見出し画像

図書館司書が見た本屋大賞の裏ヒット作『店長がバカすぎて』

こんにちは、古河なつみです。
今年の本屋大賞のノミネートが発表され「またこの季節がやって来たなぁ……」と感じます。

私が司書として働いていた時に予約の手続きがグンと増えるのが「本屋大賞=直木賞>>芥川賞>>>その他の文学賞」という感じだったので「利用者さんの質問に素早くこたえられるようノミネートされた作品と作家さんの名前を覚えるように!」と、ある職場では小テストのようなプリントを毎回配ってくれたのを思い出します。

本屋大賞を受賞した小説は基本的に2年~3年ほどで予約の待機が解消される場合が多く、ノミネート作は1年以内には本棚に並ぶようになるのが常となっています。

ところが、私が司書をしていた中で一冊だけ例外の人気を獲得している小説を見つけました。

それが早見和真さんの小説『店長がバカすぎて』(2020年度ノミネートで9位)です。取り扱っている自治体にもよると思いますが、私がお世話になった職場の図書館では2023年現在でも予約待機が解消されていません。

『店長がバカすぎて』はコメディタッチで書店の人々の様子を描いたドタバタお仕事小説です。主人公の女性のツッコミや悪態が強めなので、合う合わないはもちろんあると思いますが「書店さんではこんな苦労もあるのかぁ……」という発見や、「うわ~!接客業あるあるだ!」という共感できるポイントもあるので、ライトで楽しい小説を読んでみたいな、と思った時にぴったりの小説だと思います。

後々気づいたのですが『店長がバカすぎて』がノミネートされて以降の早見さんの新刊にはたくさんの予約が付くようになったので、元々面白い小説を出されていた方が、本屋大賞をきっかけに名前が知られた好例とも言える出来事といえるでしょう。

本屋大賞などの大きな文学賞には常に賛否が付きまといますが、やはり書店員さんのオススメを知れるいいきっかけになると思います。特に図書館では評価の定まった有名な作家さんの情報はたくさん集まるのですが、新しくデビューされた作家さんのエンタメ作品については疎くなりがちだったので、この本屋大賞の存在はとても助かりました。

個人的にも司書になる前……こどもの頃から楽しみにしている賞なので、これからももっともっと盛り上がるといいな、と応援しています。

ここまでお読みくださりありがとうございました。
それではまた、お会いしましょう。

古河なつみ


まずはお近くの図書館や本屋さんをぐるっと回ってみてください。あなたが本と出会える機会を得る事が私のなによりの喜びであり、活動のサポートです。