サブスクリプションビジネスの本質 〜『5年で500%の収益差』を生み出すサブスクリプション事業の『超重要KPI』とは?〜

『5年で500%』

これは、あるサブスクリプションサービスの解約率(チャーンレート)が現状の解約率に対して10%低かった場合、5年後に生まれて来たであろう月次収益(MRR)の差です。

「たった10%の違いが、5年後の収益に500%の違いとして跳ね返ってくる」

つまり、「顧客がどれだけ長い間、継続的に自社サービスを利用し続けてくれるのか」によって、サブスクリプションサービスの命運が決まるのです。

裏を返すと、解約率(チャーンレート)がどのような状態にあるかをレビューすることによって、サブスクリプションサービスの生死をある程度、読み取ることもできます。

実際に、サブスクリプションサービスに投資を行うベンチャーキャピタル(以下:VC)は、まず間違いなく投資先サービスの解約率(チャーンレート)の推移をチェックします。そしてVCは、解約率(チャーンレート)に対する投資先経営陣の思想を、投資の意思決定における重要材料として扱います。

顧客が長く利用してくれないサブスクリプションサービスに対して、投資家は期待を抱きません。期待を抱かなければ、もちろん投資もしません。

サブスクリプションサービスは、どうしてもまとまった売上が上がるようになるまでに長い時間を要します。VCやエンジェルからの投資などがないと、なかなか成り立たないのが現状です。

つまり、「顧客にどれだけ長く、継続的に自社サービスを利用してもらうか」という点が、サブスクリプションサービスを提供する企業が熟考すべき最重要事項なのです。

そして、解約率(チャーンレート)は、サブスクリプションサービスの生死を分かつ超重要KPIであるというわけです。

誤った考え方として、「単純に収益が安定するから」「休眠顧客からも売上が入って旨味があるから」といった理由でサブスクリプションサービスの提供に乗り出す企業が数多く存在しているのも事実です。

しかし、これはサブスクリプションサービスのメリットではありません。このような考え方でスタートしたサブスクリプションサービスは、まず間違いなく淘汰されていくでしょう。

それどころか2021年現在では、「月額定額制のサブスクリプションサービスは淘汰され、全てのサービスが従量課金制のサービスへと変化してくだろう」とも言われ始めています。

このような変化が起こっているのは、なぜでしょう?

それは、消費の主導権がメーカーから消費者へと移行したためです。

インターネットが発展し、購買の決定要件に「消費者のクチコミ」が大きな影響力を持ち、また、物を所有する所有欲が減退している現代において不要なものはすぐに手放す事ができる環境を市場が欲するようになったためです。

一方で、サブスクリプションサービスや従量課金制のように顧客と長期に渡ってコンタクトできる仕組下においては、「顧客の声や要望」を集めながら、継続的にサービスのブラッシュアップを行うことができるのです。

例えば、「利用開始から半年後に解約」する顧客が多いサブスクリプションサービスであれば、利用開始4〜5ヶ月の時点で半年後以降の「割引」や「特典」などのインセンティブを設けると同時に、そのインセンティブを提供する代わりに顧客インタビューをさせてもらい、そこで出てきた顧客の生の声をサービスの改良に当てていく、といった事が実現できるのです。

「特典がもらえて、更に自分の要望が反映された、不満が解消された」となれば、顧客は喜び、サービスを利用し続けてくれる事でしょう。

これは、売り切り型の商品やサービスでは、なかなか実現できない事です。


これからサブスクリプションサービスに乗り出す企業の皆様、絶対に間違えてはいけません!

サブスクリプションビジネスのメリットは「単純に収益が安定するから」「休眠顧客からも売上が入って旨味があるから」といった点ではなく、「顧客の声、要望を集めながら、継続的にサービスのブラッシュアップを行うことができる」という点にあるのです。

そして、提供するサブスクリプションサービスの「解約率」が低く、継続的に利用してもらえるサービスに育てることができたならば、成果もお金も、必ずあとから”複利”でついてきます。

サブスクリプションサービスを通じた「顧客の成功」を真剣に考え、サービスをブラッシュアップしていきましょう。

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