ガラクタになった宇宙船

ちいさなころから友達がいる。アタマのなかに
素敵な街だって家だってある。ココロのなかに
パパは、ヤツらと手を繋いで行くな
ママは、あんまり遠くまで遊びに行かないで
暗くなって帰り道がわからなくなるまえに
うちに戻っておいで 夕飯は用意してあるから
なんて言ってたけど
ヘッドホンで夢を見て背を向けて出ていった
ちょっとは、話を聞くべきだったかな

いまよりもずっとこどもだったころには
こんなにも人生で呼吸して歩くのが重いことだなんて思いもしなかったから
オトナに成長するのがこんなにも痛みを伴う淋しいことだなんてわからなかったから
そばにいてくれるひとが心から必要だなんて感じることもなかった
恋なんてもっと刺激的なもので浮き足だってて
地に足をつけるために必要なことだなんて考えてもみなかった
いまじゃ、もう自信を失って、ちっぽけになってる

ガキのころから現実的に考えるのが苦手なんだ
君がいないとぼくはどっちつかずで宙ぶらりん
どうしたらいいのか、わからない
どうしたらいいのか、わからない
だから、俺は君の帰りを待ってる
帰ってこないのはわかってるけど
君を失ってから、ぼくは歩きかたも立ち上がりかたわからないけど
ひとりでいかなくちゃいけない
気分が落ち込んでなにをしたらいいかもわからないけどね

宇宙船は、不時着。ただのガラクタになった。
それから、奇妙な社会のなかで背中を丸めてる
まっすぐ歩こうにもよろめいてこけてしまう
立ち尽くして寒さに耐えて帰ってきた
だから、しばらく寝させておくれよ
とても疲れたから マトモに考えられないから
目が覚めて明日が迎えにきたら
今日が怖くなくなってるかもしれないから
昨日よりもほんのすこしだけ
世の中とうまくやれるかもしれないから

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