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「イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き」で振り返るRCA-僕は何者①?

僕は、Royal College of Art(以下RCA)という大学院でサービスデザインを学んでいる。今回は、田川さんの「イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き」を拠り所に、RCA生活を振り返ってみたい。

BTCの「B」 はビジネス、「T」は テクノロジー、「C」は デザインを 含むクリエイティビティです。(中略)イノベーション人材というときには2つの意味があります。ひとつは、複数の領域を越境しながら、それを振り子のように行き来することで新しいアイデアや価値を創出するスキル。ここでは、「ビジネス」「テクノロジー」「デザイン」の3領域を俯瞰して捉え、分断や対立が生じている箇所の橋渡しとなり、細かいすり合わせを経て、アイデアの具現化に貢献できる人材です。もうひとつは、社会浸透の局面において、プロダクトやサービスをマーケットで立ち上げ、社会浸透の初期段階まで導いていく人材です。

留学前、特に入社当時は財務系の仕事をしていた。財務の中でも、会計・税務寄りの仕事が多かった。入社4年目に、海外駐在を経験。こちらではコーポレート業務全般(財務、法務、総務、人事など)を担いながら、ファイナンス事業や新規事業を経験することができた。帰国後は、全社の財務戦略を策定するプロジェクトの一員として働いた。

田川さんの定義でいうと、僕はB (ビジネス) からキャリアをスタートした。

CもTも、そしてBもハードスキルと知識の面では、更新し続ける必要がある。今回はBのマインドセットしか持っていなかった僕が、どうC(デザイン)のマインドセットを持ち合わせたのかについて振り返りたい。

C(デザイン)を僕の中で分解すると、「人間に興味を持てるようになったか?」。最近まで自信がなかった。先月末、卒業プロジェクト発表があり、チューターからの質問で、「Has Service Design changed you?」と聞かれ、「そうですね。最近の僕はノイズを楽しんでいます。そのノイズの中には、はっとする情報や人生を豊かにしてくれる気付きが含まれているんです。今までの僕は、明日から役に立つような、分かりやすい情報以外聞いているフリをしていました。」と自然に回答できた。この答えがサッとでた時に、「あ、僕は自分以外の人間(=ノイズ)にも興味を持てるようになったんだ」と自覚。

ここ半年、卒業プロジェクトのために、50人以上の芸術家達にインタビューをした。彼ら、彼女らの話は、抽象的で、突然具体的で、とても主観的で、想像に満ち溢れている。このインタビュー50本ノックやアトリエでのエスノグラフィーリサーチを通して、僕のマインドセットが起きたに違いない。他プロジェクトでも同様のインタビューはしていたのだけど、今振り返るとその際は、インタビュイーの回答ばかり必死にロジカルに傾聴しており、インタビュイーそのもの=人間そのもの、を理解することができなかった。もちろん、頭では人間を理解する必要があると分かっていたが、これが難しい。量(インタビュー回数と時間)が質(サービスデザイナとしての聴き方)に転換した時期であった。

野球部に所属していた。僕は上半身の力だけで、バットをスイングしてしまう癖があった。これも頭では下半身も使わなければ打球が遠くへ飛ばないと理解しているが、難しい。これを修正するために、素振りを全力で100回やるのだが、回数を重ねるうちに上半身は力が入らなくなり、自動的に下半身でのスイングが可能となる。さらに続けることで、その下半身を中心としたスイングが身体に身に付く。

サービスデザインに限らず、デザインの世界で基本となる「ユーザーの視点に立つ」こと。言うは易く行うは難し。僕は1年半掛けて、初めてここに到達することができた。こうしたプロセスと年月を掛けて僕はC(デザイン)、人間に興味を持てるようになった。

次回はT(テクノロジー)について、インターンシップでの経験を中心に振り返りたい。

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