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AIが書いたブログがニュースサイトで1位に、ビジネスへの応用をAI専門家の目線で考えてみた

大学生がAI(人工知能)に自動で書かせたブログが
ハッカーニュースというサイトで1位になったらしいです。
もちろんAIが書かせたということを閲覧者には伏せての結果です。

おそらく複数の生成したブログ記事の合計でしょうが
2週間分のデータを集計したところ、ブログの閲覧者は2万6000人、とあるのがすごいです。
普通にブログ運用しててもそんなにユーザーが集まるのはちょっとした人気サイトと言えるのではと思います。[1]

その1位になった記事のタイトルは
"Feeling unproductive? Maybe you should stop overthinking."
(翻訳:生産性のなさを感じる?考えすぎはやめるべきかもね)
らしいです。

これはAI界隈では少し前からこの言語処理技術がすごいと話題になっていた
"GPT-3"という技術が使われています。
この技術をはじめとして、ビジネスにどう使えるのか?
そしてこの延長にどんな技術があって、どうテクノロジーが変わっていくのかを考えてみました。

ライティングの補助的自動化

一番はこのブログの使われ方と同じ、ライティングの補助的な自動化が思いつきます。

「補助的」といっているのは、GPT-3並びに既存のAIは
基本的に"それっぽい文章を書く"のがうまいだけなので
本当の意味を思考しているわけではありません。

だから人間のライターが書く文章をすぐに代替することは
この技術の延長では難しいでしょう。

ですが、補助はできます。
特に人間が追いかけきれない膨大なデータを学習して最適解をアウトプットするのは得意です。

例えば「広告配信ネットワークで人が最もクリックするようなライティングをする」というのにはかなり効果的でしょう。
しかも「ターゲットにより変化させる」こともお手の物でしょう。

人間のライターが考える場合には経験や勘といった機械にはない要素もありますが
数十万・数百万オーダーの膨大なデータになると最適解を追いかけるのは難しいでしょう。
機械はその大規模データから「どんな商品にどんな文章でどんな人が広告をクリックした」を余すことなく学習できます。

だから大規模広告配信ネットワークなどでは最終的に人の修正が入るにしても
かなり有力な候補をアウトプットできると想像しています。


専門性のある文書分類(法律・会計など)

次には「専門性のある文書分類」が適用先として挙げられると思います。

これまでも法律の文書分類を人間の弁護士よりも高精度かつグッと期間を短縮してAIが行うことができた、ということがイギリスあたりで事例としてあったと思います。

ビジネスで使われるかどうかのキーになるのは
「人間より優秀か」
ということでしょう。

よく「AIはよく間違える、人間のしない間違い方をする」とか言われますが
人間だって間違いを起こします。
「なんとなく間違える前提がある機械に任せたら不安」という「なんとなく」を
しっかり精度で人間を超えていることを示せれば
あとは導入しない合理的な理由はありません。

AIの文書分類で相性が良いな、と思われるところが「士業」です。

なぜなら「士業」は基本的には法律やルールに則って定型的に処理をする業務を多く含むからです。
特に機械は難しい言葉、長い言葉、画数の多い漢字、などには強いです。

なぜなら機械上は文字の見てくれは関係なく基本的には
文字に番号が振られて処理されているだけだからです。
(たとえば 裁判→1, 原告→2,...とかそんな形で)

会計士・弁護士・・・などを補助する形のAIが登場する、というか登場しつつある段階ですよね。
例えばクラウド会計ソフトに仕訳のレコメンドなんかはすでに出てきている?か近いうち登場する気がします。


人間を代替するには違うベクトルの技術革新が必要

今回、ヒットしたブログを書いたAI技術のGPT-3がどんなものか軽く技術的な中身を見てみましたが
すごく革新的なアイディア、というより大きな組織(GPT-3はOpenAIというイーロン・マスクの組織が開発)に
ありがちな「巨大なデータを集めて巨大なコンピュータで学習させる」という荒業も使っているようでした。

一説にはコンピュータに約1200万ドルくらいかかっているんじゃないか、というウワサもあります。[2]

本当の違う種類の「人間の思考をするような」アルゴリズムは
もう少し先の技術革新を待つことになるでしょう。

個人的には大体、どんな感じでどうなるか、という予想ついているつもりです。
はやくて5年、遅くとも15年で技術革新が来ると思っています。

<参考文献>
[1]https://gigazine.net/news/20200817-gpt-3-blog-got-26-thousand-visitors/
[2]https://www.infoq.com/jp/news/2020/08/openai-gpt3-language-model/

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