アートビジネスの未来を読み解く-FUNDINNO未来産業レポート-
ベンチャー企業が創り出す新市場や産業の未来を考えるヒントをお伝えする「FUNDINNO未来産業レポート」の第6弾です。
今回は「アート」をテーマにお伝えしていきます。
アート業界では「NFTの活用」「オンラインでのプラットフォーム形成」「格安の共同アート保有サービスの登場」など、大きな変化が起きています。
この記事では、国内外における業界の動きの背景・トレンド・注目企業などをわかりやすく解説します。
最新のベンチャー企業トレンドを理解するのに、ぜひご活用ください!
1. アートテックとは?
アートビジネスの領域では「アートテック」=アート業界におけるテクノロジー活用が注目を集めています。
具体的な例として、以下の3つが挙げられます。
作品のオーナーとなるハードルが下がり、若年層やアートビギナーの参入にも役立っています。
アート業界の盛り上がりに深く関与するアートテックは、いま注目の技術といえるでしょう。
プラットフォーム上で作品のオーナー権を購入し、複数人でシェアする
アーティストへの長期的なロイヤリティ付与
といったように、アーティストにとっても、ユーザーにとってもWin-Winの関係が生まれやすくなっているのです。
2. アート業界のトレンド
次に、アート業界の規模やトレンドについて確認していきましょう。
日本のアート業界の市場推移
日本におけるアート業界の市場規模の動きは、以下の通りとなっています。
2019年よりも2020年が、若干ながら減少している点が確認できます。
新型コロナウイルス感染症の影響によって、主要な購入チャネルである画廊・ギャラリー・百貨店などの来場が制限されたことが要因のひとつとして考えられるでしょう。
注目はアートのオンライン取引市場
先程にアートテックの文脈でアートビギナーの参入が増えていることを触れました。しかし、あくまでも便利なオンライン取引に留まり、昔ながらの「実際に画廊へ足を運び、説明を受けながら作品を購入する」という動きが出にくい状況になっていることがわかります。
この市場調査は2021年のデータをまだ公表していませんが、国内のアート業界においても今後、オフラインよりもオンラインでの取引に着目する必要があります。
ブロックチェーン・NFTがアート業界のトレンドとなり、オンラインでのオークション取引が活発に行われるようになっています。
NFTを活用したオンライン販売は、新しい技術ながら2021年におけるアートマーケットのうち2%を占めることが発表されました。
ブラック・ルネッサンスの動き
さらに、アート業界のトレンドとして「ブラック・ルネッサンス」の動きも見逃せません。
ブラック・ルネッサンスとは、白人でないアーティストの作品が少ない現状を見直そうとする動きをいいます。
黒人差別に反対する「All Black Lives Matter」のデモを受け、アート業界全体で作品の評価・人事などの見直しが行われたのです。
これにより、とくに黒人系アーティストの作品の価格が見直され、活発に売買されるようになりました。
まとめます。
近年では「オンライン化」「NFT」「ブラック・ルネッサンス」の3つの要素により、アートマーケットの動きが大きく変わっているといえるでしょう。
3. 世界:アート業界の投資状況
海外のアート業界の投資状況を整理していきます。
海外と日本で大きく異なるのは、資産運用の手段のひとつとして、アート作品の売買が個人にも浸透していることです。
企業だけでなく、個人もフェアやオークションをはじめとしたアートマーケットへ足を運び、売買を行っています。
そのため海外のアートオークションは、コロナ禍でも好調です。
各オークションのオンライン化やNFTの影響により、世界の美術品のオンライン売上高は、2020年には前年の約2倍の数字を記録するほどでした。
2019年から2020年への増加比率は117%となっており、アート作品のオンライン取引が注目されています。
このように、アートマーケットのオンライン対応・NFT活用による、新しい所有の形などが増えたことにより、アートへの関わり方・投資方法などが多様化しているといえるでしょう。
個人でのアート売買文化が浸透している海外においては、ますます盛り上がることが予想されます。
4. 国内:アート業界の注目ベンチャー企業
最後に、国内アート業界における期待のベンチャー企業を3社ご紹介します。ぜひ、特徴や動向をチェックしてベンチャー投資の参考にしてみてください。
1. ストレイム アート アンド カルチャー株式会社(旧・SMADONA株式会社)
「ストレイム アート アンド カルチャー株式会社」は、アート作品の共有プラットフォーム「STRAYM」を運営する企業です。
STRAYMでは「国内外のアート作品を、最小額100円から購入可能」「作品の保有率が8割を超えると全保有権の買い取りが可能(完全所有可能)」などが実現されています。
どのようなビジネスモデルになっているのでしょうか?
アートビギナーでも気軽に作品を所有できる仕組みが整っており、「少額でアートへの投資を始める」ことが可能となります。
また、アーティストにとっても機会を提供する仕組みになっていることが注目ポイントです。
「STRAYM」を通して多くのコレクター(ユーザー)の目に触れることで、作品の価値が大きく飛躍する可能性を秘めています。
もう1社の注目ベンチャー企業をご紹介します!
2.WALL SHARE(ウォール シェア)株式会社
WALL SHAREは、ミューラルアート(壁画)を手掛けるベンチャー企業です。
日本における壁画はいまだネガティブなイメージも多いものの、海外ではまちづくりに貢献しており、「アートへ関わるきっかけ」となっています。
ミューラルアート(壁画)の良さを活かしたビジネスモデルとなっています。
アートに対して、市民、企業がダイナミックに関わる仕組みが構築されていることが魅力的です!
3. 株式会社グッドラックスリー
グッドラックスリーは、ブロックチェーン技術を活かした、アプリやゲーム開発を行なっている会社です。
ブロックチェーンテクノロジーを軸に、多領域でコンテンツ開発を行なっています。
最近ではNFT事業にも参入をし、アートテックの最先端を追求する動きにも力を入れています。
井上社長のNFTアートに関して言及された記事はこちらです。
また、グッドラックスリーはFUNDINNO Marketでも株主コミュニティの運営を開始しております。
詳しくは下記の動画で事業内容や構想含めてご確認してみてください!
5. まとめ
「アート」は、海外において個人の資産運用・投資として盛んに売買されてきました。そこに近年の「NFT技術の導入」「ブロックチェーンの構築」「新型コロナウイルス感染症の流行によるオークションのオンライン化」「ブラック・ルネッサンス」など、業界が大きく変化する出来事が多く起こっています。
そうした影響により、日本・海外問わず、アートビギナーでもアート作品の所有がしやすいプラットフォームの形成や、共同保有の実現などが起こっています。
ベンチャー企業が多く新規参入することで、ますます国内でもアートに注目が集まっており、今後の動向が楽しみです!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?