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「資金調達の民主化の道」立ちはだかる、誤解――株主数が多いとIPOできないのはホント?

ベンチャー企業の資金調達は、今、株式投資型クラウドファンディングという新しい資金調達方法の誕生により「民主化」が進んでいます。

しかし、株式投資型クラウドファンディングを検討されている企業から、
「株主数が多いとIPOできないのは本当か?」という相談を受けることが多いです。

IPOする際に、株主数が法的に問題になることはありません。

にもかかわらず、なぜ、このような話が出てくるのでしょうか?

今回は、この誤解の背景にあるものについて、お話いたします。

エクイティ・ファイナンスを考える起業家には、選択肢を広げるためにも、知るべき事実があります。


1.限られた資金調達の方法に、民主化を!「株式投資型クラウドファンディングの誕生」

 従来、ベンチャー企業が資金調達をする際に利用する、エクイティ・ファイナンスの資金の出し手は、ビッグなエンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどに限られていました。

限られた資金の出し手に巡りあうことのできない起業家はどうしたらいいのでしょうか?

コネや、ある一定の人脈がなければ、自分の描く事業を実現するチャンスすらもらえません。日本における、エクイティ・ファイナンスの可能性は、今まで閉ざされてきたのです。

さらに、先進性の高いビジネスモデルの企業であればあるほど、銀行からのデット・ファイナンスが受けづらいという行き詰った状況が日本にはありました。

これでは、日本にイノベーションの芽があっても育たないのです。

これらの日本の課題を踏まえて、国が動き、「家計」から「ベンチャー企業」へ直接、お金が流れる仕組みを構築しました。それが、株式投資型クラウドファンディングです。

つまり、株式投資型クラウドファンディングは、ベンチャー企業を応援する国策の中で生まれた仕組みなのです。

2.株式投資型クラウドファンディングってどのようなもの?

株式投資型クラウドファンディングとは、一言でいうとインターネット上で資金調達したい企業が情報を公開し、個人投資家から資金を募るという仕組みです。

ポイントは『イグジット』と『共感』です。

株式投資型クラウドファンディングのリターンの特徴は、個人投資家が1社あたり年間50万円を上限に未公開株を購入することができ、『イグジット』を狙うという点です。

未公開株を、IPO前やM&Aの前から保有することになるので、ベンチャーキャピタル(VC)やビッグエンジェルといった投資家と同じく、イグジットの際のキャピタルゲインがメインとなります。

さらに、もう一つの特徴である『共感』。株式投資型クラウドファンディングでは、株式投資の本来の姿に近い、投資先の企業への「共感」や「応援したいといった気持ち」で投資をする投資家が多く存在しています。ミライある起業家の想いに自分の想いを乗せたい個人投資家の存在が増えているのです。

ベンチャー企業の成長過程には、当然、M&AやIPOなどが、想定されています。

国がベンチャー企業を応援するために、構築した制度上で資金調達した結果、株主数が多いからIPOができないなどという事はあり得ないでしょう。

3.「株主数が多いとIPOできない」という噂の根底にあるのは? 

  3-1既存の金融機関からの意見?

上記の流れを受けて、改めて株主が多いと何が問題なのでしょうか?

市場を運営している東証や幹事会社側などの既存の金融機関からの意見が想定されます。

例えば、
「コミュニケーションが煩雑だ」
「出資者の反社・反市場チェックはきちんとできているのか?」
などの意見です。

まず、コミュニケーションの煩雑さについては、株式投資型クラウドファンディングのプラットホーム上では、株主とのコミュニケーションが可能になっています。株主総会の召集通知、IR報告などもプラットホーム上で完結することができます。

次に、反社・反市場チェックについて。出資者の反社チェックについては、FUNDINNOでは、「エス・ピー・ネットワーク」、「公益財団法人暴力団追放運動推進都民センター」を活用して反社・反市場チェックを行っています。

このチェックを通過した投資家のみが出資可能となっているため、出資者に反社・反市場の人物が入る事はなく、それぞれの懸念事項に対しての対策が存在しています。

 3-2その他資金の出し手からの意見?

では、その他の資金の出し手からはどのような意見が想定されるでしょうか?

スタートアップが成長する過程で、次の資金調達を行うことが想定されます。

その際に、株式投資型クラウドファンディングで資金を調達した企業が、他の資金の出し手にアプローチする場合、その資金の出し手が嫌がるというケースが考えられます。

なぜ嫌がるのでしょうか?
出資者をまとめる立場になると、成長過程で発生する様々なイベントに対応するために株主間で契約を締結するといったことが発生してくるケースがあります。

株主間契約を締結するといった場合に、複数の株主が存在すると管理手間が多くなると考えられるかもしれません。

しかし、株式投資型クラウドファンディングのプラットホーム上では、投資家とのコミュニケーションが可能であるため、契約・確認作業の煩雑さは回避されています。

上記の事を考えると、「株主が多いから資金の出し手が渋るということは考えづらい」 と言えます。

もし、上記のような理由を挙げた場合は、株式投資型クラウドファンディングの仕組みをあまり、理解していない人の発言ということになります。

4.資金調達の方法は多様化している

株主数が多いとIPOできないという疑問において、法律制度上でNGということはありません。

国から認められた制度として立ち上がった株式投資型クラウドファンディングですから、IPOができないというのでは本末転倒です。

本件について、エンジェル投資家の前田ヒロ氏に意見を伺いました。

「株主の多さだけという点にフォーカスした問題ではないと考えています。起業家視点で考えた場合、株主は誰で、そしてお金以外の価値を提供してもらえて、そして経営がしやすい状態を求めています。それを提供するのが我々投資家であると考えています。」

資金調達は、起業家にとって大きなチャレンジであり成長には欠かせないものです。

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様々な資金調達の方法があり、多様化しています。

この中でも、新しい調達方法である株式投資型クラウドファンディングでは、あなたの事業を応援、加速させてくれる可能性をもつ投資家が数多く存在しています。

政府が後押しし、ベンチャー企業へのリスクマネーを供給するための仕組みである「株式投資型クラウドファンディング」を選択肢の1つとして考えてみてはどうでしょうか。


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