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窓辺で本を

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これまで読んだ素敵な本たちをふむもく視点でご紹介します。
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#エッセイ

097 私の本棚

2019年もおしまいに近づいています。 街はイベント続きでにぎやか、さまざまな色の電飾ではなやかです。 私は、12月半ばから年末らしく仕事もプライベートもなにかとぱたぱたしています。 仕事は休憩に行けない日があるほど忙しく、日々睡眠不足、にきびがぽつんとできて、二重まぶたも奥二重になりました。(私は疲労がたまると、まぶたがむくんでしまうのです) 毎日くたくたで帰るので、大好きな散歩にもなかなか行く気になれず、休日は家で過ごしていました。 せっかく家にいるのだからと、部屋の

034 窓辺で本を-夢十夜-

高校生のころに仲の良かった友人が夢に出てきました。 とても楽しい夢でしたが、目がさめたときに「これはまずい」と思いました。 私は身近な人と夢で会う頻度が高くなればなるほど、その人と疎遠になる傾向があるからです。でも、なにかにつけて気づくのが遅いの私は、はっと思ったときには、すでにその人とは会えなくなっていることがほとんどです。 -------------------- 「こんな夢を見た」という出だしが有名な夏目漱石の『夢十夜』は、1908年の夏に朝日新聞で連載されていた短

023 窓辺で本を-夕闇の川のざくろ-

雨が止んで、世界がみずみずしくなったので散歩に出かけました。 葉っぱの緑色は、雨が降る前よりも濃く見えます。土や家の屋根は水をふくんでどっしりとしています。 川はやはりカフェオレ色になって、いきおいよく流れています。 なにかを運んでいるように。ただひたすらに。 -------------------- 江國香織さんの作品で「夕闇の川のざくろ」というお話があります。 もともとは絵本だったようですが、私は図書館で『江國香織とっておき作品集』という本の中で出会いました。その後、

020 窓辺で本を-ルピナスさん-

足元をみて歩いていると、何かに躓くことは少なくなるかもしれませんが、方向がこれで良いのかどうかわからなくなることがあります。 私はときどき、お店のガラスに映る自分を見て、姿勢がしゃんとしているかチェックします。思っていたよりも猫背になってしまっていることもあり、そういう時はたいてい何かにもやもやしている場合が多いです。 姿勢の良いおばあちゃんになりたいものです。 -------------------- バーバラ・クーニーさんの絵本『ルピナスさん-小さなおばあさんのお

017 窓辺で本を-なくなりそうな世界のことば-

あなたは、好きな言葉を持っていますか? 私はたくさん持っています。 本を読んでいる時や人と話をしている時、テレビを見ている時、歌を聴いている時、道を歩いていても。そこかしこに言葉はあふれているので、さまざまな場面で琴線に触れる言葉と出会います。 私の場合、好きな言葉と出会った時はいつもびっくりしてしまいます。 「えっ」 と。そしてもう一度その言葉をかみしめて、しっかりと頭の中にメモします。 そういった大切な言葉たちが、ふとした瞬間に助けてくれることも多くて、言葉のちからを感

012 窓辺で本を-西瓜糖の日々-

何年か前、図書館で仕事をしていたことがあって、そこでさまざまな人に出会いました。 本を読むのが好きで定期的に来る人、子どものために絵本を借りに来る人、なにか知りたいことがあって来る人。そのほかいろいろ。 私に話しかけてくれる人は、たいてい何かを知りたい人でした。 あの映画の原作はありますか?ええと、作者はわかりません。とか。 血液型の歴史を知りたいのだけど、どうやって調べたら良いですか。とか。 どうしてこんな道徳的に良くない本を置いているのですか。とか。 二歳の子にどんな本