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愛するイーハトーブの民よ、台湾を目指せ

花巻台湾間国際定期便就航、実現へ。
岩手と台湾には様々な縁があるので、インバウンドに期待するだけでなく、岩手県民の皆さんはどんどんアウトバウンドしよう、という話。

 この度、現在私の住む岩手県の花巻空港と、台湾の桃園国際空港とを結ぶ定期国際線就航に向けての覚書が交わされ、まずはこの3月下旬からLCCのタイガーエアによる定期チャーター便が10月下旬まで運航されることになりました。

 現在、家族が台湾中部で働いていることもあって、ここ数年は訪問を兼ねて年1回ペースで訪台しています。もっと頻繁に行きたいのですが、東北では仙台からしか直行便が飛んでおらず、予約も取りにくいので仙台から国内線経由で行くか、東京まで新幹線で出て羽田か成田まで行っていたので、エアチケット以外の交通費がかなりかかります(過去には花巻から伊丹まで国内線で飛び、関空までバスや鉄道で移動して出国した経験もあります)。週2回の運航(水曜と金曜の昼桃園発夕方花巻着、同日夕方花巻発夜桃園着)とはいえ、長期や有給が容易に取りやすい8月や2月なら花巻から出国できる様になるのは本当にありがたいです。

 以前からblogでもネタにしてきましたが、日本統治時代には盛岡出身の農学者(後に国際連盟事務次官)の新渡戸稲造や水沢(現奥州)出身の台湾総督府民政長官を務めた後藤新平、人類学者として台湾原住民を調査した遠野出身の伊能嘉矩など、多数の岩手出身者が台湾で働いていました。近年、ローカルテレビ局の岩手めんこいテレビでは、新渡戸と嘉矩の台湾での足跡をたずねた『新渡戸稲造の台湾』(2015)『KANORI』(2017)という番組が作られました。昨年は彼らの功績を追う台湾ツアーも企画されました。
 台湾からは季節チャーター便によるツアー先として岩手を訪れる旅行客が増えました。また滅火器(Fire EX.)丁噹など震災復興支援に入ったり岩手各地でMVを撮影する台湾アーティストも多く、滅火器は昨年、宮古市で開催されたスタジアムライヴにも参加しました。
 新渡戸や伊能嘉矩の件は個人的に昔から知っていたのですが、震災義援金額が世界で一番多額だったのが台湾だったことや、ここ数年新渡戸や嘉矩のメモリアルイヤーを続けて迎えたのがたまたま重なって歴史的側面から、岩手と台湾の縁が大きく注目されたと考えています。

 でも、気になったのが、チャーター便のセールスで台湾からのツアー客が増加し、岩手を旅先に選んでくれる一方、岩手で台湾のモノやコトがあまり注目されていないと感じたこと。魯肉飯の素や輸入調味料は地元でも容易に調達できるけど、春水堂や貢茶はもちろんないし、台湾ラーメンはあっても名古屋発祥のものだし、九份は未だに『千と千尋の神隠し』のモデルとかロケ地とかで誤解されますからね。この件については、ついつい「ちっがーう!」と頭ごなしに否定したくなる気持ちを抑え(理由は後日書きます)、変にマニアックじゃなく丁寧に説明することを常に心がけています。

 県の動きなども、これまでは圧倒的にインバウンド効果を狙っていて、今の季節だとスキーなどができることで台湾からお客を呼び込もうと努力しているのは見ていてわかるけど、アウトバウンドの動きがあまりなかったのが残念だったし、定期チャーター便も自分が行ける時にはだいたい運航されていないので、協力したくともできないのもまた残念でした。
 だけど、国際便の定期運航に弾みが着いたのなら、もう張り切って協力いたします。まだLCCに搭乗した経験もないし、お盆前くらいまで飛んでいれば、台湾経由で実家に帰省します(笑)。

台湾の話をするとよく言われるのが「海外行ったことないし…」「お金ないし…」。何を仰る兄さん姐さん、台湾は初めての海外としてはいい場所ですよ、込み入った路地まで入っちゃうとさすがに日本語も英語も通じないけど、主要観光スポットには日本語表記はちゃんとあるし、ホテルには日本語対応のクラークさんやコンシェルジュさんもいるし、街には日本語が話せる現役のおじいちゃんおばあちゃんもいるし、何よりも皆さん親切です。
 そんなわけで岩手県民の皆さん、今年は世界に飛躍できるいい機会です。東京や大阪を華麗にスルーして、どんどん国外脱出しちゃいましょう!この春の旅はもう東京からの予約を取ってしまいましたが、タイミングが合う限り私も花巻空港から脱出して海外へ逃亡したいです…。

 最後に台湾と同じくらい台湾映画を愛する私の勝手な妄想を。今は定期チャーター便が飛ぶけれども、いずれ花巻台湾便定期就航実現した時には、それを記念して、友好映画祭ができるといいなと思っています。例えば、花巻空港の送迎デッキや会議室を利用して『天空からの贈り物』のような優れたドキュメンタリーを、空港を擁する花巻市にある昭和レトロなマルカンビルのオープンスペースや食堂で『恋人たちの食卓』や『台北カフェ・ストーリー』や『祝宴!シェフ』などの美味しい映画、そして盛岡の各映画館で台湾の各都市を舞台にした映画が上映できたら楽しいんじゃないかな。
 もちろん、台湾各地でも岩手を舞台にした作品やドキュメンタリーを上映できるといいです。『リトル・フォレスト』や『3月のライオン』はすでに劇場公開されているけど、岩手という観点で集めて持って行ってもいいと思うんですよ。
 どうでしょうかね、もりおか映画祭事務局さん?>などと突然想定外の方面にふって、今回のコラムをおしまいにします。

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