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ターゲットは文明
政府が行う規制は文明に対する戦争である、という論説です
要約
・管制の不具合で、全米の航空機が飛行できない事件があった
・健康被害を理由に、ガスコンロの使用を禁止する動きがある
・政府は意図的に文明の進歩を止めようとしている
2023.1.13 DAILY RECKONING
By Jeffrey Tucker
2 週間前、サウスウエスト航空が大混乱に陥ったが、影響を受けた航空会社は同社だけではなかった。フライトの遅れは、世界中の何百万もの人々の休暇や旅行の計画を台無しにした。その理由は決して明らかではなかった。
もちろん、天候のせいにすることもできるが、それは妙に不透明な言い訳になってしまった。外を見て、天気が良さそうだと思ったら、誰かにキレられたりする。バッファローの雪がひどいのがわからないのか?
そうやって、天気の言い訳がなくなると、航空会社自身のせいにする。という具合に、いつも責任逃れをするのは、FAA(連邦航空局)自身だ。
先日の朝、FAAはアメリカ国内のすべての飛行機を3時間着陸させ続けた。なぜか?コンピュータの不具合だそうである。私たちはまだそれを理解していない。確かに閉鎖的な感じがした。多分、機能しないシステムに慣れさせるためにわざとやったんだろう。たぶん、私たちは旅行を減らすだろう。諦めるしかないのかもしれない。
でも、もっと大きな視点で考えてみよう。電気自動車を押し付けるにしても、ガスコンロを禁止するにしても。要するに、私たちの生活をコントロールしようとする人たちがいるということである。
もう燃やせない
最近、俎上にのぼっているのはガスコンロである。バイデン政権の消費者製品安全委員会は、ガスコンロが健康や呼吸器の問題を引き起こすという馬鹿げた研究に基づいて、全国的に禁止するという考えを持ち出している。
そんなことはあり得ないと言うのか? そうではない。これらの規制当局は、耐え難いほど強力である。彼らは自分たちの望みを実現するつもりで、そのすべてを楽しんでいる。彼らは議会を軽蔑し、あなた方の抗議を嘲笑している。彼らは自分たちだけが支配者であり、あなた方は何も言うことはできないと信じている。
彼らがすでに破壊してしまったものを考えよう。あなたの家庭の電化製品を見てみよう。エネルギーと水の消費制限によって、洗濯機、冷蔵庫、食器洗浄機、シャワー、トイレ、衣類乾燥機、スチーマーやアイロン、その他多くのものが劣化している。
冷蔵庫でさえも、生活費削減を制度化するために、サイズが縮小している。洗濯機では、物を綺麗にするために十分な水を使わなくなった。その結果、私たちの衣服は一昔前と比べると、くすんで汚くなってる。好きなだけ洗剤を入れても効果はない。漂白剤を入れても生地がボロボロになるだけだ。真っ白なシーツを最後に見たのはいつだろう? これには理由がある。
これはすべて意図的なもので、家電製品の過剰な規制が原因である。本当にきれいにするには、大量の熱湯と、石鹸を洗い流すためのリン酸塩が必要だ。それがなければ、今のような、くすんで汚れたものが出来上がってしまうのである。
サディストの責任者
これらのことは、何が起こっているのかを知る手がかりになるはずだ。規制当局の責任者にはサディストがいるのだ。水やエネルギーを節約することが目的ではない。たとえそうであっても、それだけでも不愉快だ。エネルギーと水に関する問題の本質は、人々の生活に貢献することであって、地球環境のためを思って人々に不便を押し付けることではない。
そして、寒冷地でも長距離を運転でき、マシンを完全にコントロールできるガソリンエンジン車への攻撃だ。電気自動車はまた別の問題だ。電気自動車は、私たちを送電網に完全に依存させ、私たちの移動手段を制限する。寒冷地ではなおさらである。結局、数時間ごとに停車して充電を頼み、運よく使える充電器を見つけても、さらに1時間待たなければならない。しばらくすると、やる気が失せてきて「もう無理だ」と思うようになる。
もちろん、シャワーヘッドをコルク抜きで切って流水止めを外すなど、この押しつけられた貧しさを凌ぐためにできることはある。しかし、トイレや食器洗浄機(今ではシミを残すためだけに何時間も稼働する)、冷蔵庫(どうせ5年もすれば壊れる)は直せない。
やがて彼らは、火を使った料理ができなくなることを望んでいる。こうして私たちの生活から、私たちのルーツと生来の欲求との重要な原始的つながりが取り除かれるのである。
焚き火のそばに座ったことがあるだろうか?
