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生物的に強くなりたいアラサー女がボクシングを習いに行く【4】

↑の続き。

シュッ!(ストレート!)

シュッシュ!(ワンツー!)

ぅんシュッ!(たまにアッパー!)


パンチを打つときに口で「シュッ」と言うのは何故か。
まぁたぶん呼吸法的な、なんかアレなんだろう。
言っとくか。シュッシュ!


しばらくサンドバッグを叩くうち、
足の踏み込み方がわかってきた。

どうやらボクシングは「腕」より「足」だ。
足がとんでもなく疲れるぞ、これは。
でもそれ以上に……


ムカつく客、シュッ!!

ムカつく案件、シュッシュ!!

ムカつく奴全員、シュッシュ!!ぅんシュッ!


サンドバッグ……た〜〜のし〜〜〜〜〜!!

するとコーチ
「いいですね、じゃあ次はこっちに行きましょう」

サンドバッグに慣れてきたところで
リングに上がるように促される。


え、まじ?
わ、リングじゃーん!!↑↑

生まれて初めてリングに上がり、
テンションぶち上がり。

なんか勝手にフカフカなマットみたいな床をイメージしてたが
普通に硬くて歩きやすいな。そりゃそうか。


そしてコーチが、見たことのあるクッションみたいなものを両手にはめた。

あっ!!コーチ!
もしかしてミット打ち?!
ミット打ちですやん!!



コーチがミットを構えて
「はい、ワンツー!」と言ってきた。

すかさず「シュッシュ!」


サンドバッグとはまた違う。
コーチがいい感じの反発力でミットを構えてくれるおかげなのか、
パーン!みたいな、めっちゃいい音が鳴る。

なんかこれ、上手くなった気分になるな。

コーチがミットやるの上手いだけなんだが
こりゃーいい。これもまた楽しい!


はい、ワンツー!
(シュッシュ!)

ワンツー、アッパー!
(シュッシュ!ぅんシュ!)

ワンツー、アッパー、ストレート!
(シュッシュ!ぅんシュ・シュッ!)


するとコーチが突然、腹にミットを当てて
腹を殴ってこい」と言わんばかりの構えをした。


えっ、まじっ?!

一瞬固まる。


でも打つ!
シュッ!!(パーン!)


同時に、コーチが後ろに吹っ飛んだフリをした。


ボヨン、とロープに身を預け
「いやー、不慣れさん怖いなぁ」と出まかせに言った。


「あはは…あはは…」


一応笑ってみたが、ドン引きした。


コーチのサービス精神であること。
ミットもあるし、私なんかに殴られたところで屁でもないこと。


わかっている。
頭ではわかっているが、


こっ………

こっわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………


「覚醒剤やめますか、それとも人間やめますか」ばりに
「暴力はいけません」と強く刷り込まれている現代人。


人を殴るって、こんなに怖いことなのか……


続く↓

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