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社員と会社がともに満足する賃金設計のポイント~セミナー特選講演録~

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◆開催日時:2021年3月16日

◆講師:船井総合研究所 生田目 吉章

◆セミナー詳細:【webセミナー】リフォーム会社向け評価セミナー

それでは、船井総合研究所リフォーム支援部の生田目と申します。ただ今より「社員と会社がともに満足する賃金設計のポイント」という点につきましてお伝えさせていただきます。昨今、評価・賃金制度に対するお問合せ等が非常に増えてきています。経営者の皆様方も評価・賃金制度に対して注目されていることかと思います。また、今回ご参加いただいています皆様方も恐らく同じ思いなのではと思います。まずは、事例をお伝えしながら、評価・賃金制度はこのようなかたちで注目されているという点をお伝えしていきます。

事例①

まず、事例の①です。労働分配率70%超とさせていただいています。こちらは私のご支援先様ですが、月次の売上関係、販促費関係、粗利率等々については把握をさせていただいています。通常に考えればこの会社は営業利益が十分に出る粗利率ですが、決算手前で社長様から言われたことが「先生、すいません。今期は赤になりそうです」というようなお声をいただきまして、急いで決算書を拝見したところ、労働分配率を計算してみました。そうすると全社に対して70%を超えていたというような事例です。当然、労働分配率70%を超えてきますと、なかなか利益率が上がってこない現状になります。

一般的なリフォーム会社を例にあげますと、経費率が約27、28%かと思います。労働分配率に置き換えますと、粗利、売上総利益に対して50%前後くらいの推移をしていないと、なかなか営業利益は出せないというような事業構造ですが、こちらの会社は労働分配率70%ということで粗利率も35%前後の推移をしている会社です。しかし、残念ながら営業利益がマイナスというような結果です。これは、総体的に労働分配率を下げるということに着手をしまして、売上、そして粗利益、総利益のアップを図ったということです。約3年かかりましたが、労働分配率を60%程度に下げることに成功いたしまして、現在では営業利益がしっかりと出せている状況の会社様です。事例①で申しあげたいのは、労働分配率の指標のチェックをぜひお願いしたいという点です。

事例②

そして、次の事例②です。こちらも営業利益率が1%程度で推移をしていたという会社様です。こちらはしっかりと営業利益を出すためにも、また社員に対してもしっかりと利益を還元していきたいというような思いで評価制度の導入をしていきたいという社長様でした。やはり、社員様にしっかりと利益還元をしていこうとなりますと、当然、社員様に対する支給総額というものがシミュレーションでは増えそうだということで、現状でいくと営業利益1%を使い切ってしまいそうだというようなお話を当初社長様にさせていただきました。「実際にこれを進めますか」いうふうに判断を仰ぎましたが、社長様は「いや、ここは投資だ。社員に対してはしっかりと払っていきたい」ということで決断いただきました。当初、営業利益率がなくなっても構わないので、まずはしっかり評価・賃金制度を導入しようということでスタートしました。

結果的にこの会社様は、粗利率が非常に低かったというような結果でしたので、評価・賃金制度を導入する中で粗利率を上げるいうところにフォーカスを当てていこうという設計で評価・賃金制度を導入しました。そして、約2年経過をしていますが、営業利益が約3、4%出るようになってきています。当然、粗利率も30%かけるくらいというところまで伸びてきまして、これも評価・賃金制度を導入することで社員の皆様にとっては自分の給料がどのようなかたちで反映されるのかということが非常に分かりやすくなったということと目標の視点を、売上という視点から粗利額という視点に変えたというところです。

売上を、例えば、受注1億なら1億というような売上目標にしてしまうと営業の社員様からすると、粗利を削ってでも安くすればお客様から受注ができるということで、うっかりすると粗利を20%等々でお客様から受注してしまうということです。当然、会社が求めているのは売上ですから、粗利が多少低くても、売上の取れるお客様を10、20件取ったほうが目標達成には近づくということです。結果的に粗利率20%の物件が多数を占めるということになりますと、全社としても粗利率が下がってしまうという傾向になりがちです。この会社様はそのような視点を粗利額というものに変えるという点、そして粗利率というところに目標設定を置きました。したがって約2年経過しますが、粗利率は約30%弱まで成長し、営業利益率も約4%分増えたという事例です。

