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子ども達からもらったもの

こんにちは。

今日は前回に引き続き、
小児科病棟での経験を通して
子ども達が私たち大人にとって、
とても大事な存在
と気づけた体験談を書いていきたいと思います。

今回は、
新卒1年目の中旬頃に起きた出来事について
書いていきたいと思います。

今回も長くなってしまうかと思いますが、
読んでいただきながら、
何かを感じ、受け取っていただけたらと思います。

一部、血液に関する内容も出てきます。


お苦手な方は、

ーーーーー

↑の印以降を読んでいただけたらと思います。

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小児科病棟での勤務にだんだん慣れてきた頃、
私は数回目の休日出勤のため
緊張しながら
受け持ち患者さんの情報収集をしていました。

休日のため、
病棟以外のセクションはお休みとなっており、
検査や手術といったことがないため、
(急変や緊急時以外)
いつも慌ただしい病棟が、
少し穏やかさを感じる空間となっていました。

とはいうものの、
子ども達はとっても元気で
朝から

『パン焼いてーーー!』

というナースコールがひっきりなし…

夜勤さんとの勤務交代までには
まだ時間があるものの
食事介助をしながらのナースコール対応は
手が回らず
私はパンを焼きながら情報収集をしていました。

休日は、
日勤の出勤人数は平日よりも少なくなります。

そのため、
1人で受け持つ人数がとてつもない人数になるため
急ながら情報収集。



今日は1人の患者さんが点滴のルート交換の日。

そのほか、
午前中は
幼児期の子たち2〜3人のお風呂介助や点滴確認。

午後は
点滴交換、
子どもたちのお昼寝誘導、
親御さんの面会時間には日中の様子などお話をして、午前中お風呂に入らなかった子たちのお風呂介助、
面会に来てない子たちと遊んだりする時間
記録

などなど

ここには書ききれない事柄を
8時間勤務でどのようにやっていくか…
頭を悩ませながら、
スケジュールを立てていきました。


点滴のルート交換が必要な子は、中学生の男の子。

交換中に動き回る危険性や不意に動いて点滴が抜ける危険性もないため、
この日、
1番落ち着いているであろう昼食前にやろう!
と決めました。

事前に男の子に
昼食前に点滴のルート交換をすることを伝え、

(点滴はIVHというものを使用しており、
  胸部に入っている針の交換は
  実施する必要性がなく、ルートのみの交換のため
  看護師1人で行います。)

準備をして、男の子のお部屋を訪室しました。

お部屋にはお母さんの姿があり、
面会時間には用事で来られないため、
荷物を届けに来てくれたとのこと。

お母さんと男の子と共に談笑しながら、
点滴のルート交換をして
お部屋を退室しました。

数分経って、
ピンポーンとナースコールがなりました。

先ほど行った男の子からであり、
そのまま訪室し

『どうしたの?』

と聞きながら、お部屋に入っていくと

『血が!』

男の子の目線の先を見ると、
ベッドシーツに直径10㎝くらいの血が広がっていました。

焦ってすぐ駆け寄り、
点滴ルートの接続を1つ1つ確認していくと、

一カ所ルートの接続が緩んでいました…

この緩みによって、
点滴が逆血してしまったことが判明。

すぐにリーダーを呼び、
バイタル確認など出血による体調の変化はないか、
点滴が血で凝固し、詰まっていないか
など確認し、
異常はみられませんでした…

リーダーと共に、
男の子のベッドシーツを交換するため、
再度訪室すると、
男の子がすぐにリーダーに話しかけ始めました。


『俺やお母さんが、
交換の時にすごい話しかけちゃって
邪魔しちゃったんだ。
ルートもお尻で踏んじゃったから、
こうなったのかも。
だから〇〇さん(私のこと)は、悪くないだよ。』

今回のことは完全に私の確認ミスが原因です。

ルート交換の際に、談笑することはあります。

しかし交換後の最終確認

(点滴の接続が緩んでいないか、
  接続がちゃんと噛み合っているかなど、
  刺入部から点滴ボトルまでの確認)

