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〖事後考察〗FOMCの結果とドル相場の未来図

FOMCを通過しました。タカ派だったと報道されていますが、どのようにタカ派だったのか?そしてドル相場はどうなるのか?記事にしてまいります。



❏ FOMCの結果

金融政策は予想通り据え置きだったが…

金融政策そのものは、事前予想の通りになりました。特に目新しいものはなく、目新しい材料が無かったことが材料になりました。ポイントを紹介します。

▶雇用やインフレが鈍化したのは好ましい

パウエルFRB議長は、強すぎる雇用やインフレが鈍化したことは、高い金利を正常化させるうえで好ましいという主旨の発言をしています。JOLTSやADP雇用者数が弱く、雇用統計も深掘り分析すると弱含みであることは、FRBにとって好ましいということです。

▶インフレ率はなお高過ぎる

昨夜のCPIデータも含め、インフレが鈍化したことは好ましいとしつつも、3%を超えるインフレ率であることに変わりなく、それは容認できないと考えているようです。当面、利下げは実施しない示唆をしました。事実上のタカ派発言で、FOMC中にドルや長期金利は上昇しています。

結果、タカ派FOMCになりました。
直近の指標データが悪いこと、CPIが弱かったことで早期利下げを期待した人々は、損切りを余儀なくされています。


❏ データ確認

▶FRB経済予測

インフレ率の予測が上方修正されるサプライズ!

経済予測は3月から大きな変化はありませんでしたが、インフレ率の見通しは大きく上方修正されています。おそらくFRBがターミナルレートを継続させる根拠となるでしょう。

▶金利ドットプロット

2024年の利下げ見通しは3回から1回へ縮小された

おそらく今回のハイライトは、金利ドットプロットだったと思います。3月までは「4.50-4.75%」あたりまで利下げが進むと予想されていました。しかし今回は、「5.00-5.25%」あたりが妥当という見通しに変化しています。利下げ無しと考える担当者も増えました。
このデータは、投資家がドル買いを進める根拠となるでしょう。夏秋に160円を目指す動きが再燃するかも知れません。

インフレ率が上方修正され、利下げ予想が減りました。
減ることは事前に予測されていましたが、利上げ2回が減ることはドル相場に強い影響を与えるでしょう。

▶CME金利予測

為替先物の取引データから得られる、FOMCの金融政策予測データを見ていきましょう。

6/12CPI発表&FOMC前の金利予測
6/12FOMC後の金利予測

2つの表を取得した時間差は(10時間)ほどしかありませんが、金利見通しは大きく変化しました。例えば9/18データを見ると、この日のFOMCまで利下げされない確率は29.1%⇒38.1%と一夜で9%も上昇。
利下げが進む確率が減ったとマーケットは考えるようになりました。


❏ ドル相場(ドル/円)の見通し

ドル/円(1時間足)

6/12の米CPIは弱いデータでドルが1円50銭くらい売られました。そしてタカ派FOMCにより、約半分が買い戻されています。このチャートは十分に予想の範疇でした。
なぜなら、事前考察でも指摘した通り「1つの単月指標が、金融政策を動かすことはない」からです。CPIが悪かったから、FOMCも一緒に悪くなることはないという意味です。経済指標にはそんな力は無いという意味もあるでしょう。

Fundalia(FFP)では、ファンダメンタル分析を志しますが、経済指標の限界も理解しつつ分析をします。多くの個人トレーダーは、経済指標の結果を見てトレードに反映させますが、Fundaliaでは単なる分析資料として扱います。※稀に条件が整ったときだけ経済指標トレードをしますが

▶ドル相場の見通し

タカ派FOMCの影響を受けて、ドルは高止まりするでしょう。円を売りドルを買って猛烈利回りのスワップトレードが有効になるため、ドル/円はとても買いやすい通貨ペアとなります。

つまり、また160円を目指す根拠が加わったと考えて良いでしょう。
今後は、ジリジリと円安が進んで160円に迫ると為替介入への警戒が再浮上するはずです。

現時点で円売りを邪魔する条件は少ないため、よほどの事件が割り込んでこない限り、ドル/円の上昇は止められません。また2022年、2023年、2024年序盤のような相場観が再現されました。
次にドル高を止める材料に留意しつつ、ドル買いが進むでしょう。


記事は以上です
また次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)


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