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ゼークトは無能な働き者を銃殺しろと言った。だが無能な怠け者には価値があると言う。

※お食事中の方はお控えください。
日本中の企業に謎の部署の謎の部長が存在してはいないだろうか?

実際に何をしているのか、誰に聞いてもわからない。他を知らず、新卒からずっとこの会社にいる人だということと、定年間近であるというくらいの情報しかない。
女性社員からは、通勤時間×2と自宅活動でバッテリー残量が0になってしまうため、会社のデスクは実は彼の充電器なのだと噂されていた。それがゴトー部長だ。

僕はこのゴトー部長の声すら聞いたことがなかった。デスク周辺を訪ねることはほとんどないのだが、一日中手書きの書類を作成しているという噂は耳にしていた。ただ、何のために何の書類を作成しているのかはわからない。その書類がその後どの部署の誰に手渡されるのかすら、誰に聞いても不明なのだ。

実は彼は、いつでも始末できるようにデータに残しちゃいけない帳簿を手書きしているとか、都市伝説にありがちな会長より上の謎の取締役で、占いやまじないによって会社を操っているのだとか、誰にも言ってはいけない黒ずくめの男の組織に関与していてバレたら薬を飲まされて子どもにされてしまうとか、僕の妄想の暴走が止まらない。

「部長、あの、お客様が…」

総務の女性社員が、小さな声だが慌てた様子で部長を呼び出している。彼が椅子から立ち上がる姿を初めて僕は目にし、そして静かに彼の後を追った。

このあと僕は彼がとてつもない重大任務に就いていることを知ることになる。

彼は-
とても満足げな笑顔で、右手にママレモン、左手にトイレットペーパーでくるんだ小さな何かを携えている。

「台所洗剤かけるとね、こう、それが気管に入ってさ、窒息しちゃうんだよ。」

コードネームG 作戦名プレイング・ローチ さて、この業務は誰に引き継がれるのだろうか…。

#ゆるく生きよう #コント部 #エッセイ #サラリーマン #僕なりの幸福論 #毎日note #謎の仕事

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