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さがり花 * チェンマイ俳句毎日

【チェンマイ俳句毎日】2024年6月28日


置く足をためらう朝のさがり花
さがり花踏みたくなくてまはり道

今日は家を出たのが朝9時を過ぎていて、遅いスタートになった。少しでも運動をしなくてはと公園に寄ったら、地面の一部が赤くなっているところがある。サガリバナの季節だ。

この花は、木の高いところに房状に垂れ下がって咲く。花びらよりも花蕊ばかりといった印象の2センチ弱くらいの小さな花で、その花をあまり見かけないのは、夕方ごろから咲き初め、朝には散ってしまうからだ。

朝7時頃に来れば、まるで雪が降るように降りしきるところを見られたはずだが、出遅れた今日はいくら木の下で見上げてみても、ひとつも落ちてこなかった。

3年前、コロナ禍の真っ最中のちょうど同じ季節に、早朝の公園に来てみたら、サガリバナの赤い花が満開で、いつまでもいつまでも花を降らせ続けていた。人がほとんどいない、静けさの中でそれはあまりにも幻想的な光景だったのでしばらく立ち止まって見上げていたら、私の後ろで、ウォーキングに来た西洋人も無言で見上げていた。

その時に詠んだ句は、

しんしんと蕊降りしきるさがり花

この句は、「作者がその場に長い時間佇んでいる感じが伝わる」と句会で褒められた。サ行の音が重なるところは自分でも気に入っている。俳句は写真のように、読み返すとその時の感情まで思い出す。その感情が、読んでくれた人の心に伝わる表現になっているかどうかが、大切なのかなと思う。

今日は(も)いかにも類想句がありそうなベタな句しかできなかったので、以前の句を紹介するというズルをしました(苦笑)。


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