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ノルウェー・クリスマス前の風景

今回は「ひぐち@デンマークで仕事中」様のクリスマスカレンダー企画に乗っからせていただいて、ノルウェーのオスロよりクリスマス前の様子をお届けしたいと思います。

まずはこれ。クリスマスの風物詩(?)ということで。

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クリスマスカレンダーのスクラッチくじで~す。多分他の国にもあると思います。

クリスマス企画で他の国の方がすでに説明してくださっていますが、念のためクリスマスカレンダー(アドヴェントカレンダー)の説明をいたします。クリスマスカレンダーというのは12月の1日から24日までの日付が描かれた「扉」をもつカレンダーのようなものです。それぞれの日付の「扉」の中には「小さなお楽しみ」が入っていて、クリスマスを待つ期間中、毎日ひとつずつ「扉」を開けて楽しむ、という欧米の伝統です。「扉」の中に入っているのは小さなチョコレートだったり、ちょっとした「おはなし」だったりとバリエーションに富んでいます。
我が家の場合はクリスマスカレンダー・スクラッチくじバージョン! 夢があるのやらないのやら。一日一くじ、日付に沿って一つずつ「扉」を開けていきます。
日本の方が「年末ジャンボ宝くじ」を買う感じで毎年買っている、我が家のクリスマスのお楽しみです。
(ちなみに12月14日現在当たっていません。当たりくじの賞金は50クローネから50万クローネです。日本円で600円から600万円くらい。)


せっかくの機会なので久しぶりにオスロの中心街に出て写真を撮ってきました。ノルウェーオスロの街は今こんな感じです↓。

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街の中心の広場でクリスマスマーケットをやっています。これはかなり最近始まったもので10年もたっていないんじゃないかなあ。ドイツなどのクリスマスマーケットを参考に(マネ?)したみたいです。本場にはかなわないけど、少しはクリスマス前の雰囲気を盛り上げるのに貢献していると思います。昔と比べてずいぶん華やかになりました。

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オスロの中心街に出かけたのは12月8日。10日にオスロ市庁舎でのノーベル平和賞の授賞式を控えており、受賞者がグランドホテルに滞在されていたためホテル前には警備の方がたくさんおられました↓。

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オスロ大学旧校舎前に建てられるクリスマスツリーは長年の伝統です。

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12月23日

さて、ノルウェーでクリスマスの本格的な行事が始まるのは12月23日、「Lille juleaften」(リッレ・ユーレアフテン)、小さなクリスマスイブと呼ばれる日です。この日には夕食にミルク粥を食べることになっています。お米を牛乳で炊いたものです。日本人には抵抗があるかもしれませんが普通に食べられます(味は後がけの砂糖などでつけるので、粥自体はあまり味がない。)

23日にお粥を食べるときにはお鍋にアーモンドを一つ忍ばせておきます。サーブされたお粥ににアーモンドが入っていた人が「当たり」でお菓子など賞品をもらえます。また、残ったお粥のうち少量を「fjøsnissen」(フョースニッセン)と呼ばれる小人におすそ分けということで、外に置いておくという伝統もあります。

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12月24日

24日の夜、クリスマス・イブはノルウェーでのクリスマスのクライマックスです。

午後5時に正式に「クリスマス・イブ」に入ったことが宣言されます。それからはクリスマス・ディナー、プレゼントの開封、とイベントが目白押しです。
まずは家族でクリスマス・ディナーを食べ、それからお楽しみのクリスマスプレゼントの開封です。プレゼントは買ってからクリスマスになるまでの期間、ずっとクリスマスツリーの下に置いて置きます。プレゼントが見えるところにあるのに開けちゃいけないという、子供にとっては辛い期間が続いてきたわけですが、ようやく待ち時間も終わりです。「おじいちゃんから○○ちゃんへ」というようなタグを頼りにそれぞれにプレゼントを配られると、待ちに待った開封です!子供にとっては一年で一番わくわくする行事ですね。

子供がいる家には、サンタさんが訪ねてきてさらに子供たちにプレゼントをくれることも!
サンタさんが来るときは何故かお父さん又はおじいちゃんがいなくなっているというのが定番です(さて、何故でしょう?)。サンタさんが去った後、いなくなっていたお父さん/おじいちゃんがひょっこり戻ってきて、「え~?!サンタさん来てたの~?!会えなくて残念だったなあ!」という小芝居で締めくくってプレゼント開封は終了です。

