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【自作詩;】 自由を謳歌する者へ

自由を謳歌する者へ

もし今 あなたの部屋に雑誌や葉書があるならば
おそらくそれは 埃をかぶり 黄ばんでいることだろう
私はその時代がなんだか懐かしい

新聞に書かれていた言葉はよく選ばれたもので
雑誌も読者の交流の場だった
統制されていたとはいえ その時代には

罵りの言葉といったものは
学生運動や反対運動によって叫ばれていた
姿形(なり)を潜めていれば 穏やかに過ごせたかもしれない

でも今は違う 

交流を楽しみたいだけの人たちが
インターネットやツイッターの中で 

同じように 等しく
革命家や政治家の本音を見せつけられている

言葉を自由に操っていると思う者たちよ
その自由を謳歌するが良い
声高に叫べるのも 今だけなのだ
そして その努力が無駄であることを知るが良い

いつの時代も 真実を語る者は
見せしめにされてきた
どの国にもそのような黒歴史がある

たとい後からその者が「正しかった」と証明されても
その証拠は黒塗りにされたまま
自分の非を認めようとしない

言葉は強い しかし権力も強いのだ
「正しさ」が自分の中にあるならば
信念を貫きなさい

今は見えないあの多くの人たちの勇姿を
あなたは思い出せるか 
怒り 緊急感 毅然とした表情を
あれこそ言葉の正しい使い方だ

ツイッターから言葉で誰かを殴っても良い事はない
詩は詠ずるものだが 自己との対話でもある

私は言葉には力があると信じている
しかし 私の中にある信念や希望は潰える事はない
足枷や死をもってしても剥奪できなかった

言葉の自由を謳歌する者へ
語るという喜びを知りなさい
そして絶望を知れ 

多様性は自由の一部にしか過ぎない
自由は奔放とは似て非なるものだ
その自由を選んで 苦しんだとしても
それは自分が望んだ事に含まれている

批判する者は また別の者から批判される
正しさ 正義 確かな希望が支えるのでない限り
打ちのめされ 傷つき 癒やしようもなくなる

言葉の責任は発言した者のみに課されるからだ


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