誰もが何時間も炎を見つめているのは、それが内なる欲求を満たすからである。IHクッキングヒーターの周りでは、誰も立ち止まることはない。まさに不気味なのである。
彼らが唯一認めているテクノロジーは、徹底的に検閲されたスマートフォンだ。一元化され、アノニマスで、プロパガンダを垂れ流す。
虫をどう料理するのか?
電気コンロがガスコンロより優れているという考えには、世界中の有能なシェフが異を唱えているはずだ。炎を見て直感を養うのではなく、温度を知るためにデジタル表示を信用しなければならないなんて、とんでもない。証明はできないが、白熱灯と蛍光灯の違いのように、火力そのものが違うように感じられる。一方は本物であり、他方は偽物である。
私は両方のコンロで料理をしたことがあるが、電気コンロは絶対に嫌だ。本物の火を使わなければ作れない料理がたくさんある。あるメキシコ料理店では、シェフたちが14インチもの炎を上げるストーブを使って、出来立てのパスタをフライパンの中で振り回しながら炙っているのを見た。そうでなければ、こんなことはできないのだ。
なるほど、新しい技術を求めるなら、それはそれで結構なことだ。でも、そのために新しい技術を導入したふりをするのはやめよう。本当に料理をしているようなふりをするのはやめよう。それは嘘っぱちだ。また、ガスと電気の両方を使ったことがある人で、正直に言って電気を選ぶ人はほとんどいないだろう。でも、もしそうなら、それはそれで良いのだ。でも、その選択を他の人に押し付けないでほしい。
規制当局がガスは健康に悪いと言ったことが、彼らのすべてを物語ってる。彼らは、完全に衛生化され、退屈で、リアルなものに触れることのない、実行不可能な環境の中で私たちが暮らすことを望んでいる。
何よりも、彼らは化石燃料を悪者にしようとしている。まるで、発電には石炭が使われていないとか、それを輸送したり配達したりするトラックにもガスが使われていないかのように。
基本的なガソリンタンクも劣化させて、まともに使えなくしている。さらに、ガソリンそのものも、今はトウモロコシを含んでいて粘着性があり、エンジンを壊し、ガソリンそのものを経年劣化させるということも言っておかなければならないだろう。
下院議会を燃やせ
ここで何が起こっているかわかるだろうか? すべて意図的なものだ。私たちが愛し、人生を豊かにしてくれるものはすべて、私たちから奪われているのである。
より大きな真実は、この文明に対する戦争が何十年も続いていることである。歴史は、より高い生活水準に前進するはずだった。その進歩が止まってしまったのだ。
この流れは今すぐ終わらせなければならない。何十年にもわたる規制は撤廃されなければならない。全住民が立ち上がり、生活費削減の強要やテクノプリミティブなエリート幹部による支配にノーと言う必要がある。彼らは力づくで生活水準を下げてきたが、まだまだ終わらない。
共和党が支配する下院からいくつか良い知らせがある。国税庁の廃止と、所得税そのものの廃止についてである。もちろんどちらも実現しないだろうが、私の時代では、そのような考えは公の場には出てこなかった。
この国では大規模な反乱が進行中である。今がその時だ(了)
テクノプリミティヴィズム(Technoprimitivism)とは、より原始的な生活様式や社会への回帰をし、同時に未来的、超人的技術を受け入れることを考える思想のことをいう。
考察
今回は、私の考えた、ある仮説をご紹介します。
(長文になりますがお付き合いください)
以前から疑問に思っていたことがあります。それは、
「なぜ、ダボス会議に参加するようなグローバル・エリート達は
化石燃料を排除しようとするのか?」です。(自分達は使うのに)
「地球温暖化阻止のため、人類が排出するCO2の総量を削減する」「そのために再生可能エネルギーを推進する」などと言った説明は、論理的に考えればナンセンスです。
