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休校なので「かしこさ」について本気でまとめてみる(1)

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僕の代表的な実践に「かしこさの階段」という実践があります。
数年前、たくさんの方にシェアしていただきました。
この実践を続けてもう7年くらいになります。
どうして7年も続けられたのかというと、
この実践が僕の考え方の「核」になっているからです。
休校で子どもたちが学校に来れない今、
なぜ僕がこの言葉にこだわってきたのか。
自分の頭を掘り起こしながら振り返ってみたいと思います。

「かしこさの階段」についてまず知りたい!という人は
こちらをどうぞ!        ↓

1 増える問題行動

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人に暴力を振るう。
人の悪口を言う。
人の物を隠す。
勉強をしようとしない。
表情が暗く覇気がない。

教室の中にはこのような「気になる子」が必ずいます。
近年このような子が増加していることが問題になっています。

叱ってもダメ。褒めてもダメ。
その子の事を考えて、先生方は様々な対応を練っています。
しかしなかなか状況は改善しません。

「問題行動」に振り回されるうちに、学級が落ち着かなくなってくる。
気づかないうちにその子以外にも「気になる子」が増え始める。
そして、最終的には学級が壊れてしまう。

そんな状況が多くの学校で起きています。
僕も若い頃はそのような状況に悩んでいました。

気になる子に寄り添えば、他の子がざわつき始める。
かといって、気になる子をほったらかしにしてその他大勢の子ども達に目を向けると気になる子は糸の切れた凧のようにどこかへ行ってしまう。
いったい、僕たちはどこを見て何を語ればいいのだろうか。
いつもそんなことを悩んでいました。

この記事では

「気になるあの子」をどのように理解し
「気になるあの子」にどのような言葉をかけ
「気になるあの子」をどのように励まし
「気になるあの子」をどのように導いていくのか。

私自身の経験をもとに考えてきたことをお伝えしたいと思っています。
みなさんがこれから出会う様々な子どもたちの理解への手助けになることを願っています。

2 「ダメな子」というレッテル

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「あの子はいつもそうだから」
「何を言ってもダメなのよ」

問題行動を起こす子の話をしている時、そのような言葉を耳にすることがあります。
今まで様々な対応を練ってきた。
様々な支援を重ねてきた。
それなのに…
問題行動は全く改善しない。
そうなると徒労感に襲われ、そのように言いたくなる気持ちは分かります。

しかし、実は教師の抱いているその思いこそが、気になる子どもたちの問題行動を助長していることに気づかなければなりません。

数年前、私が担任した「Aちゃん」は私をまっすぐ見つめてこう言いました。

「古T(私)って私のこと嫌いでしょ?」

友達関係がうまくいかず、勉強も苦手だったAちゃん。
その時の私はAちゃんが少しでも成長できるように様々な方法を試していました。しかしAちゃんをなかなか満足いくような成長には導けませんでした。

「この方法じゃダメなのかな…?」
「どうしてこんなにやってるのにうまくいかないのかな…?」
「もうだめなんじゃないかな…?」

そんな気持ちがいつも頭の中を駆け巡ります。
そんな中、Aちゃんが私に話した一言。それが、

「古T(私)って私のこと嫌いでしょ?」

という言葉だったのです。
私はその子のことを「嫌いだ」などとは一度も言ったことがありません。
しかし、Aちゃんは私の頭の中を敏感に感じ取り、それを私にまっすぐに伝えてきたのです。

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子どもは大人が感じ取っていることを敏感に感じ取る。
言葉じゃない、心で接しないと子どもには簡単に見抜かれる。

私がそう感じた出来事でした。

学級の中の「気になる子」は自分が集団の中で空回りしていることを、誰よりも理解しています。
そのような子ども達に必要なのは、

「大丈夫だよ!」
「伸びているよ!」
「もっと伸びるよ!」

と心から声をかけられる経験でしょう。

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「そんなことは分かっているよ」
そんな声が聞こえてきそうですが、もう少しお付き合い下さい。

3 点ではなく線の成長を

子どもたちに

「大丈夫だよ!」
「伸びているよ!」
「もっと伸びるよ!」

という声をかけてあげたい。
それは先生ならば当然のことでしょう。
しかし、問題行動を頻繁に起こす子にそのような言葉をかけ続けることができるでしょうか。それはとても難しいことです。

