見出し画像

明日の商人 まちなかを歩こう

豊橋駅前にある、わが広小路商店街も、歩いてみると、その魅力が見えて参ります。 ところが、車社会の今日は、歩くことが格段に少なくなりました。 その結果、街の本当の姿、街の魅力を知ることもなく、街を誤解している人が多いように感じます。 私の父が、商店街のリーダーであった時、電柱の地中化工事にあわせて、車道を狭くして歩道を広くしました。 私としては、方向性は正しかったと思いますが、 商店街にますます車が止めにくくなってしまったと批判の声もあがったようです。

みなさんは、どのように考えるでしょうか。 車社会に合わせた商店街なのか。歩いて楽しむ商店街なのか。 わが商店街は、歩いて楽しむ方を選んだのです。 わが商店街の歩道を、じっくり見ていただくと分かります。 御影石(みかげいし)の歩道で、これは時間とともに、わびさびの世界ではないですが、味わいが増して行きます。 下の写真がそうです。 この歩道は、父の自慢の種ですが、是非ご来店時には歩いて味わってみて下さい。

御影石が歩道に敷き詰められています。

商店街には、駐車場がないから不便だとの声もあがりますが、 その結果として、駐車場を十分確保できる郊外にショッピングセンターが作られるようになりました。 どうやら、商店街の衰退は、車社会と直結しているのも事実のようです。 かたや、車社会によって、便利になった反面、多くの大切なものを失っているのも事実でしょう。 ここでは、車社会に批判的な視点で、歩くことの価値を再考してみます。

まず、歩けば健康になります。 健康管理に気を配る私の両親も最近では、万歩計を付けて歩いています。 少ないと、「少し歩いてくるか。」 今日、病院通いの人が多いのは、車社会によって歩かなくなった影響もかなり大きいのではないでしょうか。 ほんの近くの場所にさえ、車を使うようになってしまい、人間が大変横着にもなっています。 ガソリンや電池ではなく、自分でエネルギーを消費をすれば、省エネだけでなく、実はお腹も空いて、ご飯も美味しく食べれます。 健康という視点で、歩くことをもっと見直して良いでしょう。

広小路商店街から北に向けて歩くと豊川にぶつかります。

犬も歩けば棒にあたると言いますが、歩くといろんな人との出会いがあり、 道端でしばし会話に花を咲かせることができます。 これまた楽しいひとときです。 これが、車ですと、すれ違って終わってしまいます。 車は、自分の世界に閉じこもってしまう要素もあるのでしょう。 ご近所つきあいも、散歩など歩くことによってはじまります。 歩くことによって、人と人との関係も育まれるようです。 そして、歩くことによって、五感が働いて、四季を自然を楽しむことができます。 庭先に咲いている草花に目がとまるでしょう。

豊橋駅から20分ほど歩けば、豊橋公園に至ります。 そぐそばに、豊川という水量の多い川が流れていて、眺めが素晴らしい。 上の写真が、ありし日の豊川堤防沿い。土手に沿って、遊歩道も整備されています。 この季節、あちらこちらで野鳥たちの楽しげな鳴き声。 心地良い風を受けながら、土筆(つくし)が芽を出したことを発見。 桜の花の蕾が膨らんでいること、タンポポの黄色い花々も目に映ります。 川の中をのぞけば、小魚が群れをなして、気持ち良さそうに回遊しています。 そんな四季を感じて、それをじっくり味わえるのも、歩くことによる恵みでしょう。

そして、街中であれば、いろんな個性的なお店があります。 これこそ、街の魅力です。これも、歩くことで見つけることが出来ます。 今回それをサポートしてくれる「豊橋まちなか お店マップ」が出来上がりました。 街中で働く人たち等にアンケートを実施して「おすすめのお店」を教えてもらった情報をもとに作成。 とかく観光協会からのものは、スポンサーの存在があり情報が偏りやすい。 それらを解消した市民目線でのマップであることが最大の特徴です。

医療機関、金融機関、市役所、地元の大手企業、専門学校などなどを 地元の大学生たちが中心となって丹念に廻ってお願い回収に上がり、 その数は869人分に上りました。 「地元のおいしいものを食べるのに良いお店」 「地元サラリーマンが出張ビジネスマンに教えたいお店」 「デートで連れて行って欲しいお店」などの項目に分かれ、写真入りで紹介されています。 何もお願いはしていませんが、幸い当店も「他のお店にはなかなかないものが買えるお店」で紹介されています。

豊橋まちなか お店マップ

その結果、街中の52のお店がピックアップされています。 さらに、特徴をあげますと、グーグルマップに合わせて、主要道路は、黄色で表示されています。 これからの時代は、携帯電話の地図を片手に街を歩く時代になるのでしょう。 しかし、より濃密な情報は、こちらのようなマップが必要ですので、兼用いただくと相応しい。 歴史的建造物も掲載されています。 その歴史が簡単に紹介されていて、恥ずかしながら、豊橋人の私もはじめて知ったことも多々ありました。

例えば、豊橋公会堂では、「吉田藩校時習館の跡地に1931年に建てられた講堂。最近『豊橋ロマネスク』の愛称で コスプレ撮影会も行われている。」 広げるとA4サイズ4枚分の大きさになりますが、12分の1に折り込まれているのでポケットにも収まるサイズ。 表面が地図となっていて、裏面がお店の紹介となっています。 通常の地図は、北が頭となりますが、このマップは、東が頭となっています。 これは、豊橋の主要通りが東西に伸びているゆえですが、直観的に見やすく工夫されています。

さて、このマップを企画編集されたのが、商店街マネージャーの肩書をもつ 長坂尚登(なおと)さんです。 わが街をこよなく愛する人ですが、彼の今までのキャリアが活かされて、 このマップの完成に至りました。 このような人がいることこそ、わが故郷の誇りであり、わが故郷の財産でもあります。 今後の彼の活躍も期待されますが、彼の成長とともに、街も私も負けずに成長して参りたいです。

どうぞ、このマップを片手に、豊橋の街中を歩いて楽しんで下さい。 このマップは、実店舗にご来店いただけば無料でお渡しできますが、 こちらのページより実物を見たり印刷することも可能です。 車ではなく、歩く楽しさにこそ開眼いただければと思います。 歩くことには、幸せが一杯詰まっています。 街は、さらに輝きを増します。この春、さあ歩きましょう。(2013年3月23日)