太陽光パネル一つを取ってみても、レアアースの採掘から始まって、パネルの製造、広い設置場所の確保、廃棄の際の環境汚染と、トータルで考えればCO2の削減にはなっていません。発電効率も火力発電に比べて低く、けしてエコではありません。また、彼らが以前からずっとアピールしていた「石油が枯渇する」という主張は、最近は耳にしなくなりました。
そのくせ彼らは、プライベートジェットでアルプスの街に集まり、バッテリー上がりを恐れてガソリン車で移動します。彼らの主張は矛盾しているのです。
CO2削減の説明がまったくの建前だとすれば、そこには隠れた意図があるだろうと感じていました。しかし、それが何であるかを、なかなか見つけられませんでした。
最近になって私は、ある仮説を思い付きました。しかも、それを裏付ける報道を目にするようになりました。ただこのアイデアは、スケールが大きすぎて、まさに「陰謀論」と切り捨てられるかもしれません。アタオカだと思っていただいても結構です。
それを最も短く言うと、
彼らは『電気による支配』に舵を切っていた、です。
昔から、オイルメジャーやペトロダラーに例えられるように、彼らは石油資源とその流通を独占して世界を支配してきました。この支配構造を終了させ、国民が手にすることのできるエネルギーを電気だけに制限し、その配給をコントロールすることで新たな支配構造を作り出す、ということです。
ここで少し理科の勉強を思い出してみてください。
人類が利用しているエネルギーには、電気、熱、位置、化学、核、光、運動と、大きく分けて7種類があります。火力、水力、原子力、太陽光、地熱、風力...を問わず、すべての発電所は、他のエネルギーから電気エネルギーを作り出し、それを送電網で家庭や事業所に送ります。
私たちは、送られてきた電気エネルギーを、そのままか別のエネルギーに変換して利用します。
・スマホ 電気エネルギー ⇒ 電気エネルギー
・蛍光灯 電気エネルギー ⇒ 光エネルギー
・IH調理器 電気エネルギー ⇒ 熱エネルギー
・電気自動車 電気エネルギー ⇒ 運動エネルギー
・エレベーター 電気エネルギー ⇒ 位置エネルギー
それに対して、電気エネルギーを介在させずに利用するものには、
・ガソリン車 化学エネルギー ⇒ 運動エネルギー
・飛行機 化学エネルギー ⇒ 運動、位置エネルギー
・ガスコンロ 化学エネルギー ⇒ 熱エネルギー
・石油ストーブ 化学エネルギー ⇒ 熱エネルギー
・焚き火 化学エネルギー ⇒ 光、熱エネルギー
・粉ひき水車 位置エネルギー ⇒ 運動エネルギー
などがあります。
(制御に使う電力があっても、それは補助的なものです)
さて、昨今の彼らの動きを確認してみましょう。
・化石燃料(石油、石炭、ガス)を目の敵にして、火力発電の割合
を下げようとした
・再生可能エネルギーを美化し(環境破壊に目をつぶり)ESG投資
を活発にした
・原子力発電(の危険性)には、あえて触れていない
・電力自由化を進め(補助金を出してまで)送電事業を政府の管理
下から民間にシフトさせた
・ガソリン車の販売にブレーキをかけ(ここでも補助金を出し)
電気自動車の普及を進めた
そして、今回の記事では、
・飛行機の運行を(行政機関が独断で)制限できることを示した
・ガスコンロを(健康に良くない?と)悪者にしてきた
となります。
解っていただけたでしょうか?
彼らは、「オール電化」に向かって舵を切っているようにしか見えません。
ドイツでも先日、気になったニュースがありました。
停電を恐れた当局が、国が推進する環境に優しい電気自動車とヒートポンプのために、電力配分を行う計画を発表
ヒートポンプによる暖房もできるし、皆がEV車に乗ることもできるが、両方を行うことはできない
これは、政府が国民の電力使用に制限を与えることを正当化しようとしている記事です。電力供給が制限されると、EV車は3時間かけて50km分の充電しか出来なくなるそうです。言い換えると「寒さに震えるか、車で出かけるか」の二択を迫ったことになります。
これが環境に優しい再生可能エネルギーに邁進し、原子力発電をすべて止めた、環境先進国の現実です。
ではなぜ、彼らは「電気の支配」に舵を切ったのでしょうか?