問題行動を起こし続ける子どもたちにも「肯定的な言葉」をかけ続けるためにはどうすればいいのでしょうか。
そのためにはまず、私達の子ども達を見つめる「目」から変えていくことが必要になってきます。

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人はどうしても
「できる子を⭕️」
「できない子を❌」
という風にとらえてしまいがちです。

わかりやすいようにテストを例にして説明してみましょう。
※あくまで例です。
 決してテストの点数が1番大切だということを伝えたいわけではありません。

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「100点」「90点」だった子には
「よくやったね!」

「80点」「70点」だった子には
「まあまあだね」

「60点」「50点」「40点」だった子には
「もう少し頑張ろう」

「30点以下」の子には
「何をやってたんだ」
「お前やる気あるのか」
「このままじゃだめだぞ」

なんて言ってしまいませんか?
(きっとこれを読んでいる方々はこんなことは言わないでしょうね…)
ここまで極端ではないかもしれませんが人は

点数がいい=成長した
できている=成長した

このように考えてしまいがちです。

しかし、本当にそうでしょうか??

私は
「成長は点ではなく、線で見ることが大切」
だと考えています。

30点の子は「できていない」と捉えられがちです。
しかし、その子は前回のテストで「0点」だったかもしれません。
わからなくても、あきらめずに一生懸命学び、
30点をとることができたのかもあげたのかもしれません。
「ここはどうやるの?」
友達に質問を重ねて30点まで伸ばしたのかもしれません。

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もし、そうならばその子にかける言葉は
「何をやってたんだ」
「お前やる気あるのか」
「このままじゃだめだぞ」

という言葉になるでしょうか?
たとえ点数は30点であったとしても
その子は成長したと言えるのではないでしょうか?

もう1つ例をあげましょう。
「100点」だった子が「0点」を取ってしまった。
つまり点数が下がってしまった。
その場合は成長していないということになるのでしょうか?

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点数が下がったからといって「成長していない」というのもまちがっています。
もしも、点数が下がったという経験をしたことでその子が
「これではダメだ。変わらなきゃ」
と感じ、次に向けて努力を始めたならば、どうでしょうか?
点数が下ったとしてもそれは成長と言えるのです。

大切なのは「◯点」という点でその子を評価しないということです。
だめな経験を経てその子が何を感じ、何かを変えようとしているか?
それが大切になってくるのです。

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これが
「点でなく、線の成長を見つめる」
ということです。

子どもの前に立つ教師として大切なのは
「点」の評価に一喜一憂することなく、
「線」の成長を見つめようとすることです。
それができるようになると、たとえ問題行動を起こす子どもであったとしても、
その子の成長が目に見えるようになってきます。

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4 子どもも大人も共有できる「かしこい」という言葉

はじめて小学校1年生を担任した時のことです。
私は子どもたちにこのように聞きました。

「このべんきょうの中でみんなが『成長したなぁ!』って思うことはなに?」

すると1年生の子どもたちは首をかしげながら言いました。

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「ふるT。『せいちょう』ってどういういみ??」

1年生の子どもたちは「成長」という言葉の意味がわからなかったのです。
当たり前のように使ってきた言葉。
こういう当たり前の言葉をわかりやすく説明するのってすごく難しいですよね。

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私は、しどろもどろになりながら「成長」という言葉の意味を1年生の子ども達に説明し始めました。
でも、1年生にしっかりと伝わる言葉はなかなか見つかりません。

あれこれ考えながら一生懸命説明しているうちに、ようやく子どもたちに伝わる言葉にたどりついたのです。

「うーん…成長っていうのはねぇ…つまりねぇ…『かしこくなった』ってことだよ」

そう話した時です。子どもたちの顔がぱっと輝きました。

「かしこくなるってことかぁ!」

これが、私が「かしこい」という言葉に出会ったきっかけでした。
「かしこい」という言葉は不思議な言葉です。

「かしこくなろうね!」
と言えば、子どもたちはうなずきます。

「かしこくなったね!」
と言えば、子どもたちはニコっとうれしそうな顔をします。

「かしこい」という言葉は
たとえ小学校1年生であっても、はっきりと意味が伝わるのです。

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子どもだけではありません。
大人であっても「かしこい」という言葉は通じます。

