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矛盾を減らしシンプルに生きる人はたくましい
外国人留学生がアルバイトとして入社してきた。カルロスは仕事に真面目で、日本語も堪能だ。誰とでもすぐ打ち解ける社交的な好青年だった。日本で勉強をして、故郷に帰って事業を起こすのが夢だそうだ。
日本は家賃が高いからと、築40年以上と思われる古い物件に暮らしていた。部屋はシンプルで持ち物も少なく、テレビもないが勉強道具は揃っていた。風呂場の老朽化が著しいと言うので、大家さんに家賃と相殺してくれるよう提案をして、修繕を手伝ったりもした。
口癖は「ニホンハブッカタカイネ~」で、どこで覚えたのか「イチモンナシ」という言葉をよく使う。家族にも多少の仕送りをしているようだったし、金銭的に大変なのだろう。僕も薄給だったけれど、一緒にご飯を食べに出かけたりした。「ダイジョウブダカラ。ボク、ハラエルカラ。」と言うのを制して「遠慮しなくていいよ」と、先輩ぶってご馳走したりしていた。
彼が故郷に帰る期限になった。
送別会とまではいかないが、簡単に部内で労いの会を催し、記念の品を手渡して彼を見送った。
「なんかカルロスの実家、すごい資産家らしいよ。お父さん、会社をいくつも経営してるって」
「 ええぇ~なにそれ…?イチモンナシって、銭は無いって、言ってたぞ?」
「日本円は持ってないけどドルならあるってことじゃないか?」
カルロスは、ただ単に倹約家で慎ましいだけの金持ちだった。
今頃きっと故郷で成功しているに違いない。ほんの少しばかりでも、日本のことを思い出してくれたら、僕は嬉しい。
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