高齢の親を持つ身として日本の少子高齢化について調べてみた
「日本は高齢化社会だ」というのはもはやあたりまえすぎて、あんまり真剣に考えませんよね。
でも、このまま高齢化が進むとどうなるのか、高齢の親をもつ身として改めて調べてみました。
1. 日本の人口動態
これから日本は、世界の歴史上、他のどの国も経験したことのない人口動態に突入します。
その背景にあるのは、「85歳以上の超高齢者人口の増加」と「少子化」です。
▶ 85歳以上の超高齢者人口の増加
老年医学では、65歳以上を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者、85歳以上を超高齢者と呼ぶそうです。
加齢とともに介護が必要になる人が多くなりますが、85歳を超えると要支援要介護発生率が一気に増えます。
医療介護問題の本丸は「2035年」だと言われています。
2035年になると、1947年~1949年に生まれた「団塊の世代」が超高齢者になるからです。
そして、2020年時点では600万人だった超高齢者が、2035年には980万人となるのです。
▶ 急速に進む少子化
令和4年「人口動態統計(概要)」によると、出生数は7年連続で減少しています。
過去最少だった前年度をさらに4万人下回り、77万人と初めて80万人を割り込みました。
少子化は簡単に止められるものではなく、今後も続いていきます。
その結果、「支える側」と「支えられる側」、すなわち勤労世代と超高齢者人口のアンバランスが一気に拡大していくことになります。
2020年には超高齢者1人を11.3人の勤労世代(20~64歳)で支えていたのに対し、2040年にはその半分の5.8人になると言われています。
2. 少子高齢化によって生まれる問題
「支える側」が減り「支えられる側」が増えることで、以下のような問題が生まれます。
▶ 介護人材の絶対的な不足
今ですら介護業界は人手不足だと言われていますが、その傾向がさらに拡大していきます。
家族だけで介護をすることはもはや不可能ですが、介護をお願いするプロが今後ますます足りなくなってしまいます。
特に、これから増えていく重度要介護や認知症介護は、見守り・声かけ等でより多くの介護人材が必要になります。
にもかかわらず、介護をお願いするプロがいない事態になってしまうわけです。
▶ 社会保障費の激増
「2040年を見据えた社会保障の見直し」(内閣府・財務省・厚労省、2018年)によると、2018年度の社会保障費は122兆円だったのに対し、2040年には1.5倍の188兆円になると試算しています。
特に医療給付は174%、介護給付は229%へと激増するという予測です。
3. 考えられる対応策
上記の問題にはどのような対策が考えられるのでしょうか。
▶ 医療介護サービスを減らす
医療介護サービスを減らすことで、少ない介護人材で対応できるようにし、社会保障費を抑える方法が考えられます。
しかし、医療サービスを減らすことにより、介護する家族の負担が増えます。
すると、これまで以上に介護離職する人が増えることが予想されます。
介護離職により、収入が減ってしまい、介護ストレスによるうつ病や、介護虐待、介護心中などの悲惨な事件につながる可能性があります。
また、社会全体で見ても、労働力の減少により経済活動が低下し、税収や社会保険料収入が減少します。
▶ 税金・社会保険料を上げる
税金・社会保険料を上げて不足する財源を補うという手も考えられます。
しかし、消費税・住民税や社会保険料を値上げすれば、ただでさえ低い賃金の中で可処分所得が減り、国内の個人消費が大幅に減少することになるでしょう。
その結果、経済はデフレスパイラルに逆戻りし、税金や社会保険料を滞納する人が激増することが予想されます。
4. おわりに
今回この記事を書いてみて、今後の日本はいったいどうなっていくのだろうと不安な気持ちになりました。
簡単にまとめるとこんな感じです。
少子高齢化による介護人材の不足、社会保障費の増大は避けられない。
医療介護サービスを減らすと介護離職が増えてしまう。
税金・社会保険料を上げると、経済が回らなくなる。
どこかに解決策はあるのでしょうか。
5. 参考書籍
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?