優を志し、両親と喧嘩して家を出た兄の影響を強く受けています。自分が両親の望み通りの息子であるため、映画制作の仕事がしたいという夢を隠して生きています。

自論ですが、理央や由奈目線では恋愛ベース(ちゃんと恋愛ものとしての着地点もあるのでご安心を)、朱里や乾目線だと思春期特有の葛藤が主体となっていて、観ていて辛いです(by 大学生の私)。

乾は、「兄さんの分も俺が家族のバランスを取らなきゃ」
両親は自分の夢を応援してはくれないという思い込みから、やりたいことができないのを家出した兄のせいにして、傷つくことを恐れています。

叶うか分からない大きな夢って人に言えないですよね、特に世間一般でいう普通から逸れた夢だと。まあ、叶うか分からないから夢って言うんですけどね。

♪Official髭男dism「115万キロのフィルム」

朱里は、自分の気持ちを我慢すれば家族は上手くいくという思い込みがあります。日常から「私傷ついてないよ」のアピールが癖になっていて、自分の優先度が低い。

〇〇しなきゃいけないものと、〇〇すると良いものって違うんですよね。自分のせいではない、悪くないことまで責任を感じるmustとcouldが混同している状態を経験した人は多いと思います。

私は、自分を守って生きていくのが悪いとは思っていません。受ける傷に耐えきれないと本能で思っているからこそ、防衛という手段を選ぶわけで、打たれて強くなれ方針を推進するわけではありません。

しかし、傷つかずに大人になれた人はいないと思っていて、大袈裟にいうと、大人は逆境に打ち勝ち、葛藤を乗り越えた戦士たちとでも言いましょうか。
最近観た映画で「LITTLE WOMEN(邦題:ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語)」という作品があります。時代背景は違えど、藻掻きながら生きる4姉妹が見られるのでオススメです。女性目線なので好き嫌いは大きいかもしれません。私は最近観た映画で1番泣きました。
自身の中での葛藤と、周囲の環境による影響。思春期って対処できないのに抱えるものが大きいですよね。

夢、恋、希望、たまに前進して、少しずつ大人になっていけば良いのかもしれません。向いている方が前とも言いますし、葛藤した経験もマイナスにはならないはずです。

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