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ふむもくエッセイ

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ふむふむと思ったことと、もくもくと感じたうれしいことを集めました。
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2020年12月の記事一覧

146 冬のサイダー

ゆるやかな年末。 12月はきんと冷たい日が何日かあって、やさしい雨が紅葉とともに何日か降って、そして今年が終わろうとしています。お天気は上々。空の青さに惹かれて、お散歩に出ました。 プラネタリウムは、もちろん休館日でした。 周りに人もいないので、まぁるいドームを抱えて静かに佇んでいます。 ふと見上げると、3階の窓が開いていました。 お休みなのに?と思いましたが、よく見ると電気もついているようです。 プラネタリウムもきっと仕事納め。 中の人が来年を気持ちよく始められるように

145 受け継ぐ毛糸

コートを着てもすっと冷たい空気。布団から出るのが億劫な朝。 毛糸が恋しい季節になりました。 毛糸といえば、真っ先に祖母を思い出します。 祖母はいつも編み針を持っていて、さくさくさくといろいろなものを編んでくれました。 靴下、手袋、セーター…。 それらにおしげなく毛糸を使うので、どれももこもこであたたかさは抜群でした。 今日は、そんなもこもこのお話です。 ------------------- 小学生のとき、祖母が紺色のベストを編んでくれました。 網柄はないシンプルな

144 1センチずつ時を重ねる

12月になり、空が青くて心地よい日が続いています。 昨日やその前の年はどうだったの、と言われても覚えていないのですが。 でも、今年は昨年よりも空を味わうことができていると思います。 もし、神さまがいるとしたら、きっと青色が好きなのでしょうね。 空、海、川…天然のブルーがあちこちにあります。 ある昼下がり。 頬杖をついて考えごとをしていました。 ふと、肩まである自分の髪を見ると、一本だけ長い髪があります。 軽く引っ張ってみると、するするすると出てきました。 どうやら、抜けてし

143 やさしい温度で

冬の朝のさむさは特別です。 太陽が出ればやわらぐさむさ。 ブルーとホワイトが混ざったような美しいさむさ。 冬が一所懸命冬らしさを出そうとしているような。 やや不安定でさらさらしたさむさです。 心がさわさわと揺らぐときがあります。 このままでいいのだろうか。という思い。 後悔ばかりだな。という反省に似せたセンチメンタル。 どうして生きているのだろう。という問い。 答えはどこにもないことはわかっているのにぼんやりと考えてしまいます。 生産性のない考えはやめよう。 と思ったそば