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ふみのわ

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文芸部「ふみのわ」の文芸集です。 顧問のわたし、文(ふみ)先生が定期的に課題 "ぶんげぇむ" を出しますので、部員の皆さんはしっかりと課題に取り組んでくださいね! もちろん部員で…
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2021年11月の記事一覧

【小説】置かれた場所で咲きなさい ~勇者一行の日常

「全部無駄だったな」  思わずこぼれた俺のつぶやきに対し、傍らを歩く賢者が、 「人生に無駄なことなんか一つもありませんよ、勇者殿。失敗も遠回りも、すべてはあなたを成長させ、いつか輝かせるための、貴重な礎……。『あの日、あんな経験をしてよかった』と思える日が、きっと来ます」 と、さわやかに答えた。  もし両手が空いていたら、俺はいら立ちのあまり髪をかきむしっていたことだろう。 「なんか良い感じにまとめようとしてんじゃねーよ。何日も準備してドラゴンに挑んだのに一瞬で負けた

第8回文芸課題"ぶんげぇむ"発表します

お久しぶりです。文(ふみ)先生です。みなさん、先生がいない間も創作活動に励んでいましたか? 大変長らくお待たせいたしました・・・!相変わらずスローペースにはなりますが、文芸部『ふみのわ』の活動を再開します。 さっそく第8回目の課題を発表しますね♪ ◆お題:無駄からはじまる物語 ◆執筆ルール:  ・物語の一文目が「全部無駄だったな」のセリフからはじまる作品を作ってください。  ・小説/エッセイ/詩 などの形式・ジャンルは問いません。  例)「全部無駄だったな」彼は私に向か

ある命の記録

 「全部無駄だったな」  自分の部屋の本棚の前に立ち、彼はつぶやいた。  本棚には、物理学の書物が並んでいた。  そのうちの一冊、英文の学術雑誌を取り出すと、彼はそれをめくった。  彼は、修士課程までの六年間、物理学を専攻してきた。  その最後の年、英語で執筆した論文が、国際的な学術雑誌に採用された。  快挙だと、研究室は賑わった。  指導教授は、彼が博士課程に進学することを期待していた。  しかし彼はその道を選ばなかった。いや、正確には、選べなかった。  経済的な理由か

無駄を幸せに変えるために【無駄からはじまる物語】

“第8回ぶんげぇむ”参加作品のため、お題にそった記事ですが、内容は体験に基づく実話です。 =========================== 「全部無駄だったな」そうとしか思えなかった。夫の死後の悲しみのあとに襲ってきたのはどうにもならない虚無感だった。 これから背負わなければならない大荷物のことを想像するだけで重みと虚しさに押し潰されそうでいっしょに消えてしまいたくなった。 大荷物とは、夫の夢だった建築中のカスタムホームのことだ。 子どもたちが大人になりそれぞ

第7回文芸課題"ぶんげぇむ"まとめ

みなさんお久しぶりです!文(ふみ)先生です。 相変わらずスローな更新でごめんなさい・・・!部員のみなさんはいかがお過ごしでしょうか? 今回もかなり時間があいてしまったのですが、遅ればせながら文芸部『ふみのわ』による文芸課題、"ぶんげぇむ"、第7回をまとめさせていただきます🌿 ▼前回、第6回目のまとめはこちらから さっそく第7回文芸課題“ぶんげぇむ”についてまとめていきます! 第7回文芸課題“ぶんげぇむ”お題についてまずはお題について振り返っていきましょう。 ◆お題