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【団体インタビュー06】環境ボランティアサークル亀の子隊

今年度からスタートした「団体インタビュー」は、ふるさと清掃運動会に参加していただいている団体や企業に、活動内容やふるさと清掃運動会への想いなどを取材する企画です。およそ月1回のペースで更新しています。
第6回となる今回は、愛知県渥美半島で約30年にわたって活動されている「環境ボランティアサークル亀の子隊」(以下:亀の子隊)代表の鈴木吉春様を取材しました。小学校の教員として子どもたちと始めた活動を長年にわたり継続されており、遠方から参加される方や企業と連携した活動にも取り組まれています。人生を懸けた熱い想いに迫りました。
 

毎月定例で清掃活動、海ごみゼロ運動にも参加


ふるさと清掃運動会事務局(以下:事務局)-
亀の子隊には今年2月の報告会や環境ボランティア交流会へご参加いただいています。また、4月には事務局が亀の子隊の清掃活動へ参加させていただき、雰囲気を感じることができました。現在の活動について教えてください。

亀の子隊-
愛知県渥美半島(田原市)西の浜にて、月に1回の定例清掃を行っています。毎回50~60名に参加してもらっています。

事務局ー
定例清掃以外にはどのような活動をしているのでしょうか。

亀の子隊-
今年6月には海ごみゼロ運動へ参加、4月にトヨタ自動車のグループ会社と活動を実施、11月にも実施予定で、年間14~15回程度活動しています。

清掃活動の様子

  
小学校の授業からスタート

事務局-
活動を始められたきっかけは何だったのでしょうか?

亀の子隊-
勤務していた小学校の総合学習の時間に西の浜を訪れたのがきっかけでした。ゴミ処理場よりもゴミが多いという状況を目の当たりにし、子どもたちと一緒になってゴミ拾いを始めました。子どもたちの「西の浜はゴミ箱じゃない」という言葉が印象に残っています。活動を続けるのであれば、学校としては休日の活動に責任を持てないということで、独立して続けることになりました。

西の浜の様子。筆者も一度拾いに行きましたが、ゴミの密度に驚かされました。

木曽三川沿いの広範囲からのゴミ

事務局-
渥美半島を拠点に長年活動をされていますが、地域特有のゴミ問題はありますか?

亀の子隊-
広範囲のゴミが集まるのが特徴です。木曽三川(揖斐川、木曽川、長良川)から出たゴミが伊勢湾で滞留し、太平洋の流れに押し戻されて西の浜に流れ着きます。看板などが流れ着くことで、どこから出たゴミかがわかり、遠くは岐阜県郡上八幡からのものもあります。ハングル文字のゴミもあり、これは三河港に入ってくる船から落ちたもので、川からのゴミだけではありません。

ゴミは広範囲からやってきます

パチンコ屋など企業とのコラボ、行政からのイベント講師やエコツアーも

事務局-
広範囲からの大量のゴミを団体単独の活動では処理しきれないと思います。他の団体や企業と連携されている事例があれば教えてください。

亀の子隊-
今年4月にトヨタ自動車のボランティアチーム(職長会)が参加、11月の清掃にもトヨタ紡織のチームが参加予定です。また、地元のパチンコ屋からも毎月5~6名の参加があります。きっかけは、パチンコ屋が田原市内に進出した際に声をかけてもらったことで、10年以上の付き合いになります。店舗で推薦してもらい、遊戯業組合が運営している表彰制度で表彰してもらったこともあります。

※上記だけではなく、公的機関の様々な表彰を受けた実績がある。
◇ 表彰の記録
1 平成12年12月 渥美郡生徒指導推進大会表彰
2 平成15年11月 蒲郡海上保安署から感謝状を受ける
3 平成16年 7月「海の日」海事関係者功労者表彰 「中部地方整備局長表彰」
4 平成17年 8月 愛知県ボランティア表彰
5 平成17年 9月 渥美町閉町式記念式典 感謝状
6 平成17年11月 第6回中部の未来創造大賞  優秀賞
7 平成20年11月 全国社会貢献者表彰  日本財団賞
8 平成21年10月 東海 経営と心の会  心の賞
9 平成22年3月 Make a CHANGE Day  奨励賞
10 平成25年10月 田原市一般表彰「他の模範となる活動」
11 平成26年5月 愛知県パチンコ芸能大賞・福祉応援賞
12 平成28年11月 生物多様性アクション2016審査委員賞
13 平成29年4月 「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰
14 平成30年12月 生物多様性アクション2018 入賞
15 令和元年11月7日 インフラメンテナンス大賞 優秀賞
16 令和2年10月15日 あいち・なごや生物多様性ベストプラクティス大賞
17 令和4年2月10日 愛知環境賞 優秀賞
18 令和4年2月15日 第22回中部の未来創造大賞        中日新聞社賞

