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『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−世界観

伝承

 世界の初めに一つの王国があった。全てを赦され全てを誇った神と精霊の国サヴェル・シウ・スール。しかし全ての精霊の王プレグライアが死すると、国は乱れ白の国と黒の国に分かれた。
そして白の国も黒の国もそれぞれが戦いにより分かれ、またその子どもたち……四つの国々もまた戦いを繰り返し一つ一つの国は小さくなっていった。
そうして、世界には八つの国が在った。

 ──『八つの国』(サヴェル・シウ・スールの子孫、精霊の子スリブランの予言と伝承)


八つの国

亡国、かつての四大王国の二つ

テリドア帝国
八つの国の西側の真ん中に存在しておりガイガー王朝三代目のグリシュナ皇帝が統べていた。五年前に内乱が起こって事実上解体され、現在は残った二大王国が北と西から領土を奪い合っている。首都はヴァンカッハ。
古くは黒の国から生まれたとされる。

ピグルーシュ王国
八つの国の西側の真ん中に位置し、アントロ王が統べていた。真北のテリドア帝国に支配されたのち、こちらも残った二大王国が領土を奪い合っている。首都はパスバハ。
古くは白の国から生まれたとされる。

二大王国

カリブラン
八つの国の西側、北方の海辺の国。サルモワ王が統べる。首都はウェンケル。テリドア帝国のさらに北に位置する。
テリドア帝国を北から攻め領地を拡大している。

ヴォナキア
極西の海辺の国。パンタラ王が統べる。首都はサンバリ。テリドア帝国の西に位置する。海を超えた先に妖精の森シルベルフがある。
テリドア帝国を西から攻め領地を拡大している。

小国

シュンブラヒム
八つの国の東側に位置する共和国。カンゼル元首が統べる。首都はナラピリ。亡きピグルーシュの北東、カイルギの北にある。

カイルギ
亡きピグルーシュの南東に位置する島国。アイレス王が統べる。首都はアンテレーズ。北にコンタタがある。
青く美しい南の海が有名で、海辺の町は貴族たちのリゾート地になっている。

コンタタ
民意で選ばれた王トイトラが統べる国。首都はグリムチア。亡きピグルーシュ王国の北東、アカヒノ王国の南西に位置する。
北に大砂漠があり、さらにその北は凍土が広がっている。

アカヒノ皇国
極東の島国。マオノ皇帝が統べる。首都はコト。
アカヒノと大陸のコンタタ王国の間には凍土と大砂漠が広がり、国とは呼べない集落の集まりがいくつも存在する。


人と呼ばれる四種族

背高族 トーラー/ハーヴン
こちらで言うヒューマン。肌の色に関係なく比較的背の高い個体が多いためこう呼ばれる。
種族の中では際立った力強さはないものの、魔法使いにもなれたり鍛治師にもなれたりと本人の意思で色々な職業に変われる。
寿命は六十年から八十年程度。
他の種族のどれとでも婚姻関係を結ぶことが出来、繁殖能力も高い。四種族の中で一番数が多い。
どの種族でもない、と言う意味で中途半端の意味を持つハーヴンと呼ばれることもあるが、その場合蔑称になる。
成人すると背丈は二メートルから百四十センチ程度。

竜人 ドラゴニーズ
竜を父に持ち、トーラーを母に持つ子どもたちとその子孫の総称。血の繋がりに限らない呼び方のため厳密には種族ではない。トーラーとドラゴニーズの間に生まれた子供やその子孫はハーヴドラゴニーズと呼ばれる。(ハーヴンが蔑称なのでこの呼ばれ方を好む者はいない)
頭部に竜のツノと体のどこかに鱗を持つ。女性はツノがない場合が多い。竜には火竜、水竜、土竜、風竜、光竜、闇竜の六種がおり、子どもは親の属性を継ぐ。
種族の中でも非常に長命で、その寿命は個体にもよるがエルフィンに匹敵する。(成人まではトーラーとさほど変わらず、二十年前後だが青年期から中年期までが非常に長い。)それに準じてか四種族の中でも数が少ない。
森で育てばエルフィン同様精霊の子として高慢に育つが、街中でトーラーに囲まれて育った場合はそう酷くならない。
トーラーより体が屈強で、男女共々背丈は百六十センチから二メートル以上。

妖精族 エルフィン
半妖精とも呼ばれる長命種族。トーラーと見目がほとんど変わらないが、首や手足が妙に長く耳の先が尖っている。魔法使いか狩人になることが多く、基本は森の中に住む。
千年を生きるとされ繁殖が稀。四種族の中では一番数が少ない。
精霊の子スリブランの子孫としての自負が高く、トーラーを下級種族として見がち。森で育ったドラゴニーズとは相性がいい。
背丈は高くても百八十センチ、低ければ百二十センチ程度。

小人族 テラムン
種族名の元となった言葉は“土の中の小人”と言う意味。鍛治師や建築家に特化した者たちで土と岩のある環境を好む。寿命は短く、長く生きても五十年程度。
テラムンとトーラーの間の子はトーラーに体格が近くなる。成人してもトーラーの子供より体が小さく、背丈は大きくても百二、三十センチ。


予言

 全ての野山が氷に閉ざされる時、全ての丘に剣が突き立てられる時、運命の子は現れる。精霊を統べる王が現れる。その子どもは雪の深い黒の国より生まれ、恐ろしい氷の腹から生まれ出でる。
世界は闇を呼ぶ者によって雪の中に沈み、光を呼ぶ者によって炎の中から再び生まれ出る。
 心を研げ、子を隠せ。魔は人々の心にある。赤い鐘の音に備えよ。終末の時は近い。
 ──『終末と運命の子』(サヴェル・シウ・スールの子孫、精霊の子スリブランの予言と伝承)


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