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突然のジュディ・オンステージ|ふあんクリエイターの推理日誌

踊ってみて、記憶はひらき

部屋のカーテンを洗おうと、慎重かつ順調にレールから外していたところ、頭にレースのカーテンが落ちてきて、軽く被ったような状態になった瞬間があった。

あ、と気づいて、ただちに


「はっ!!!」


とした。これは。


「ジュディ・オングさんごっこ」ができるではないか。

ジュディ・オングさんの名曲、「魅せられて」を久しぶりに思い出したのである。こどものころ、わたしは祖母とともに演歌や懐メロ番組を真面目に観ていたため、自分が生まれる前の歌謡曲に割と詳しい。困ったことに、そのおかげで同級生とは話が合わないこともしばしば。とほほ。


とにかく、そんなわけで、試さなければならない!

いざ、気分はジュディ・オング・オンステージ。洗濯前の薄汚れたカーテンを身にまとい、ひとしきり歌いながらくるくると回って満足。ん?あれ?歌詞を意外と覚えていて、そんな自分にまた驚く。


(心の声)「あの〜、早く洗いましょうよ。汚いし」


正気に戻る瞬間が突然訪れた。そして、違和感。

洗濯機に放っているうちに、違和感の正体がわかった。


大人な内容の歌で、童心にかえるような行動。相反するものを同時に行ったからですね、これは。むかしむかし、カーテンでかくれんぼをしたものだなあ。ナルトの渦巻きのような動きでくるくると布を巻き込んでいく。視野が遮られるせいか嗅覚が敏感になって、独特の布の匂いが鼻の中にたっぷりと入ってきた思い出。


さて、今後のレースのカーテンに扱いかたについて考えた。洗って干したあとに、踊ってみることにしよう。他人が見ていないところでは、意外と自由に振る舞えるもの。さて、うちのオスのうさぎ、いつものように撫でて、うとうと眠らせにいこうか。

ちょっとしたたのしみ、日常に隠れておるわ。少しずつ、見つけ出してみせるのだ。

[つづく]

うさぎのおやつ代になります。(いまの季節は🍎かな)