のタイミング時には、
目で見て、
手でたどりながら、
集中して確認することが必要でした。


私は、目で見ながら、
手でルートを確認していたけれど、
談笑に意識がいきすぎて、
【確認の意識】が薄かったのだと気づきました。

にも関わらず、
男の子は私を守ろうと、リーダーに続けて言います。

『だから〇〇さん(私のこと)を怒らないで?』

私はこの男の子の言葉に、ハッとさせられました。


リーダーは、看護師10年目以上の副師長さんです。

気軽に話しかけられる関係性ではありません。


シーツ交換が終わり、
ナースステーションへ戻り
すぐ私は緊張しながらリーダーに話し始めました。



今回起きたことの原因、

自分の問題点、

今後どうしたら同じことが起きないかといった自分の考えとそれに対しての自分の課題、

男の子にあのように言わせてしまったことに対しての申し訳ない気持ち

私の言葉をリーダーは静かに聞き、
『本当にすみませんでした』
と言葉を終えた時、


リーダーからは
『そこまで自分で考えられているならいい。』
とそのまま業務に戻っていきました。

私はたくさん注意されるだろう
とリーダーから放たれる言葉を
全て受け止めるつもりで身構えていたのですが、
一言だけ言葉を残し、
去っていく後ろ姿を呆気に取られていました…

フッと我に戻り、
私はすぐに男の子の病室に戻りました。

そして

『本当にごめんね』

と謝りました。

私の不注意によって
このことが起きたにも関わらず、
さらにあんな言葉を言わせてしまったことに対して…
そして
感謝の気持ちも伝えました。

私は看護師としての持つべき意識のタイミング
を男の子から教わり
さらに
男の子から優しさ、
相手を思いやる気持ちまでも教えてもらいました。

シーツに広がった直径10㎝の血液。

点滴の水分の量も含まれ、
ベッドパットにも届かなかった血液量
ではありますが、

それでも彼にとって大事な血液です。

私は彼から命をかけた学びと気づき、
そして他者を思いやる優しさを教えてもらいました。

彼からの優しい愛情のおかげで、
私はその後の看護師人生で、
点滴だけでなく、
医療現場で働くことに対しての意識を高めて働くことの重要性を教えてもらいました。


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私はこの経験を通して、
子どもの持つ愛の大きさを実感することができました。

私に原因があった事柄にも関わらず、
原因を作ったのは僕だと言わせてしまった時、
私はなんてひどいことをしてしまったんだろうと反省しました。

男の子は私が怒られないようにと、守ってくれた。


私が彼を看護師として守っていく
という立場にも関わらず…

今回の経験は、
私自身が医療現場で体験したことではありますが、
身近な環境でも、
子どもたちからの無償の愛や思いやりの心を経験されたという方もいらっしゃると思います。


お店でチラッと目が合った子どもがニコッと微笑みかけてくれた。


何気なくやった行動に対して、子どもたちが大きな声でお礼を言ってくれた。


おふざけをして、笑わせてくれようとしてくれた。


1度喜んだり笑ったりした行動を何度も繰り返し行い、笑顔にしてくれようとしてくれた。

などなど…

子どもたちは大人を笑顔にしようと、
悲しみや苦しみから遠ざけようとしてくれる
愛の塊の存在なんだと思います。

看護師人生が長かった分、
そこでたくさんの挫折を味わいましたが、
いつも子どもたちが何か察知して、

ニコッと笑いかけてくれたり、
いつもだったら手がすごくかかるのに、
今日はどうしたの?
と思うくらいお利口さんだったり、
時には頭をいい子いい子してくれたり…

たくさんの愛を与えてくれました。

子どもたちは、
大人の感情を読み取り、
自分の愛を分け与えることのできる
素晴らしい存在なんだなと
この文章を書きながら改めて思いました。

とは言っても、
毎回毎回感謝できるほど、
日常は穏やかなものではありませんよね
_| ̄|○

ご飯をひっくり返してみたり、
駄々を捏ねてなかなか次のアクションへ進んでくれなかったり、
ご機嫌斜めでずっとムスッとして無視し続けたり

でもこの行動って、
成長にとっても大切なことなのかな?
と思うんです。


数年前に注目された言葉

【自分の機嫌は自分で取る】

これ簡単なようで、とっても難しいですよね?

