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生物的に強くなりたいアラサー女がボクシングを習いに行く【1】

2018年3月
ボクシングを習うことにした。

心技体、全てにおいて強くなりたい。
なぜってナメられたくないからだ。

年齢と共に減ってきてはいるが、
道端で「ホテルいこやぁ〜1発◯※×&¥@」とか下等生物が突然話しかけてきたりする。

あいつらが私に堂々とウザ絡みしてくるのはなぜなのか。

寂しい?
私生活が充実してなくてそこらへんの女に八つ当たりしてる?

まぁそれもあるんだろう。
でも根本にあるのは「シバいたら勝てると思ってる」だと思う。


ー男には拳で勝てないー
この事実がもうどうにも悔しくてしょうがない。

なんなら私は老若男女全方位からナメられる。
生来の陰キャ体質のせいだ。

だがネクラでネガティブな性格はもうどうしようもない。
直そうとも思わない。
でもこの現代社会を生き抜くのに、「圧」は必要だ。

ならば肉体を鍛えよう。
そして内側からみなぎる「圧」を手に入れたい。
ギャビ・ガルシアよろしくな強靭な肉体を手に入れたい。

だからボクシングを習う!!!

できればレディースボクササイズとかじゃなく…
ガチの練習生が行くところがいい、と、
その時は思った。
(ちなみに私は身長160cmの標準体重、スポーツ経験は一切なく、運動神経は壊滅的だ。)

予約

予約の電話をかけた際、応対してくれたコーチらしき人が、若干気まずそうに聞いてきた。

「うち、女性の会員さん少ないんですけど大丈夫ですか…?」

「大丈夫です。よろしくお願いします。」
即答であった。

こちらも本気だ。
本気で格闘技がやりたいのだ。

体験入会当日。

そのジムは雑居ビルの2階で、とてもわかりにくく入りづらいところにあった。

狭く薄暗い階段から、もうすでにバシバシとサンドバッグだかミット打ちだかの音が聞こえてきている。

階段を上がるとガラス扉があり、
中の様子が見えた。

壁に貼られたサイン色紙と写真。
棚にはチャンピオンベルトやメダル・盾が飾られていて、蛍光灯の光に当たってギラギラしている。
通路が暗い分、目がチカチカした。

そして奥には青いリングの上でスパーリング?的な?ことをしている男性ボクサーたち。
鏡に向かってシャドーしている人も。

その表情は真剣そのもの、というか
誰一人として笑っていない。
彼らもまた、ガチだった。

うわーー…ちょっと、
コワ…こわいかも。


急にビビった。

そりゃコーチ、電話でああ言うよね〜…
こんなところにこんなプヨプヨな奴が入ったら、場違い感否めないよね〜…
勢いだけでここまで来てしまったけど、
やってしまったかもしれないね〜…

しかしちゃんと予約は取れているから
私も入っていいはずだ。

恐る恐る入室

すぐに電話予約の時のコーチらしき人が出迎えてくれた。
その目が優しかったので、少し安心した。

受付で体験料金を払い、何やら用紙とペンを渡されたので記入する。

「ボクシングを始める目的・動機」という欄があり、
少し迷って「運動不足とストレス解消•ダイエットのため」と書いた。

それを見たコーチがハツラツと、
「うんうん。ボクシングは運動不足とストレス解消にかなり効果的ですよ!」と言ってくれた。

コーチすみません。
一番の本音は「生き物として強くなりたい。
現代社会を生き抜くための「圧」が欲しい。」なのです…。

とは恥ずかしくてとてもじゃないが言えなかった。
いや、言わなくて全然いいんだけど…。

【2】に続く↓

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