プレゼント以外のクリスマスの楽しみと言えば、やはり食べ物!
まずはお菓子について。ノルウェーのクリスマスには7種類のクッキーを用意したり、「Julekake」(ユーレカーケ)と呼ばれるフルーツの入った甘いパンを焼く伝統があります。ユーレカーケはイタリアのパネトーネみたいなものですね。7種のクッキーについては下のイラストをご覧ください。

ユーレカーケを焼きました。まずはちょっと味見。
ブラウンチーズをのせたりして食べます。

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さて、クリスマス・ディナーはノルウェーの一年の行事の中で一番フォーマルなイベントといっても過言ではないと思います。
そのクリスマス・ディナーで供される最も一般的なメインディッシュは「豚バラのロースト」です。地方によっては羊のスペアリブや鱈の塩茹でを食べるところもありますが、統計によるとノルウェー家庭の半数以上が「豚バラロースト」をクリスマスに食べるそうです。

豚バラ肉は3キロ~4キロくらいの塊肉を買うのが一般的かな?クリスマスイブの1日から2日前に塩コショウをし、イブ当日にじっくりオーブンでローストします。身の部分はジューシーで皮部分がベーコンスナックのようにパリパリ、サクサクになればお料理上手の証。
昔は「ローストの出来が沽券にかかわる」とばかりにナーバスになっている人が結構いました。今でもクリスマス時期には「豚バラロースト電話相談室」が設置されるんですよ。電話をかければ「皮がパリパリにならないんです。どうすればいいですか?!」という相談に答えてくれます。

さらに2016年以降はノルウェーの国営放送で12月24日に豚バラローストTVを放送しています。朝から7時間に亘ってオーブンの中で焼けていく豚バラをただただ映し続けるという物凄い番組です。オーブンの温度なども画面に表示してあるので、自宅でテレビの指示に従ってローストすれば、ちょうどディナーの時間に「絶品豚バラロースト」が焼きあがるということになっています。

こういう絵面を延々7時間放送するわけです。
端の温度は現在のオーブン内の温度と肉の中心温度

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左下の折れ線グラフはオーブンの温度と時間の予定表。
時々BGMのレコードを交換するという演出が挟まれるので
レコードプレーヤーが右上に映っています。

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焼きあがったローストポークには茹でたジャガイモとキャベツの酢煮(お手軽ザワークラウトのようなもの)などを添えてクリスマス・ディナーに供されます。おいしいですよ。かなり重ための食事ですが。

うちは今年のクリスマス・ディナーは親戚のお宅でごちそうになることになっており、替りに翌日25日、Julefrokost(ユーレフロコスト)と呼ばれる日中のコールド・ビュッフェに親戚を招くことになっています。なので、イブ当日のローストは訪問先にお任せ。

代わりに25日のビュッフェ用にあらかじめ豚バラローストを焼いておきました!皮もサクサクになりましたよ~。小分けにして冷凍、25日当日に解凍して少し温め、薄切りにしてビュッフェの一品としてサーブする予定です。

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せっかくなので焼き立てを少し切り分けて夕飯にしました。
ソースをかけてから写真撮ればよかったな~。

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12月25日・26日

12月25日は「クリスマス第一日」と呼ばれ、教会でクリスマスのミサが行われます。でもノルウェーでは「クリスマスは宗教行事ではなく、伝統行事だから」といって教会には行かない人の方が多いような気がします。少なくとも都会ではそういう印象ですね。
この日、前日のイブのごちそうの残りを利用して(建前としては)、「Julefrokost」(ユーレフロコスト)と呼ばれる身内の食事会が催されるのは上でご説明した通りです。

26日の「クリスマス第二日」までがノルウェーの祝日になっています。27日からは平常通り仕事が始まります。でも、有給休暇や土日を組み合わせて年明けまでの長期休暇にしてしまうのも一般的です。お正月の休みは元旦のみ。2日からは普通に日常に戻ります。日本人の私には物足りないです。

  ツリー買いました。モミの生木で7000円くらい。
2~3週間しか飾らないツリーに7000円はどうかと思いますが、
夫のこだわりなのでここは譲る。
オスロではツリーはクリスマス後に回収されコンポストになります。
ちょっとはエコかな?

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長い記事をここまで読んでいただきありがとうございました。

では皆様、良いクリスマスをお過ごしください。ひぐち様、楽しい企画ありがとうございました。

God jul!

(グーユール、ノルウェー語の「メリークリスマス」です。)


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