「あの人はかしこい人間だ」
「あの人はずるがしこい

こんな風に大人になっても、この言葉は使われます。
「かしこい」とは、決して子どもだましの言葉ではありません。
子どもでも大人で、誰もが一緒に追い求められる言葉なのです。

このやりとりから私と子どもたちの間で
「かしこくなる」
という言葉が合言葉になりました。


5 子どもたちと目的地を共有しよう

子どもたちと関係を築いていく上で一番大切な事。
それは子どもたちと

「どこに行きたいか」

という目的地を共有することです。
先生と子ども達は車の両輪です。
先生も子どもたちも同じ目的地を目指して走り出せば良いのですが、
それぞれ目指す場所が違っていたら、前へ進むことはできません。

子どもたちと関係を築いていく上で先生が一番初めにやらなければならないこと。
それはこのクラスがどこを目指していくのかという目的地を共有していくことです。

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「先生…学校ってどうしていかなければならないの?」

先生ならばそのような質問を投げかけられたことがあるのではないでしょうか?
その質問をされた時にあなたの口から出てきた言葉。
それがあなたの考えている目的地です。
さあ、あなたは何と答えるでしょうか?

先生は、子どもたちに
「何のために学校に来るのか?」
ということをシンプルにわかりやすく伝えていくことが必要です。
それをしっかりと伝えられた時、子どもたりと先生が両輪となって一緒に目的地に向かって進み始めるのですから。

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私がこの記事で提案したいこと。
それは先ほど述べた

「かしこく」

という目的地を設定してはいかがでしょうか?
ということです。

前の章で述べたように、
この「かしこい」という言葉は誰もがイメージがしやすい言葉です。
しかし、この言葉のすごさはこれだけではありません。
この言葉はとても深い意味があるのです。

6 「かしこい」という言葉って深い!

では、この言葉の奥深さを考えていくために少し頭の体操してみましょう。
今から紙と鉛筆を準備してみてください。
紙と鉛筆が準備できたら、今から私がする質問の答えをできるだけたくさん
思いつくだけ書き留めてみましょう。




準備はできましたか?
それでは質問です。

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かしこい人がもっている力とはどのような力ですか?
今回は遊びの要素をとりいれて

「か・し・こ・い」

を頭文字にしてあいうえお作文をつくってみましょう。
あなたはどんな力をあげますか?

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書けたでしょうか。
一緒に取り組んだ人がいれば、答えを見せ合うのもいいですね。

ある勉強会で、先生方にこの質問を投げかけてみました。
そこで上がった答えは以下のようなものです。

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あなたの選んだ答えと同じものはあったでしょうか?
それとも全然違うものだったでしょうか?

これらの答えはどれもは正しいと言えるでしょう。
「かしこさ」とは人の数だけ存在するのです。

さらに「かしこい」という言葉が奥深いのは
真逆と思われることも包み込んでしまうことです。
こちらをごらんください。

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Aさんは
「かしこい人は人を信じる力がある!」
と答えました。

しかし、Bさんは
「かしこい人は人を信じすぎない!」
と答えたのです。

これはどちらかがまちがっているのでしょうか?

いえいえ。
これらはどちらも「正しい」と言えるでしょう。

「かしこさ」とは実は、1つの決まった答えがあるわけではありません。
その時の状況・周囲の環境・自分の価値観などによって、答えは変化するのです。

真逆の考え方すら包み込んでしまうこの言葉。
「かしこさ」
とはとても奥が深い言葉だということがおわかりいただけたでしょうか?

誰もがイメージできるけれども、
はっきりとした形がない。

これが「かしこい」という言葉のもつ大きな力だと言えるでしょう。
「かしこい」という、分かりやすくも奥深い言葉。
これを学級の目指す目的地として設定していく。
それによって学級はぐぐっと前へ動き出します。

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お読みいただき感謝。
第2章ではいよいよ「かしこさの階段」について説明していきます!

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