イライラの原因がわかれば
まだ対処しやすいですが、

女性であればホルモン的なこともあって、
原因がわからず、
『もう!』となってしまうこともしばしば…

女性だけに限らず、
男性であってもむしゃくしゃした気持ちのやりばがわからず、態度や発言に出てしまったり…

これって
子どもたちも同じことが起きているのかな?
って思ったんです。

【2歳頃になると魔のイヤイヤ期がくる】

お店で
『やだーーー!』
と言いながら
床にジタバタとしている子どもちゃんを
見たことがある
なんて方も少なくないと思います。


どうしたらいいのか分からず
たくさんごねて、
バタバタして、
発狂して…

(↑これが場所を問わず経験できるって
   子どもの時だけなんですよね( °△° ))

大人になると

自分の感情や気分といったもの
以外の
外界から自分の感情を振り回されることが増える
にも関わらず
感情を抑えなければならないことが増えていきます。

だからこそ

子どものときに

自分が抱える感情を十分体験させてあげて、
自分がどうしたいのか
と自らの思考し
発見できるようになれたら

いつか大人になって
生きやすくなるんじゃないかな?
ってそんなことを思いました。

私自身、
自分で機嫌を取るのがすごく苦手な人間です。

学生時代は無口で、
1人でなんでも解決型の人間でした。

しかし
色んなことを体験し、学んだことにより、
徐々に自我を表に出すようになった私は…

今がまさにイヤイヤ期と言った感じ( ̄▽ ̄;)


大人になったからこそ
子どものようなイヤイヤ期は経験できないので


とりあえず
1人になれる空間を探した後
どんな時の自分も許し
責めない。


怒りたいだけ怒ってごらん?
と感情を解放させてあげる。

紙に口には出来ない程の悪い言葉で思いを書きなぐったり、
ボールペンを握るように持って、そのままグチャグチャにボールペンを走らせたり、
紙をビリビリに破いてみたり

そんなことをしていると
不思議と怒りの感情がスーッと消えて
心がスカッとし出すんです。

さっきまで怒ってた自分を思い出して
笑っちゃうことだってあります。


なんだか書いていたら
【子どもたちがくれたこと】
から離れてしまったんですが、

とにかく!!

大人も子どもも
感情をコントロールすることは難しい!!
ということ!


でも子どもたちの方が、
自分の感情に忠実に過ごしている時間が多いから、
純度高い愛情を大人よりも多く持っていること、

そして
子どもたちは自分の命を守るための人間観察力に長けているからこそ、

自分を取り巻く
大人たちの感情の変化
が手に取るように分かるため、

悲しそうだったり、
不安になっている大人を目にした時、
感情に共感し

自分が持っている愛を、
どのタイミングで渡すか見定めてプレゼントしてくれているのかなと思いました。


子どもたちを観察していると、
本当に素晴らしい発見ができるし
学びがたくさんあります。

自分自身がイライラしていると、
押さえつけようとしてしまう事柄であっても

フラットの状態で見ると、
そこには子どもたちならではの
暖かい感情や素晴らしい考えがあることに気がつけるかもしれないと思いました。

今回は子どもたちがくれる、
思いやる心や愛情について書いていきました。

次回は、
その子どもたちの
素晴らしい魅力に気づくために大切な

自分の心をフラットにする方法

として、とっても大切だと
私自身が思っていることについて
書いていきたいと思います。

では
今回も読んでいただきありがとうございました。

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