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役割が少しずつ変わりつつある「やさしい日本語」

「やさしい日本語」は、特定の目的のためだけに作られたものではなく、今や日常生活や様々な場面で幅広く利用されるようになっています。その背景には、日本社会の変化や多様化があり、「やさしい日本語」が日本人同士のコミュニケーションにも役立つ理由をより詳しく説明します。

1. 「やさしい日本語」の起源と目的の広がり

最初に「やさしい日本語」が注目されたのは、1995年の阪神・淡路大震災の時です。当時、多くの在日外国人が日本語の複雑な表現や漢字を理解できず、災害情報を十分に得られない状況が生まれました。これを教訓に、「やさしい日本語」は、外国人に対する情報提供手段として開発されました。

しかし、その後の社会の変化とともに、「やさしい日本語」は単なる災害時のコミュニケーションツールに留まらず、日常生活全般で利用されるようになりました。日本には多様な背景を持つ外国人が増え続けていますが、その多くは日本語を完全には習得していません。日常の買い物、行政手続き、医療などの場面で「やさしい日本語」が必要とされる機会が増えています。

2. 外国人と日本人の相互理解の促進

「やさしい日本語」は、日本人と外国人の間での誤解やコミュニケーションの齟齬を防ぐ手段としても重要です。たとえば、「箸は要りますか?」に対して、「いいです」と返答すると、文脈によっては「必要だ」と受け取られることがあります。これは、日本語が文脈に依存する言語であり、多義的な表現が多いからです。

「箸は要りません」と明確に言い換えることで、曖昧さを排除し、意図が正確に伝わるようになります。これにより、外国人店員だけでなく、日本人同士でも誤解が生じにくくなり、コミュニケーションが円滑になります。

3. 「やさしい日本語」が日本人同士にも役立つ理由

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