「トランプ大統領の、インフレを克服し、アメリカを再び手頃な価格にし、米国を爆発的な経済成長に戻す計画」と題して、皆さんよくご存じのダン・スカビーノ氏(@DanScavinoJr)が、9月5日にNYで行われたトランプ大統領のスピーチを、Xのスレッドにまとめてくれました。
このスレッドの日本語訳を載せると共に、軍事作戦終了後にトランプが行う政策について、気になった点を深読みしてみます。
トランプ大統領の、インフレを克服し、アメリカを再び手頃な価格にし、アメリカを爆発的な経済成長に戻す計画
ニューヨーク経済クラブにて—2024 年 9 月 5 日…
まず第1に、トランプ大統領は国内のエネルギー供給を大幅に増やすために、国家非常事態宣言を直ちに発令する。こうした広範な権限により、彼はあらゆる官僚的ハードルを突破し、新たな掘削、新たなパイプライン、新たな製油所、新たな発電所や原子炉の建設を迅速に承認するだろう。新たな供給を見越して、価格は直ちに下落するだろう。
第2に、インフレをさらに抑えるために、トランプ大統領はグリーン・ニューディールを終了し、誤った名称の「インフレ抑制法」に基づく未使用の資金をすべて撤回する。
第3に、トランプ大統領は、カマラ・ハリス政権下での壊滅的な規制攻撃から経済を解放する歴史的なキャンペーンを開始する。
2期目には、トランプ大統領は新しい規制1つにつき少なくとも10の古い規制を廃止し、価格を大幅に下げてインフレを克服するだろう。そして、トランプ大統領は未来の産業を攻撃するのではなく、アメリカを暗号通貨とビットコインの世界首都にすることを含め、未来の産業を歓迎するだろう。
第4に、イーロン・マスクの提案により、トランプ大統領は連邦政府全体の完全な財務および業績監査を実施し、数兆ドルを節約し、インフレをさらに抑制し、物価を引き下げる抜本的な改革の勧告を行う政府効率委員会を設立する。
第5に、トランプ大統領は2017年減税・雇用法を恒久化し、さらに減税し、チップには課税せず、社会保障給付金にも課税しない。
さらに米国製造業の復活を支援するため、トランプ大統領の計画では、研究開発税額控除の拡大、100%ボーナス減価償却、新規製造投資の経費化、米国内で製品を製造する企業に限って法人税率を21%から15%に引き下げるとしている。外注、オフショア、あるいはアメリカ人労働者の代替を行う場合は、これらの特典の対象とはならない。
第6に、トランプ大統領のリーダーシップの下、アメリカは国内生産を罰する代わりに奨励し、アメリカを再び世界の製造大国にする。
この努力の鍵は、関税を利用して国内生産を奨励し、何兆ドルもの資金を自国にもたらす親米的な貿易政策である。トランプ大統領は、米国に鉄鋼産業、アルミニウム産業、製造業基盤、防衛産業基盤を確保する。
第7に、トランプ大統領は住宅をより手頃な価格にするだろう。
インフレが落ち着くにつれ、金利は劇的に低下し、住宅ローン金利は3%台まで下がり、平均的な住宅購入者は年間数千ドルの節約になる。トランプは、新築住宅の建設コストを半減させることを目標に、住宅コストを押し上げる規制を撤廃する。-そして第二次トランプ政権は、大規模住宅建設のために連邦土地の一部を開放する。
何百万人ものアメリカ人が、こうした安全で美しいコミュニティの開拓に参加し、フロンティア精神とアメリカン・ドリームを復活させるだろう。
最後に、インフレを打破し、アメリカを再び手頃な物価水準にし、爆発的な経済成長を再燃させるというトランプ大統領の計画が成功した暁には、彼はアメリカ国民のソブリン・ウェルス・ファンド(政府系基金)を創設し、すべてのアメリカ国民の利益のために偉大な国家的事業に投資する。このファンドは、高速道路から空港、未来の交通インフラに至るまで、驚異的な国家開発プロジェクトの建設を支援する。
アメリカは、最先端の製造拠点、高度な防衛能力、最先端の医療研究に投資することができるようになり、病気を未然に防ぐことで何十億ドルもの節約に貢献する。第2次トランプ政権は、新しく近代的な農業技術に投資し、安全で健康的な高品質の食品を家族に提供できるようにする。
この政府系ファンドは巨大な利益をもたらし、国の借金の返済に役立つだろう。(了)
まとめ
率直な感想として、ここで述べられた経済政策は、今までの常識で考えれば絵に描いた餅です。インフレを抑え、減税をして、エネルギー価格を下げて、新しい都市を作り、国内産業を復活させる。最後まで読んでみて、アメリカがそんなバラ色の国に生まれ変わることは不可能に近いと、皆さんもお感じになられたことでしょう。
ですから、トランプが大統領に復帰する可能性が高まったのにも関わらず、主流メディアがまともに取り上げないのは当然のことでしょう。しかも、この政策には彼らのスポンサーである国際金融資本をぶっ潰すことが隠されているので、なおさらです。
そこで、トランプは嘘をつかないと考える私は、この経済政策を美味しく食べられる餅にするには何が必要なのかを考えてみました。
第2期(3期?)トランプ政権の政策を成功させるための課題は、
・35兆ドルに膨れ上がった、政府の累積債務をチャラにすること。
