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少年だった頃の僕

灰色の雲と白い雲が広がる空
風が連れてくる草木の匂い
キラキラしながら公園で遊ぶ
子どもたちの声
記憶の中で少年だった頃の僕に出会う
心の中の宝物をいっぱい抱えながら
何かを夢中になって追いかけてた
勉強ができるあの子より
不思議の数はたくさん持ってた
あの頃の澄んだ瞳の僕が
耳元でそっと、ささやく
「大丈夫。なんとかなるよ」と

突然降りだした大粒の雨
大人たちは急ぎ足
僕は少年だった自分の手を取り
一心不乱に走り出す
少年は突然立ち止まり首を振る
そうだ、雨に濡れるの好きだったんだ
少年の僕と雨に濡れているうちに
モヤモヤしていた気持ちも
雨に流されてゆく
悩んでたことが、どうでもよくなってきた

雨が上がり、少年の僕が手を振る
「また来るね」
少年の僕は一度も振り返らずに
走り去ってゆく

今はもう、あの日の僕にも
少年だった頃の僕にも
しばらく会っていない




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