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ドラマ『あのキス』1話目で脱落した理由

連続ドラマの1話目を見て、ちゃんと面白いと感じたにもかかわらず、2話目を観ないなんてことあるのだろうか。

あるのである。

今期のドラマ『あのときキスしておけば』がそうだった。

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あらすじ
スーパーで働く桃地(松坂桃李)はある日、レジで粘着質なクレーマーにからまれていたところ、大好きな漫画の作者・唯月巴(麻生久美子)に助けられ、運命的な出会いを果たす。
桃地に興味を持った巴は、桃地を家政夫のような使用人のような立場で雇いはじめる。言われるがままコキ使われながらも、巴の人気作家としての努力や思わぬ弱さを目にすることになり、徐々に距離が縮まっていく…

松坂桃李、麻生久美子、井浦新という好感度もお芝居への信頼度も一点の曇りもない完璧なキャスティング。個人的にも大好きな役者さんたちだ。特に麻生さんに至ってはもう殿堂入りレベルで好きな女優さんである。

実際、初回も面白かった。

敬愛する漫画家がまさかの女性で、その美貌や素顔に徐々に惹かれていく主人公と、好奇心と気まぐれでファンの男との距離を詰めていく漫画家の関係性は、やわらかで微笑ましい空気とチャーミングな掛け合いにあふれていた。

オタク気質でチェリーボーイ感を隠せないこのてのキャラクターは、もはや松坂桃李の専売特許。麻生さんが演じる自由奔放な人気漫画家も掴みどころがなく、視聴者に想像の余地を残す天真爛漫さが魅力的だ。

2人が主従関係で結ばれ、桃地(松坂桃李)が巴(麻生久美子)のペットのように扱われて翻弄される様は、最高にポップなラブコメだった。気負いなく楽しめるドラマとして小気味いい滑り出しだと感じた。

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こういった関係性で付かず離れずありながら徐々に恋仲に発展するドラマは過去にも多くあった。男女が逆パターンとかでも。

そんな既視感を打開し、もうひとひねりあるのがこのドラマの「ウリ」だったのかもしれない。

だが、僕の心境としてはそのもうひとひねりは不要だった。

ちょっぴり高飛車でマイペース、でも無邪気で才能のある麻生久美子に、ファンとしても異性としても惹かれていく真面目で気の弱い松坂桃李のラブストーリー。それで十分だと感じた。1話のこのノリをただだ延々と見せてくれ。そう思った。

だから1話目終盤に飛行機事故が起こって巴が死亡、隣に乗り合わせた謎の男(井浦新)が巻き添いとなって麻生久美子×井浦新の入れ替わりという奇天烈な展開に及んだ時、ーあらすじからそうなることは知っていたとはいえーなんのドキドキもワクワクもしなかった。

むしろ「ああ、ここまでか…」とテンションが下がった。

2話目以降は麻生さんを満足に見られなくなる。テンションが下がった理由のひとつにそれがあるのは隠せないが、井浦新だって好きな役者である。設定がユニークなのも分かる。

けれど、そんなにぶっとんだ展開で見たい3人じゃなかった、というのが本音だ。せっかく質の高い邦画が1本作れるようなキャストなのだから。

決定的だったのが2話目の予告やSNSで目にした今後の場面カット。1話目でもほぼ無駄に松坂桃李の裸体シーンがあったが、2話目以降も桃李や新のサービスショットを挿し込む様子が見てとれたのだ。

この時点で完全に視聴意欲が失せてしまった。
本ドラマのターゲットが女性であるのは明らかだが「どう?こういうの好きでしょ?」といった制作側の狙いが安直すぎて、そしてあからさま過ぎて、なんだかしんどくなった。

ただでさえ男前2人のボーイズラブ的な見え方となるドラマ。僕はおっさんずラブも見ていないし、BL要素でテンションが上がるスイッチも持ち合わせていないので、ここでの離脱を決意。いやわざわざ決意なんてしなかったけれど、2話目は気付けばスルーしていた。

大胆な入れ替わり設定も、直近で同じような設定で人気を博した綾瀬はるか×高橋一生のドラマがあったせいか、余計に新鮮味に欠けた。

設定の奇抜さや、安易に特定のファンだけを喜ばせるネタを主張して視聴を煽るドラマは好きじゃない。この先もしっかり見ていけば印象は変わるかもしれないし、偏った見方だという自覚もあるが、そんなふうに見えてしまった時点で仕方ないよね。

2人の恋仲に井浦新が『アンナチュラル』や『宮本から君へ』で演じたような、傍若無人で変わり者な元旦那として絡んでくるとか、そんなわりとありふれた三角関係ドラマが観たかったなあ。

個人の感想です。

サポートが溜まったらあたらしいテレビ買います