思い付いた理由を挙げてみます。
一つ目には、「石油の支配」が出来なくなった(しなくなった)
ことではないでしょうか。
昨年のOPEC+では、バイデン政権が求めた原油の増産を拒否し、減産にまで踏み込んだことで判るように、彼らの化石燃料資源の支配力は低下しています。これは、中東の産油国がアメリカによる安全保障に限界を感じてきており、アメリカベッタリは危険だと考えるようになったことを示唆します。
このオイルメジャーの影響力低下は、プーチンが政権を握った2000年以降、西側と組んだオリガルヒを追い出して、エネルギー資源を国有化したあたりがスタートだったのだと思います。
温室効果ガス削減の動きは1992年のリオデジャネイロ・サミットあたりから始まっています。1997年の京都議定書では削減目標を設定し、2015年のパリ議定書では(温暖化していないのに)法的義務まで課すようになりました。
彼らのタイムスケールを考えれば、30年前から仕込んでおくことなどは不思議ではないと考えます。ですから、もしかすると、この二つは因果関係が逆で、彼らが「石油の支配」を緩めたので、産油国が利権を取り戻せたのかもしれません。いずれにせよ、石油そのものは主役ではなくなっているということです。
二つ目として、現在は資源価格の変動によって電力会社が赤字になる場合があるのに対し、送電インフラの経営を掌握して価格の安定を政府に迫れば、自分が損をせず、常に黒字経営が可能になることです。
例えば、現在の電力会社を発電会社と送電会社に分割させて、原油価格の変動リスクはすべて発電会社(と政府)に負わせ、彼らが経営権を握った送電会社が常に送電料の利益を確保できるようなビジネスモデルです。これならば、不安定な先物取引で損を出す心配もなく、赤字が出たら税金で補填させて、見た目には価格が上昇していなようにしながら、送電の収益はキッチリいただくといった、オイシイ商売を続けられます。しかも、消費者からの不買運動は絶対に起きません。
これって、通貨発行益の仕組みと似ていませんか?
三つ目は、「オール電化」になった方が、人々の生活をコントロールしやすい点があります。
東日本大震災の時、私が住む地域でも計画停電が実施されました。その時「オール電化」にリフォームしていた同僚の家では、停電時にテレビや照明が使えないだけではなく、暖房も炊事も出来なくなって、家でできるのは寝ることだけだったそうです。あの時は、マンションでエレベーターが使えないとか、給水タンクに水を汲み上げられないといったニュースもありました。このうえ、電車が止められ電気自動車が充電できなくなれば、逃げ出すことも無理になります。
「オール電化」社会になれは、送電インフラを管理することで、すべての社会活動をコントロールできることが解ったでしょう。
四つ目は、蓄電技術の進歩が遅いことです。
電気エネルギーは、他のものと比べていろいろと利点があります。出力の調整が容易で、オンオフのタイムラグもまったくといって良いほどなく、必要量に応じた機器の小型化も可能です。また、電気そのものは環境に悪影響を与えません。
しかし、唯一ともいえる致命的な欠点があります。それは、大量の保存が利かない点です。ですから、常に生産し続け、送り続けなければなりません。それをカバーするのが、蓄電技術(いわゆる電池)です。
現在、新型の蓄電池開発では日本のメーカーが世界をリードしています。しかし、ニュースで取り上げられることはまれです。容量や出力が大きくなったり、充電時間が短くなったりしていますが、製品化のための投資は低迷しています。蓄電池開発はESG投資としてうってつけだと思うのですが、なかなか資金が集まりません。
蓄電池とは別に、以前から私は、室温超電導の研究開発に注目していました。大量で長期の蓄電や、無抵抗送電によるロスの削減が、エネルギー問題の解決策になるのではないかと期待していたのですが、残念ながら朗報は聞かれません。
蓄電技術が発展すると常時送電のありがたみが減るので、彼らはそれを嫌がっているのでしょか?
補足として、彼らは石油そのものを不必要としているわけではないことも付け加えておきます。
火力発電所を完全に閉鎖することはないでしょうし、プラスチックの原料であるナフサは絶対に必要です。また、航空機や船舶まで、すべて電気で動かそうなどとは思っていないでしょう。
そこで、石油やガスは、認可された事業所だけが購入でき、個人には売らないと法改正すればよいのです。そして、認可された会社の(大金持ち)オーナーが営業目的で使用する、といった言い訳を用意することになります。
私の考えには、まだまだツッコミ処が数多くあるだろうとは思います。しかし、エネルギー政策に関して、経済効率を無視し、科学的データを都合よく解釈し、一般庶民の生活に制約を課し、自分たちにはダブルスタンダードを適用するといった、(コロナ政策と同様な)彼らの不可解な行動を説明できる考え方は、今のところ、これしか思い浮かびません。
以上、「電気による支配」のポイントは、一般庶民が直接使うエネルギーから化石燃料を排除して、電気のみに限定させることで、
社会活動の生命維持装置を手に入れることです
私ならそうします。