事例③

続いて、事例③です。こちらはあるビルダーさんの例ですが、非常に販売棟数が多いスーパーセールスがいらっしゃった会社様でした。この会社様は評価・賃金制度がない状態で、このスーパーセールスさんは年間で新築住宅約12棟としまして、年間15~20棟やってらっしゃいますと、業界の中でも目立つ存在だと思います。しかし、このような方に見合った報酬が支払えてないという状態でした。スーパーセールスの方からすると「こんなに売っているのに、なぜこれだけしか給料がもらえないの」というようないらいら感がありますし、会社側からもこの方にしっかり報酬を払わないとどこかに引き抜かれるのではという、双方にいらいら状態が募っていたという状況です。この会社は、評価制度の着手に入ったのですが、残念ながらこのスーパーセールスの方は他社から引き抜きされたという事例です。これは社員様の稼いでらっしゃる実績に見合った報酬をしっかりと払わないといけないということですし、会社側から見てもその方の実績に合った報酬に変更する制度を作るということが必要だということを伝えてくれる事例です。

事例④

事例④です。こちらは設備工事会社の事例ですが、社長がトップセールスをやっているような企業様です。リフォーム会社においても売上規模約2億弱の会社様ですと、まだまだ社長様がトップセールスでやってらっしゃるというところもあると思います。こちらもほぼ社長がお一人でさまざまな案件を受注してくるという会社様です。受注した案件は社員の皆様で割り振って対応していくことを中心でやってこられました。この会社様の悩みは、次を担うリーダークラスが育ってこないということです。そして、社長様がトップセールスをやってらっしゃいますので、そこの営業マンとしての役割に多くの時間を割いていたため本業である社長業に対して取り組みができてなかったということです。評価・賃金制度を導入することにより、リーダークラスの成長を基盤においたような制度ができないかということで、社長様、幹部の方と打ち合わせを進めてきました。社長様もリーダークラスの方に対して、このようなことをしてほしいというような役割分担を明示していなかった点を反省していました。

そのため、制度を導入してリーダークラスには役割や責任をこのように与えようということを決めていきました。結果、リーダークラスと呼ばれる方が3名ほどいますが、非常に成長しまして、これまでに見られなかった部下育成や営業にも力を入れ、自分がリーダーという責任感を持って取り組んでいったということで、社長様の時間に余裕ができ、結果、社長業としての時間を作ることができるようになりました。これは会社の事業規模によってそれぞれ役割が違ってくると思いますが、2億や3億から10億へ企業をランクアップしていこうとお考えの際には社長様が一旦現場から退くということが重要になってきます。現場を退くことは勇気がいることだと十分理解はしていますが、自分の右腕をいかに作っていくのかということも評価制度を導入することによってなしえるという事例です。

事例⑤

最後になりますが、事例⑤です。昨今、働き方改革という言葉が多く使われています。当然、社員様からすると「早く帰らなければ」「効率化しなきゃいけないのだ」という思いが強くなると思います。ただし、社員様が一元的に感じ取ってしまうのは「早く帰ろう」という点です。あるお付き合い先の例ですが、夕方約6時まで打ち合わせしているわけですが、気が付いた頃には社員様は誰もいなくて「みなさん、帰るのが早いですね」と話したこともあります。リフォーム業界で考えてみますと、残業が約2、3時間が平均で夜の8時か9時に帰社されるというケースが多いかと思います。この会社は6時台には誰もおらず、成果が出ているということに思えました。しかし、1年経過した頃には売上が下がっていました。これはどういうことかといいますと、やるべきことをやらずにただ帰るということに着目したというケースです。働き方改革は進めなければなりませんが、まずは労働生産性を高めるということが重要になってきます。労働生産性が高まれば、いわゆる効率化を求める人時生産性を高めることが重要になります。そのような事柄を評価項目に盛り込んでいくことです。

つまり、生産性が落ちている状態の場合は、まずそれを上げるための目標設定をしていくということです。生産性が高まりましたら、次は人時生産性、いわゆる効率化を求めるものを目標設定の中に入れていくということです。なかなか一般の社員の方は人時生産性を高める意識がいきませんので、マネージャークラスの方々には、自分の部門の人時生産性をいかに高めるかということを目標設定することも制度を導入することによって可能になってくるという事例です。

このように、事例を五つお伝えしましたが、評価・賃金制度を導入することによって、今会社の中で起こっているさまざまな問題に対して解決策をしっかりと図ることができるということです。売上を上げるということはマーケティング的な要素も重要になってきますが、評価・賃金制度を着手することが実は近道だということです。

はじめに・・・評価・賃金制度は会社を成長させるためのツール―評価・賃金制度を見直す必要性が 高まった理由

昨今、評価・賃金制度を見直す必要性が高まった理由はさまざまあるかと思いますが・・・

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