#5 高嶺の花でしょ


 私は弱い。ひとの意見に乗っからないと生きていけない。
 中学校に入ってから初めてできた友達。全部が全部同じ意見じゃなかったし、合わないなとおもうことがほとんどだった。

「ねぇ___ちゃーん。同性愛ってきもくね?」

そんなことは無いと思った。いや、無いと願っていた。友達は私に悪口を言っているつもりは無い。これが世間一般論だからこんなにもはっきり言えるのかと。

「ま、まあ多様性の時代だからね、」

この答えがベストだと思った。あからさまに否定するのも怖かった。

「え、___ちゃん同性愛者なの、!?」


「ち、違うよ!」



 気づいた時には言ってしまった。今私は自分自身を否定した。
 "非"世間一般論を受け入れることはいけないことでもあるかのように。





私は桜ちゃんが、桜ちゃんが、、



「好き、」




この二文字の重さは相当なものだ。




(だって桜ちゃん、)






「高嶺の花でしょ、?」





(首から上がなんか熱い)




滲んだ涙を無視するような夕日が独りぼっちの影をうつした。








-続く-

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