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〔日本〕BOJ政策金利&円相場見通し




❏ 背景と予想

今回、政策金利について据え置きが確実です。ただし、日銀がすこしずつタカ派に傾いているのは事実で、利上げでない形でタカ派姿勢を示してくる可能性があります。


▶国際個購入の減額

もっとも可能性が高いのが、「国債購入額の減額」で事実上のテーパリングとなります。国債購入が減れば、需給の問題から長期金利は上昇して円高要因となります。ゆえに減額は長期金利の利上げという解釈もできるでしょう。

▶利上げ示唆(要人発言)

他にも植田BOJ総裁が会見で、「タカ派姿勢を鮮明に打ち出す」という事も考えられます。いわゆる利上げ示唆や、利上げ条件の明示などです。
最初の利上げ時も、利上げ条件や判断時期について事前に言及がありました。同じように条件が明示されれば材料になるでしょう。


❏ 金融政策決定会合とは?

日銀金融政策決定会合(にちぎんきんゆうせいさくけっていかいごう、英: Monetary Policy Meeting of the Bank of Japan)は、日本銀行の金融政策を決定するための会議です。これは、日本経済全体の安定と成長を図るために非常に重要な役割を果たしています。以下は、この会合の詳細です。

  1. 目的
    金融政策決定会合の主な目的は、日本の経済状況に応じて適切な金融政策を策定・実施することです。これには、インフレの抑制、失業率の低下、経済成長の促進などが含まれます。

  2. 参加者
    この会合には、日本銀行の総裁、副総裁、政策委員会の委員が参加します。政策委員会は、総裁1名、副総裁2名、その他の委員6名の合計9名で構成されます。

  3. 開催頻度
    金融政策決定会合は通常、年に8回(約6週間に1回)のペースで開催されます。緊急時には臨時の会合が開かれることもあります。政策金利の発表は、当日正午前後になります。ただし他国のように深夜3:00というきちんとした時刻は決められていません。

  4. 決定事項
    会合では、以下のような金融政策に関する重要な事項が決定されます。

金利政策: 短期金利や長期金利の目標値の設定。
資産買入れ: 国債やその他の金融資産の買入れプログラム。
その他の金融政策手段: リスク資産の買入れや、資金供給の条件変更など。

5. 発表と影響
会合の結果は、通常、会合終了後に「声明文」として公表されます。この声明文は、金融市場や経済全体に対する日銀の見解と政策方針を示します。これにより、株式市場や為替市場、債券市場などに大きな影響を与えることがあります。
金利発表後、同日15時に日銀総裁による会見があり注目されます。


❏ ファンダメンタル分析

▶CPI動向を確認しよう

コアCPI(前年比)

日本もパンデミック後に、インフレ高騰で大騒ぎになった時期がありました。2022年夏から翌年はじめくらいです。パイパーインフレとか大げさなメディアもでましたが、これまでデフレ一辺倒の日本にとってはカルチャーショックではありました。

実は、現状の日本のCPIはかなり落ち着いています。
コアCPIは、ちょうど2%で「インフレターゲット」を達成した状況です。ゆえに即座の利上げが不要という意見もあるでしょう。ただし、インフレ率に対して著しく低い政策金利を正常化させるべき。そういう識者もしますし、円安を是正するため利上げすればいいという識者もいます。

日本のPPIである企業物価指数(CGPI)は、CPIの先行指標です。
CGPIは2024年に入ってから、上昇トレンドに入りました。ゆえに2024年後半は、日本CPIも上昇に転じる可能性がでています。もしこれが実現すれば、利上げに追い風となるでしょう。


▶GDPギャップ(需給ギャップ)

需要が供給を上回れば、経済は活性化する

Fundaliaでは、日銀が利上げをするにあたり「GDPギャップがプラスになること」を条件に挙げていると考えています。

GDPギャップがプラスの世界とは、「生産より消費が大きくなり、経済発展と物価上昇、雇用が旺盛になり賃上げが常態化」した経済になります。つまり、日本経済がデフレに後戻りしないことを意味します。
グラフから分かる通り、実は2010年代後半もプラスになっていましたが、これはアメリカと中国の貿易戦争(トランプ大統領時代)の影響を受けたと言われています。コロナで潰えてしまいましたが…

今回、インフレ発生&円安という好環境で、中国の工場が日本へ回帰するなど追い風の中、GDPギャップがプラスに転じようとしています。

これが確実になれば、日銀は積極的に利上げを開始する可能性があると予測されるため、この件について日銀が触れた場合には要注意です。


❏ 発表後、円相場の見通し

声明文や植田BOJ総裁発言が注目されます。タカ派・ハト派それぞれのケースで相場観を検証してみましょう。

▶タカ派だったケースの値動き

想定以上にタカ派だった場合、円相場全体が円高になるでしょう。ただ対ドルは米国がタカ派のため「タカタカ」になり、値動きは限定されます。160円になる流れを牽制はできるでしょうが。
直近で利下げをしたカナダドルやメキシコペソ、利下げ基調になるユーロやポンドとは「タカハト」になるため、美味しい通貨ペアを組むことができるでしょう。

あとは、相場観を綿密に分析したうえでトレードを考察していくことができます。

▶ハト派だったケースの値動き

いつも通り、梃子でも動かぬ日銀だったケースでは、全体として円安になります。この場合はタカ派の対ドルとの関係が「ハトタカ」になるため、ドル/円(long)の中長期トレードが成立します。

キャリートレードが成立するので、長期投資家や機関投資家などが喜んで円売りを実施しそうです。現在の相場観は、何もなければ円安という流れです。


❏ まとめ

ドル/円に関して言えば、BOJ政策金利の発表で両側の情報が整理されます。トレンドが明瞭になるため、はっきりした意見がでるほど分かりやすい相場観になるでしょう。


記事は以上です
また次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)

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