事務局-
ふるさと清掃運動会が主催した全国一斉清掃でも感じましたが、パチンコ屋とゴミ拾いの親和性は高そうですね。行政とコラボしたことはありますか。

亀の子隊-
愛知県のシニア環境学習推進事業、あいちecoティーチャー養成講座で講師をしたことがあります。11月5日の活動では、ゴミ拾い+90分のプレゼンを行いました。地元の観光案内から始まり、亀の子隊の活動内容、西の浜におけるスナメリ漂着などの内容をお話しました。清掃だけではなく、10年ほど前から地元の魚を食べたり、塩づくり体験ができるエコツアーも開催しています。

エコツアーの様子

 今年1月にNPO法人化

事務局ー
活動する上で課題とお感じになっていることはありますか?

亀の子隊-
2つあり、1つ目は地理的な問題です。活動場所は自家用車でないと来ることができないため、子どもたちの参加が親の送迎の都合で制限されることがあります。2つ目はお金の問題で、助成金をいくつか活用していますが、安定性に欠ける部分があることです。

事務局-
今年1月にNPO法人化されたことで何か変化はありましたか?

亀の子隊-
NPO法人として登録することで、活用できる助成金の幅が広がり、事務局の人件費に充当できるものも選択肢に入れることができるようになりました。活動の継続性を考えると、とても大きいことだと感じています。また、総務省に登録届を出したことで、繋がりを持ちたいと連絡をしてくれる方もおり、活動の幅が広がると感じています。

教員と活動の両立

事務局-
教員と活動の両立はどのようになさっていたのでしょうか?ふるさと清掃運動会の事務局も普段は会社員なので、参考にお聞きしたいです!

亀の子隊-
平成30年3月まで教員として勤務していました。活動開始当初は、総合的学習が確立する前だったので、地域と一緒に課題を解決するということへの理解が得られにくく、バッシングもありました。活動が軌道に乗ってくると、「時間」の問題が出てきました。特に活動が学期末と重なると大変でした。ただ、活動を開始したのは40歳過ぎの時で、部活動の顧問として中心的役割から外れ出した時期だったため、時間に比較的余裕があったのかもしれませんね。

事務局-
退職されてからはどのようなことをされていますか?

亀の子隊-
環境カウンセラーの資格を取得し、渥美半島環境活動競技会CAEAを設立して活動しているほか、田原市民活動支援センターの運営にも関わっています。また、東日本大震災復興支援も続けており、現地への訪問や南三陸町チャリティ物産展を開催しています。

物産展。現地に足を運べなくても、支援できる方法があるのかもしれません。

ふるさと清掃運動会には繋がりを期待、継続性が重要!

事務局-
さまざまお話を聞かせていただき、ありがとうございます。亀の子隊がふるさと清掃運動会に期待することはどのようなことでしょうか?

亀の子隊-
亀の子隊の場合は、地理的な制約もあり、広報活動が課題だと感じています。亀の子隊は知らなくても、ふるさと清掃運動会を知っている学生や企業がいると思うので、ふるさと清掃運動会のHPで亀の子隊の活動を広報するなど、繋がりを作ってもらうことを期待しています。

事務局-
最後に、この記事を読んでいる皆さんに向けて、今後の抱負などあればお聞かせください!

亀の子隊-
NPO法人化したこともあり、継続性がカギになると感じています。継続するための組織作りにしっかりと取り組んでいきたいです!

事務局-
本日はお忙しい中インタビューに答えていただき、ありがとうございました!

西の浜はゴミ箱じゃない!

 HPも是非ご参照ください!

毎月1~2回の活動の様子がアップされています。エコツアーなど、清掃活動以外の情報も更新されていますので、是非ご覧ください。
亀の子隊HP:http://kamenoko.org/


【取材】
2022年11月13日
亀の子隊:鈴木様
事務局:久保・野口

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