娘の日記
娘(小2)は日記をつけている。
日記を書くきっかけになったのは、ショッピングモールでプリキュアの小さな可愛いノートを手に入れたこと。
娘はまだプリキュアが好きなのだ。
プリキュアコーナーに張り付いて何をおねだりしようかと小1時間熟考し、買ってもらえないかと打診してきたのがこのノートだった。
確かにときめくかもしれないなと思った。
防水仕様になっていて、かわいいスナップボタンもついていて普通のノートよりも可愛く見える。
自分も小さい頃、可愛い文房具が大好きだったことを思い出し、まあ買ってあげようか…となった。
最近はやたら静かにしているな、と思って見るとこのノートを開いて何かを書いていることが多い。
そしてこのノートは食卓に置きっぱなしにされていることがとても多いのでプライバシーの侵害と思いつつも、つい私は見てしまうのだ。
そして…。
いつも娘には申し訳ないが「見てよかった…。」とほっこりする。
日記にはその日1番嬉しかった出来事が書かれている。
その日1番嬉しかったこととはこんな感じ。
「きょうにじいろのふくをきて学校にいった。」
「えいごでほめられた。」
「ゆうごはんがからあげだった。」
「おべんとうにパプリカがはいっていた。」
「おばあちゃんとあそんだ。」etc…
うーん。かわいい…。そして以下のような色んな思いが交錯する。
「こんなことでも1位に君臨するんだね。」
「いやいや、この日はもっと楽しいことあったはずだけどこっちが1位なんだね…。」
「確かに喜んではいたけど、そんなに嬉しかったんだね。」etc。
もう私はお弁当に自分の好きなおかずを入れてもそれが1位に君臨することはない。
せいぜいそれをモグモグしている数分間、美味しいなと感じて終わりだ。
1日の終わりに思い出すことは絶対にないと言い切れる。
ああ、私のレセプターはもう不活化してしまったのか。脱感作されて活性化しなくなったのか。
1日でいいから娘のような高感度レセプターを持ってキラキラした生活をしてみたい。
ちなみに娘の日記の鉄則は「嫌なことがあっても、絶対に書かない」こと。
「きょうはヤなことばっかりだったけど、どうしよっかなぁ」と悩んでいる姿もたまに見る。
そんな日の日記を後でこっそり見ると、なんと「たのしかった。うれしかった。」と書かれている。
もう意地でもいい1日だったことにしているのだ。
いい1日だったと自分に言い聞かせ眠りに就くのだ。
なんかもうすごいな、と思う。
自分の好きなように世界を作り上げることができている。
嫌だった出来事を反芻しながら眠りに就くなんて野暮なことはしないのだ。
娘は一体いつまでこんな力を持ち続けていられるのだろう?
いつか私みたいになってしまうのだろうか。
どうかそのままおばあちゃんにまでなって欲しい。
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