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個人ビジネスを成功へと向かわせる9つの大鉄則:第4話「複数のキャッシュポイントを見つける」

前回の話はこちらから

第2の鉄則【失敗しても良いようにヘッジ策を考えておく】

「リスクと言っても、ここで考えたいのは副業からビジネスが軌道に乗った後、何かしらの理由でうまくいかなかった場合のリスクだ」

壱努は大吉の言葉を熱心に聞きながら、驚いた表情で聞き返す。

「うまくいかなかった場合?一度軌道に乗ってもそんなことが起きるんですか?」

「もちろんだとも。起業したらあとは何も考えなくてもいいなんていうのは幻想だ。常に改善を求めて良いものにしていかなくてはすぐ廃れてしまう。軌道に乗っていても、すぐ失速してしまうものなのだ。

まあ、それ以外でもビジネスがうまくいかないことは往々にして起こりうる。そんな時、対策を備えておくかどうかはリカバリーを図るうえでとても重要になる。また、副業として始める際の参考にもなるからしっかり考えていこう」

「ビジネスって奥が深いですね。背水の陣を敷いて戻らない覚悟でやるもんだと思い込んでました」

「それくらいの決意は必要だ。しかし、ビジネスは残念ながら決意だけではどうにもならないこともある。何度でも立ち直れるよう安全策を用意しておくんだ」

「たしかにうまくいかなくなることを想定しておかない、というのは、それこそ一度で成功すると思ってるのと同じですもんね」

「そうだな。ビジネスは失敗やリスクが常につきまとう。継続させていくためにも、備えはいくつも持ち合わせておいた方がいい。収入源が経たれることがリスクとなるのだから、リスクヘッジとして必要なことは?」

「もちろん、収入減の確保です」

「そうだ、具体的にはどのようなものがあると思う?」

「そうですね。うーん、やっぱり考えられるのは勤め人に戻るということでしょうか」

「答えはそれだけかな?」

「そう言われるとまだあるんだなって思いますけど……うーん、わからないです」

「一つ導き出せただけでも今は上出来だ。いつでも戻れるようにしておくというのは心理的な安全を確保するのにとても役立つ。忘れないようにな。それ以外にも具体的には

・働き口を紹介してもらえるような人脈を確保しておく
・集客できないときのためにフリーで働ける状態にしておく
・投資などを行って労働以外の収入源得ておく

こんなところだな。一つずつ説明していこう。

ひとつ目は勤め人に戻るということでもあるが、同じ業界に戻るという選択肢だけではなく、あらゆる分野で人脈を広げておくと、何かと役に立つという話だ。

ここでのポイントは張り切って人脈作りに精を出さなくて良いというところだ」

「人脈は作るけど、精は出さない?」

「起業の目的が人脈作りではないからな。そこに躍起になって取り掛かっては元も子もない」

「それなのに、人脈は作るんですか?」

「いわゆる弱い紐帯と呼ばれる繋がりを作ることなんだがな。この弱い紐帯というのは、会社の人や家族といった近い存在の人たちのことではなく、SNSを通じてつながった人や知り合いの知り合いといった少し遠い関係の人のことを言う。

この弱い紐帯でつながっている人は価値観や生活スタイルが異なるため、自分が持っていない情報やアイデアを持っていることが多い。そのため、ピンチの時に思わぬ助け船となってくれることもあるんだ」

「へえ、そんなこともあるんですね。でも、言われてみると学生のころ部活で同じだったメンバーとはいつも同じ話題で盛り上がっていましたが、他の部の人と話をすると全然違う話題になることもあって面白いなって思ったことがあります」

「少し違う気もするがそんなところだ。実に面白い実験結果があるから紹介しよう。1970年にこの紐帯の概念を論文で発表した米スタンフォード大学のマーク・グラノヴェッター博士が行った実験では、とても興味深いデータを残してくれている。

この実験では米ボストン郊外に住むホワイトカラーの男性282名を対象に、就職先を見つける際に役立った情報の入手経路を調査した。

その結果から分かったことは、なんと調査対象者のうち、84%の人が稀にしか会わない弱いつながりの人からの情報で就職先を見つけていた。ということがわかった。さらに驚きなのが、こうした弱い紐帯から情報を得て就職した人の方が高い満足度を得ていたということだ」

「ええ?!驚きです!!」

「いかに自分の視点ではなく新しい視点を取り入れることが視野を広げることに役立つかがわかる貴重な調査だな。これはもちろんビジネスの方向転換や仮にダメになってしまった際の再就職先の確保にも活用することが出来る」

「これを知ったらいろんな人とつながることが楽しくなりそうです」

「自分の輪に収まっていることがもったいないことがよくわかるな。しかし、つながり自体に期待をかけるわけではなく、視野を広げるために活用することを忘れるなよ」

「目的と手段を混同しないように気を付けます!」

このストーリーは【個人ビジネス、はじまりの教科書: 個人ビジネスを成功へと向かわせる9つの大鉄則】を元に作成しています。鉄則が気になる方やご興味ある方は下記よりKindle書籍をダウンロードください。


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