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『藍色夏恋』デジタルリマスター版盛岡上映会(note版)

9月25日に、岩手県盛岡市のおでってホール(プラザおでって内)にて、〈映画の力〉プロジェクト主催による台湾映画『藍色夏恋』デジタルリマスター版の上映会が開催されました。
先にblogにも書きましたので、詳細は下記のリンクからどうぞ。

ここでは上映後のアフタートークについて、少し紹介いたします。
なお、トークの内容にかかわることもあって、以下からは映画の内容に触れる箇所がありますことをご了承ください。また、筆者のやや主観的な感想も入りますので、よろしくお願いいたします。

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上映後、まずは私から、スペインやオランダから日本による統治、WW2後の国民党の臨時首府制定と白色テロなどの歴史からざっと説明し(これを挙げておかないと後の話につながらないと判断したので)台湾ニューシネマの登場と2000年代後半の『海角七号』の登場まで、台湾映画の概況について紹介いたしました。『藍色夏恋』については、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)やエドワード・ヤンが作ってきた作品群の系列を継いでいることと、主演のグイ・ルンメイとチェン・ボーリンはいずれもこの映画でデビューして、今や第一線の俳優として活動していることを紹介しました。

劇中で、ルンメイ演じる孟克柔(モン・クーロウ)が親友の林月珍(リン・ユエチェン)の代わりにボーリン演じる張士豪(チャン・シーハオ)と付き合うものの、実はクーロウはユエチェンが好きで、シーハオに全く恋愛感情を抱けない…というくだりが登場します。この作品が公開された翌年、台湾では初のプライドパレード・台湾同志遊行が開催され、同年、華人作家の白先勇が70年代の台北を舞台にして同性愛者たちを描いた長編小説『孽子(ニエズ)』をドラマ化した『孽子(ニエズ) Crystal Boys』が放映され、その後映画でも同性愛をテーマに取り入れた作品が多く作られるようになったのですが、これがきっかけでゲストにお呼びしたのが、この夏の盛岡市議会議員選に最年少で当選されたいわてレインボーマーチ代表の加藤麻衣さん

上映会に先立って、麻衣さんにも先に映画を観ていただいたのですが、最初の感想として「男の子の方がゲイなんじゃないかと思って観ていたら、この展開は意外だった」とのこと。そして会場で再見したら、シーハオと付き合うことに対してのクーロウの無反応さがまさに男子に興味ないという感じだったので、かえって後半のユエチェンへの思いの切なさが強まっていたとか。
LGBTを取り上げた映画はゲイが主人公となるものが多いので、レズビアンが取り上げられるのは今まであまり観たことがなかったとのことですが、ゲイが主人公の映画に比べてレズビアンの作品はあまり多くないと言われたら確かにそうだと頷いてしまいます。(レズビアンが主人公の台湾映画だと『TATTOO-刺青-』『ミャオミャオ』などがあり、現在東京で公開中の『バオバオ フツウの家族』はレズビアンのカップルが子供を授かるためにゲイカップルに協力を要請する話です)

自身もLGBT当事者である麻衣さんからは、日本におけるLGBTの一般への受容と、7月に参加されたニューヨークのプライドパレードの模様を交えながら、10月12日(土)に盛岡市で開催されるプライドパレード、いわてレインボーマーチのご紹介がありました。
「この道を行く。胸を張って、堂々と。」というコンセプトの下、今年はLGBTも含めた様々な社会的マイノリティの想いと共に歩くとのことです。
私も昨年のパレードに飛び入りで参加したのですが、自分が思うよりもいろいろな人たちがいること(県外から駆け付けた方もいました)、社会的に窮屈と思うのはどんな立場であっても変わらないし、自分らしく生きることを応援したいし自分もそうでありたい、ということを歩いて感じたのでした。
そんなわけで、今年のパレードも参加することにしました。

今回の上映会では、昨年から花巻から行けるようになった台湾と、タイムリーなトピックであるLGBTがテーマになって、準備の段階からいろいろ勉強したり、麻衣さんのお話を聞いたりして非常に有意義でした。
私の方からは、今後も台湾映画を観てもらえるように、イケメン俳優目当てでもいいし、独特の緩いテンポがある作品に出会ったら寝ちゃってもいいのですよー(こらこら)などとアドバイスを添え、これからも台湾映画が上映できるように願いつつトークを締めたのでした。

以上が、多少主観が入っていますが、上映会のトークレポートでした。
次回、盛岡で台湾映画を上映しようとなると、何がいいかな?と思ったら、こんなニュースが入ってきました。

…となると、次回上映はやはり『花蓮の夏』でしょうかね?
実は未見なので、いい機会だと思うんですが…。

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