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懲役ダイアリー 2017年8月15日火曜日 『ダメになる話よりためになる話』

黙祷・・・。

時刻は午後12時。

本日は終戦記念日。戦没者へ向けての黙祷放送開始の合図とともに、黙祷をしたい受刑者は1分間の黙祷が許される。しない人は静かに椅子に座って待っていてくださいとのこと。

私もしっかり黙祷をした。

戦争など一生起きないように・・・。

黙祷はとっても大切。

疎かには決してしてはならない。



でもやっぱり・・・



ディスコ♪ディスコ♪ワ〜ンルームディスコ♪


パフュームのライブを見ながらノリノリで過ごす盆休みがいい。

刑務所の独居房はまさにワンルームディスコ。

でも刑務官に見つかると怒られてしまうので、心の中で踊り狂うにとどめておくしかない・・・


切ないディスコ。



お盆休みには色々なライブが放送されているのだが、中には全く自分が触れたことのないジャンルの音楽ライブも放送される。

その一つが・・・


「初音ミク」


なんとなく知ってはいたが、何がいいのか良さもわからず全く見る気もしなかったのだが、「食わず嫌いはやめよう」「何でも一度触れてみよう」という気持ちで積極的に見てみることにした。


衝撃的だった。


曲のかっこよさと、初音ミクの可愛さとのアンバランスさが絶妙。これは面白いと思った。ハマる理由がわかった気がした。

新しいものやカルチャーにはどんどん自分から触れていかないといけないな。人気が出るからにはちゃんと理由がある。その理由が見えれば、自分が何かをするときに必ず役に立つ。自分の先入観など捨てた方が得をする。そんな事にも気づけた。


話は変わるが・・・

仲良くさせてもらっていた隣の部屋の人から、横浜拘置支所へ逆送されるとの話を聞いた。何でも事件の共犯者の証人として出廷しなくてはならず、近々で島根あさひを去ってしまうらしい。そういうこともあるのか・・・知らなかった。


盆休み中は同じ志を持った受刑者同士でよく話していた。同じ志を持っている者同士だと、話の内容も他の受刑者同士がするような、クスリや麻薬の話、犯罪のやり方の話、ここの飯がどうとか、拘置所や留置の飯の話、過去の喧嘩自慢、そんなどうでもいいダメになる話ではなく、ためになる話で盛り上がる。

その中で一つ議論になって納得した話。


生きがいを感じる仕事とはどういう仕事なのか。


そんなテーマで話をしていた。

様々な意見が出た。

お金をたくさん稼げるだとか、自分の好きなことを仕事にするだとか、人に喜んでもらえる仕事をするだとか。

どれも確かに正解な気がするが・・・

ある受刑者がふと言った言葉にその場のみんなは納得した。

その言葉とは・・・


人には誰しも才能がある。才能は人それぞれ違う。話すことが得意な人もいれば、字を書くのが得意な人、気を使える人、誰にでも優しい人、料理が上手な人、運動が得意な人、嘘をつくのがうまい人。様々ある才能。この才能を人は無意識に使って誰もが生きている。

その才能に気が付いて、才能とビジネスをつなげれば、自分だけにしかできない楽しくて生きがいを感じる仕事ができるんじゃないか・・・。


こんな事を言った受刑者がいた。確かにと気づかされた。

そして自分の才能ってなんだろうって・・・深く考えるきっかけにもなった。自分の才能に気付きそれを出所後の未来に生かす。

ためになる話だった。

こういう話をもっともっとしていきたいな。そして自分をもっと変えていきたい。

盆休みもあと残り1日。時間を大切に過ごさないとな。プレゼンも完成させないと。頑張るぞ!

全ては順調に進んでいる。人生の成功に向けて。



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