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病気の祖母と孫の絆を描いた絵本『マールとおばあちゃん』

こんにちは、古河なつみです。
新しい仕事に就いて試用期間が終わった途端のハードなデスクワークに目を回してしまって、随分更新が遅くなってしまいました……たくさんのスキやフォローをありがとうございます!

忙しくてまとまった時間が取れない時の読書のお供に絵本を読むことが多いのですが、最近、短編小説のようなすごい絵本に出会ったので紹介します。

書影は版元ドットコム様よりお借りしました

『マールとおばあちゃん』
ティヌ・モルティール作/カーティエ・ヴェルメール絵/江國香織訳

この表紙だけでも圧倒されるような細密なエッチングのイラストに惹かれて手に取ったのですが、中のページも全てが絵画のように美しい本でした。

タイトルの通り、マールというおてんばな女の子とそのおばあちゃんが主な登場人物です。二人共お茶目でクッキーが大好きなくいしんぼうで、とても仲良しだったのですが、ある日おばあちゃんが倒れてしまい、意識を取り戻した時にはすっかり喋れなくなってしまっていました。
周囲の人々はおばあちゃんが何を考えているのか、何を求めているのか、分かりませんでしたが、マールにだけはおばあちゃんの考えている事がはっきりとわかっていました。無理解な周囲にぷんぷん怒りながらもマールはおばあちゃんに話しかけ続けます。
それからしばらくして、マールと、マールのおばあちゃんにある出来事が訪れるのですが……といった内容です。

小説家である江國香織さんが訳していることもあり、スラスラと読みやすい文章ですが、書かれている内容はまるで一本の映画を観ているかのように深い作品でした。

個人的な体験ですが、この絵本を読みながら、がん治療の薬のせいでせん妄状態になってしまった祖父と会話をした時のことを思い出しました。
見た目は私の知る祖父に違いないのに、まったくの別人になってしまったかのような振る舞いをされ、途方もないショックを私は受けたのですが……きっとその時にこの絵本に出会えていたら勇気を貰えたんじゃないかなぁと感じました。

ここまでお読みくださりありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう。

古河なつみ

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