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日常生活でよく使う「これだけは覚えておきたい『ことわざ』『言い伝え』『故事成語』」(第3回)


①「弘法・筆を選ばず」(こうぼうふでをえらばず)

 「弘法筆を選ばず(こうぼうふでをえらばず)」とは、本来は、弘法大師のように「書の名人」や「達人」と呼ばれる人は、道具や材料の良し悪しなどは問題にせず、どんな道具(筆)であっても見事に使いこなし、立派な書を書くという意味で使われることわざです。

 またその一方で、技術が劣っていたり未熟の者が、できないことの言い訳として道具や材料について批判するのを戒める言葉として使われることもあります。


②「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」(ゆくかわのながれはたえずして、しかももとのみずにあらず)
(鴨長明「方丈記」の冒頭の一節)

 直訳すると、「川の流れは絶えることはなく、それでいて、同じ箇所を流れる水は、同じもとの水ではない」という意味になります。

 これは、「変わらないように見えても変化しないものなどなく、すべては常に変化していて、やがて滅んでいく」という無常観をあらわしています。

 2022年にNHKが放送している大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、毎週のように御家人たちをはじめとした主要登場人物が「退場」していきますが、その光景は、まさしくこの「方丈記」冒頭の一節を連想させます。

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