・政府予算をカットして、大減税を行うこと。
・輸入に頼らないように、国内の製造業を復活させることです。
私は、この3つの課題を解決する方法として、通貨制度の変更、政府の組織改革、エネルギー技術のイノベーションを予想しています。
1.通貨切替
私は以前の投稿で、「アメリカ政府の膨れ上がった債務の解消は不可能だから、ビジネスマンのトランプはドルを大暴落させて新しい通貨で返済するのではないか。」と推理しました。今でも、この考えに変りはありません。
考えを変えない理由は、ここ1年間でドル離れを進めるBRICS+に参加する国(新興国)が増加していることと、最近になってトランプの発言に暗号通貨の推進が増えたからです。
通貨マフィアが支配するドルから解放されるとは言え、基軸通貨であるドルを崩壊させれば、アメリカ国内はもちろん、世界経済に大きな悪影響を与えるでしょう。しかし、対外決済をストップさせないためのBRICS共通通貨と、ドル暴落からアメリカ国民を守る新通貨があれば、経済の混乱は短期間で緩和されるはずです。
アメリカ国民に渡される新通貨が、金本位制のデジタル通貨になることは間違いないと思いますが、具体的にどのようにして現在のドルと切り替えるのかについては、トランプのガードが固くて推測することができません。
2.政府再編
トランプは、腐りきった(CIA、FBI、CDC、NIHなどの)政府系機関の改革をRFKjrとイーロン・マスクに委ねるようです。二人が今までの悪事を明らかにして関係者を処分してくれることを、多くの人が期待しているのではないでしょうか。
それは私も重要なことだとは考えますが、行政改革の真の目的は、中央の行政機構を「小さな政府」にすることであり、予算の大幅削減を行うことだと見ています。
大減税を行うためには、無駄な支出と隠れた支出を切り捨てることと、サービスのコストパフォーマンスを高めることが必要です。だからこそ、前者を政府機関の行ってきた悪事に詳しいRFKjrに、後者をtwitterのリストラを成功させたイーロン・マスクに任せるのでしょう。
では、トランプ自身は何をするかと言うと、プーチンと協力して世界的な軍縮を行い、一番大きな支出である軍事費の削減を断行するのではないでしょうか。彼はイーロン・マスクに数兆ドルを節約させると言っていますが、現在のアメリカは歳出が約10兆ドルですから、半分程度の規模にさせることになります。これには軍事費の大幅な削減が無いと無理です。
そして、スリムなアメリカ政府の青写真ができた時点で、いよいよ新しい国家(United States Republic)がスタートするのではないかと想像しています。
3.新エネルギー技術
私は、通貨切替や政府再編は過去に他国でも(戦後の日本でも)行われてきたことなので、一時的な混乱さえ乗り切れば実行可能だと考えます。しかし、トランプの経済政策において最も重要なのに最もイメージできないのが、エネルギー政策です。
アルミニウムの精錬もビットコインのマイニングも、電力価格が劇的に下がらなければ発展させることは不可能です。また、外国製品に高い関税をかければ、今まで輸入に頼っていた物の価格が爆上がりしますから、新通貨に切り替えてもインフレは止まりません。そこで大部分の必需品を国内生産する必要が出てきます。
ですが、たとえ税制優遇をしても、短期間で今のアメリカ企業が価格競争に勝てるようになるとも思えません。アメリカ国内で生産される製品のコストを、現在実用化されている技術だけで人件費の安い新興国と渡り合うのは無理です。となると、生産コストを下げるエネルギー価格の低下がキーになるでしょう。
今すぐにでもエネルギー供給を大幅に上げるなどと、何の根拠もなくトランプが言うことは、過去の言動からは考えにくいことです。電力価格をどうやって下げるのか。トランプはここに「隠し球」を持っているような気がします。
以上、トランプの言う経済政策によってアメリカを再生させるために必要なものは、「新通貨発行」「新国家設立」「新エネルギー技術」ではないかと推測してみました。
今回の発信によって、DSを退治した後のアメリカをクリーンな政治の国に、堅実な国家経営を行う国にするまでのプランは、だいぶ見えてきたように感じます。以前の投稿で、DS支配の破壊はトランプ革命の転換点であると述べましたが、本当に難しいのは破壊後の経済再生でしょう。
ここまでグズグズになってしまった政府運営と国内産業を立て直すことは、COGによる軍事作戦よりもずっと難しいことだと思います。しかし、大変だからと言って新生アメリカが避けて通れない道です。
なぜなら、長年に渡ってリベラルとグローバリストが暴走した結果起きてしまった、モラルハザード、マネー至上主義、教育の崩壊、不健康な食生活、薬物依存などを改善するには、一般市民の経済的な安定が不可欠だからです。
前回の大統領選から4年間も続いた軍事作戦の終了が、間近に迫っていると感じる私には、
トランプが進める「MAGAが成功するのか」と言うハラハラ感と、まだ明かされていない「隠し球が何なのか」と言うワクワク感の、両方が交差しています。